
旅先で、周囲の景観を楽しみながらランニングをする「旅ラン」。NHK BSで専門番組が放送されるなど、旅好き&走り好きな人たちの間で、じわじわと人気が広がっている。
10か国以上のマラソン大会を走り抜けた!
旅ランナーの行き先は日本国内が主流だが、それにこだわらず、各国に足をのばし、しかもマラソン大会に出場し続けているのは、りんみゆきさんだ。
りんさんが走り始めたそもそものきっかけは、出産後の体型を早く元に戻し、育児ストレスも解消するため。走るモチベーションをアップさせようと、近場(アジア圏)の近距離レースに参加するようになって、旅ランの魅力に目覚めたという。
参加した大会は10か国以上にまたがり、子どもと一緒に走る5km程度のレースから、3日かけ60kmを完走するマルチデイウルトラマラソンまで、バラエティーに富む。もちろん、行く先々で観光も楽しみ、これからも参加したい大会は、いくらでもあるという。そして、6月には著書『海外のいろんなマラソン走ってみた!』(彩図社)を出している。
そんなりんさんに、海外旅ランの魅力と海外旅ランをデビューするための秘訣をうかがった。
思い出深いのは家族で参加した大会
― 今までの旅ランの中で、特に面白かった、印象に残った大会や場所を2つほど教えてください。
りんさん「どのランも、それぞれのストーリーがあって思い出深いものばかりです。なので、選ぶのは難しいのですが、しいていえば初フルマラソンの万里の長城マラソンと、じぃじとばぁばと子どもたちの3世代で参加したプーケットマラソンでしょうか。
万里の長城マラソンは、文字通りコースの一部は万里の長城。手足を使って急な階段をのぼるもので、産後7か月で挑んだのでちょっときつかったです。
でも通過する村の子どもたちにハイタッチで応援してもらい、元気をたくさんもらって完走できました。
アフターパーティでは、国籍もバックグラウンドも違うランナーが、北京の街中でしっとりとランについて語りあって楽しかったです。
プーケットマラソンは、我が家の毎年の恒例行事になっていて、5回も参加したリピーターです。そのうち2回は私の両親と、1回は夫の両親と一緒に参加しました。
参加した距離は違うけれど、ゴール地点でメダルを片手に家族一緒の記念写真を撮ったのは、皆にとっても一生の思い出になったと思います。ランの後は、ホテルのプールで一緒に泳いだり、ショーを見に行ったりと観光も楽しみました」
りんさんにとって、初めてのフルマラソンとなった万里の長城マラソン
りんさんの家族は、ニュージーランド人の夫のカートさんと、息子のタイキ君、娘のキミさんの4人構成。親子全員が走ることが好きという点も、りんさんの旅ラン熱に拍車をかけたようだ。海外旅ランを続けるコツは、家族の賛同・参画が大きいのかもしれない。
時差、飛行時間、気候など考慮して参加を
― 海外旅行の経験はあるけど、旅ランは未経験という方に、日本にいる間に準備・用意しておくべきことを教えてください。
りんさん「海外ランは場所にもよりますが、必ず時差と飛行時間がありますよね。アジアの場合はあったとしても時差1~2時間、飛行時間も7時間以内なので、現地入りした翌日のランもできないことはありません。
アメリカやヨーロッパとなると、飛行時間も長く昼と夜が逆だったりするので、現地時間に体が慣れるのに余裕を持った方がいいですね。
東南アジアのランは、早朝スタートですがかなり湿度が高いので、走る時に何を着るかも考えて何パターンか用意していくといいかと思います。
以前のマレーシアのウィメンズマラソンは午前3時スタートだったので、長いコンプレッションパンツをはいたのですが、走り始めて5分で汗だくになり、かなり苦痛でした。
季節が違う国だと薄着になりがちですので、現地の温度を調べていくといいでしょう。
9月開催のシドニーマラソンですが、南半球なので冬です。スタートラインで凍えていました。このマラソンでは、スタートするまで不要になった古着の長袖を着ていて、スタート時点で脱ぎ捨てていくのです。それをホームレスやシェルターに寄付する仕組みになっていると聞いて、素晴らしいアイデアだと思いました。
エネルギー補給のパワージェルなどは、食べ慣れているものを日本から持って行った方がいいでしょう。現地に同じものがない場合もありますし、いきなりレースで初めてのものを食べるのは、お腹がびっくりする可能性もあるので避けたいですね」
プーケット国際マラソンなど東南アジアの大会は早朝スタートが主
りんさんは、日本のマラソン大会にもいくつか出場しているが、「フードエイドのおもてなしがスゴイ!」点が印象的だったという。対して、海外の大会では、フードエイドは「ほぼなし」だそうで、日本の大会と同じという想定で行くと、あてが外れることがある。国内大会の経験が豊富な人でも、事前の情報収集はしっかり行っておくべきだろう。
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