
世界50都市における女性起業家支援態勢はどう変化したのか?
デルが発表している「女性起業家都市指標」は、世界50都市を女性起業家の育成能力が高い順にランキングしたものだ。
2010年から毎年実施している調査を踏まえ、デルは女性起業家および経済全体の支援を高める国の法律と慣習に加え、各地域の施策、プログラム、特性が与える効果に基づいて、各都市のランキングを行なっている。今回発表された2019年のランキングは下記の通りだ。
「2019 WE Cities」のランキング
東京は、2018年の39位から、34位へとランクアップした。マーケットサイズという面は世界No.1だが、マーケットへのアクセスが50位と政策が49位と大きく足を引っ張っている。
また、資金の面では、ベンチャーキャピタルからの資金の調達額や頻度では3位、クラウドファンディング等を通じた資本へのアクセスのしやすさや産休期間の長さなど女性の資本のベースとなる指標は6位と世界でも高いものの、資金調達における女性の割合となると46位になった。
また、環境面では、女性に対する態度や期待値は4位だが、メンターやロールモデルへのアクセスでは42位となり、まだ成功した女性起業家を身近に見つけることは難しいようだ。
2017年以降50全ての都市のスコアが上昇しているが、一部の都市の伸び率は他の都市を大きく上回っており、いくつかの都市はトップ争いから脱落している。主なハイライトは次の通り。
・サンフランシスコ ベイエリアがニューヨークを抜いて今年のNo.1になった。これは、女性起業家にとってベイエリアは最も資本アクセスに良い地域の1つであることが大きな理由だ。また「文化」でもベイエリアは6位から2位に浮上しており、数多くのロール モデルの存在と ”bro culture (男性優越主義)”を排除しようというオープンな議論が反映された形となっている。
・No.1のベイエリアでも、100ポイント中獲得したのはわずか63.7ポイント。 これは、女性にとって公平な環境づくりのためにすべきことが数多くあること、またこのような調査の必要であるという証拠であるとともに、女性起業家のための変革を行うよう政策立案者に働きかける必要があることを示している。
・世界的には、資金不足、高い生活費、経営層に占める女性の割合の低さ、女性起業家を支援する政府主導の政策不足などが障壁となっている。
・50都市中30都市が過半数の指標で改善。最も改善率が高かったのは中南米と欧州の都市。
・大幅に改善した都市はほぼすべての地域に存在しており、改善が広く世界を網羅して進んでいることを示している。
・最も大きな伸び率を示したのはメキシコシティで、2017年の45位から今年は29位にランクアップしている。 特に教育分野、トップのビジネス スクール、議会での女性が増え、企業のベンダー調達プログラムおよびクラウドファンディング キャンペーンを通じた女性起業家の資本へのアクセスも増加している。
10年間にわたり女性起業家の調査を行っているデルは、IHS Markit社と共同で対象の50都市を重要な5つの特性(資本、テクノロジー、人材、文化、市場)に基づいて調査してランキング化。これらの特性は、「運営環境」と「実現環境」の2つのグループに分けられている。総合評価は71の指標に基づいており、うち45の指標は性別に基づく指標となっている。個々の指標は、4つの基準(関連性、基盤となっているデータの質、指標における一意性、性別要素)に基づいて加重されている。
構成/ino