人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

なぜ、飛べないクロツラヘラサギ、タイペイの繁殖は成功したのか?

2019.08.31

動物園の生き物はどんな飼い方をされているのだろうか。動物のことをもっと知りたい。日々、動物に接する動物園の飼育員さんに、じっくりとお話を聞くこの連載。動物園の動物の逸話を教えてもらおうというわけである。

今年開園61周年を迎えた東京都日野市の多摩動物公園。上野動物園の約4倍という広さの自然公園である。極力柵を排した展示は、野生に近い動物を観察できる。

シリーズ14回は、孵卵器でトリの卵を孵化させ、雛から成鳥まで世話をする、育雛という園内の野生生物保全センター内にある施設の物語である。

現在、センターではトキ、クロツラヘラサギ、小笠原諸島に生息するアカガシラカラスバト等の稀少種が飼育されている。特にトキの飼育歴は長く現在、9種類の世界中のトキ科の仲間を飼育。佐渡トキ保護センターからトキを預かり、孵化させ幼鳥にして保護センターに返す活動を担っている。

農学系を専攻した飼育員の石井淳子さんは、学生時代に多摩動物公園の実習に応募し、トキ舎のエリアを担当。動物園は動物を展示するだけでなく、野生動物の保護にも取り組んでいることに感銘。飼育員として上野動物園での4年を経て、多摩には8年前に赴任して以来、裏方的なポジションである育雛を担当している。

期待される保護鳥、タイペイくん

トキ舎のトキの飼育と繁殖を担当していますが、仕事はそれだけではありません。園内のいろんな鳥の卵が集まってくる施設なので、飼育員から持ち込まれた卵に関しては、すべて対応します。

動物園は自然の環境とは違いますから、例えばウォークインバードゲージという展示施設の通路のそばに、鳥が巣を作った。お客さんが真横を通ると落ち着かなくて、親鳥が巣から卵を落としてしまった。そんな卵を預かり、孵卵器で孵化直前の状態にして巣に戻してあげることもあります。

飼育の現場では、60才過ぎの大先輩の飼育員が私の師匠です。例えば外国産のクロトキのヒナに餌を与える時、針のない注射器のようなシリンジに餌を入れ、ヒナの口から与えます。親は魚を食べているので、魚をミンチにして与える。でも、それだけではヒナは育ちません。

「親が吐き戻してヒナに与えるものには、消化液が含まれているんだよ。親の消化液に似たものを餌に混合させなきゃ、ヒナは消化できないんだ」これも、師匠に教えてもらったことです。

トキと並行して飼育に携わっているのが、クロツラヘラサギ。アジアに生息し冬場に日本に渡ってくる絶滅危惧種で、目とヘラ状の大きなクチバシが黒い水鳥です。園には現在58羽います。動物園の飼育動物には血統の問題があって、集団で飼っていると、どうしても強い個体の遺伝子だけが繁殖してしまう。だから保護された野生の個体は大切なのです。

翼を広げると1メートルを超える大きなクロツラヘラサギは、保護施設では飼いきれない。2010年に台湾で保護され、多摩動物公園に来たタイペイというオスの個体は、血統の多様化を考える上で、貴重な個体でした。ところが、タイペイは翼を骨折していてほとんど飛べない。クロツラヘラサギは木の高いところに巣を作り巣の中で交尾して、オスとメスとで子育てをする習性があります。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年9月14日(土) 発売

DIME最新号の特別付録は「デジタルスプーンスケール」!さらに激変するスマホの大特集に最新iPhone情報も!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。