効果の高い業務用の処方を組む
同社は工場を持っていないので、開発はまず、処方が組める工場を探すところから始まった。協力してくれることになったのは、一般家庭用よりも強力な業務用の処方を組んでいる工場。最大12%まで次亜塩素酸ナトリウムを配合できる業務用の処方を組んでもらうことにした。この処方が後に〈特濃ストロングジェル〉になる。
問題は容器だった。処方の特性上、相当量のガスが発生することから、開けた瞬間、溜まっていたガスが一気に放出され、これに伴い中の液剤が噴射する危険があった。
そこで〈特濃ストロングジェル〉の容器は、フタにガスを逃す穴を設けることにした。しかも、穴からはガスだけ抜け中の液剤は漏れ出ない。万が一容器を倒しても安全だ。
液剤が漏れ出ずガスだけ抜ける秘密は、フタの裏側に貼ってある白いシートにある。ガスだけを逃す特殊な機能を持っているという。
〈特濃ストロングジェル〉のフタに明けられた、ガスを逃すための穴
フタの裏側。中央にガスだけ通し液剤は通さない特殊な白いシートが貼られている
容器本体も特殊だ。ガス圧に負けないよう特別に硬くした。
〈特濃ストロングジェル〉は高濃度ゆえに、こすることなく30〜60分程度つけた後に水で流せばカビが落ちる。石田氏が自宅で初めて使ったとき、今まで落ちなかったカビ汚れが落ちたという。
また、強力なために排水口の詰まり解消にも活用可能。髪の毛も溶かすほどだ。
〈特濃ストロングジェル〉は排水口の洗浄や詰まり対策にも活用可能。左のような状態でも液剤を投入し、しばらく放置してから大量の水で洗い流せば、右のようにキレイにすることができる
一般家庭用では最大の12%もの次亜塩素酸ナトリウムを含有しているため、左の髪の毛も右のように跡形もなく溶かすほどの効果がある
次亜塩素酸ナトリウム入りのカビ取り剤を敬遠する人たち向けに開発したのが、〈デイリーカビ退治・防カビプラス〉である。特徴は食品加工にも用いられる発酵乳酸とフルーツなどから採れる植物有機酸を使用していること。塩素はいっさい使っておらず、安全なものを目指して開発した。
塩素を使わないことで安全性は高くなったが、気になるのは効果。検証の結果、少なくとも413種類のカビや菌に効果があることが判明している。石田氏によれば、浴室には黒カビを含め何十種類ものカビがいて、場合によっては100種類を超える。大体の場合はこれ1本で足りるが、深く入り込んでしまいなかなか落ちないところは、漂白もできる〈特濃ストロングジェル〉が使うといった使い分けができる。
防カビ・抗菌に特化した〈防カビ・抗菌 スパークリングジェット〉はエアゾールタイプで、浴槽の高い位置に置いてワンプッシュするだけ。浴室はもちろん、換気扇の中まで防カビ・抗菌処理する。くん煙剤と違い、使用後に長時間放置したり換気する必要はなく、使用後にすぐ入浴できる。
〈デイリーカビ退治・防カビプラス〉同様、少なくとも413種類のカビや菌に効果があるが、処方はまったく別だ。アルコールや防カビ・抗菌剤などを使っている。
防カビ・抗菌処理を施した食パンと施さなかった食パンを3か月放置したところ、処理を施した食パンにはカビがいっさい発生しなかった。そのため効果は3か月持続と謳うことにしたが、実際はもっと長く効果を時速するという。「処方を組んでくれた工場には、現在も実験に使用した食パンが保存されていますが、処理を施したものには未だにカビができていません」と石田氏は話す。
防カビ・処理を施し3か月放置した食パン(左)と処理を施さず3か月放置した食パンの違い。処理を施した食パンにはカビがまったく見当たらない