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14歳以下の人口が3億5000万人!教育コメディ映画「ヒンディー・ミディアム」に学ぶインドのお受験サバイバル

2019.09.06

 インド人は誰でも暗算で3桁の掛け算ができて、数学が得意で頭がいいというイメージを持つ方が多いかもしれない。また、インドの大学の頂点に立つインド工科大学には世界中の名だたる企業が人材を求めて訪問しているのは、日本のビジネス界でも知られている。インドの教育は世界を動かす企業のトップを排出するという視点でも一役買っていることは、筆者の記事「マイクロソフト、グーグル、アドビも!インドがグローバル企業のCEOを輩出し続ける理由」にて紹介した。

小学校入学時に英語ができるかどうかで決まる、インド教育のスタート

 2019年9月6日、教育をテーマに小学校受験を題材にした教育コメディ映画『ヒンディー・ミディアム』が日本で公開される。タイトルは、インドの公用語のヒンディ語で授業を行う学校を意味する。しかし、人気の学校はインド人にとっては母国語ではない英語で授業を行う「イングリッシュ・ミディアム」だ。英語で学べばより良い高等教育を受けられ、さらに就職にも有利なためだ。

 日本ではインド人は英語が堪能という理解があるかもしれないが、そうではない。努力して身につける言語なのだ。2011年のインド版国勢調査では、ヒンディ語を主な言語とする5億2800万人に比べ、英語のそれは0.05%にも満たない26万人という結果だ。教育熱心な家庭では、小学校に入る前から英語を家庭内で教えたり、家庭教師をつけたりして子供に英語を習得させている。

 本作は「イングリッシュ・ミディアム」の有名小学校に娘を入学させようとする下町で衣料品店を経営する夫婦の話だ。親の学歴が低いために子供が入学を拒否されたという実話に基づいて、この夫婦たちと同様に高等教育を受けることができなかった親たちに丁寧にヒアリングを行った上で、制作されたという。

 ここでは、この映画についてと現在のインド教育の一面を紹介していく。

英語で入学願書を書いてもらうために面談中の主人公バトラ夫妻と一人娘

 日本ではようやく2020年から新しい学習指導要領が実施され、公立小学校で英語のカリキュラムが必須となる。一方、インドでは「イングリッシュ・ミディアム」の学校では授業そのものが英語で行われる。つまり小学校受験時点で英語を使いこなせることが必須なので、日本に比べて敷居は高いと言える。

 劇中での受験の準備から入学試験を受けるまでに至るストーリーは、この点も含めて日本よりも壮絶な一面を持つ教育問題をコミカルに風刺している。同時に首都デリーを舞台にして、貧富の差、社会的な格差、今を生きる人々の生活スタイル、義理人情や親の愛情などインドの現実が映画のあちこちに散りばめられており、違和感なくストーリーが理解できる。

 子を持つ親はもちろん、教育関係者、映画好きやインドに関心のある方、そしてビジネスでインドに関わる方にも、このインドのリアルな寓話は何かしら考えるきっかけになるに違いない。

『ヒンディー・ミディアム』日本公開のチラシ

インドのお受験戦争の、とある現実。低所得を装い、優先枠で入学許可を得ようとするが・・・

『ヒンディー・ミディアム』の主人公ラージ・バトラ(イルファーン・カーン)と妻ミータ・バルマ(サバー・カマル)は、インドの首都デリーの下町に住む夫婦。そこで衣料品店を経営して成功しているが、高等教育を受けていない。学歴コンプレックスを持つミータは一人娘のピアにより良い人生を学んで欲しいと願い、富裕層向けの有名校に進学させることに躍起になる。両親は娘とともにお受験クラスで面接のノウハウや試験のコツを学び、高級住宅街に引っ越し、自分たちの言葉の訛りや服装も変えて富裕層のふりをする。しかし、受験は全滅。

 そこで立ち止まらないサバイバルなこの夫婦は、低所得者優遇のための特別な優先入学枠があると知り下流層が暮らす地区に引っ越し、貧しいふりをして入学を試みる。その奮闘結果はいかに・・・


お受験クラスを見学するバトラ夫妻

富裕層コミュ二ティに仲間入りすべく、自宅でパーティを開催するバトラ夫妻

低所得者層向けの特別な優先枠の入学願書を手に入れるために、学校にやってきたラージ

 ありとあらゆる手を尽くしエスカレートしていく行動は、インドの受験競争の激しさを物語る。それは現実には都会だけでの話でない。地方でも受験塾や家庭教師は全く珍しいものではない。実際に筆者はある地方都市でタクシーの運転手と子供の話になった際に「子供がイングリッシュ・ミディアムの学校に通っている」と自慢されたこともある。

 経済成長を遂げている国は受験戦争が過熱して問題になるが、それは教育全体の底上げにもなっている。この映画が描く受験戦争は、インドが現実でも変化している姿を写し出している。

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