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あなたはどう?「美容院では話しかけられたくない問題」について考える

2019.09.12

朝井麻由美のひとみしり道場~コミュ障を直すための修行~【連載第5回】

《前回までのあらすじ》

ひとみしりを克服するためのセミナーに参加してみたものの、怪しさ全開のセミナーだった。とはいえ、自分がどんなひとみしりなのかについては少しずつわかってきた。今回はひとみしりならほぼ必ずぶつかる「美容院で話しかけられたくない問題」について考えてみる。


見ず知らずの他人に「かゆい」なんて主張はできない

「美容院で話しかけられたくない」と言うと、結構な確率で共感を得られる。もはや「あるある」と言って差し支えないだろう。人として生きる上での「あるある」、すなわち、人間あるあるだ。美容院・タクシー・服屋さん、この3つは三大話しかけられたくないスポットと言えよう。

 美容院へ行くと、あちこちの席で美容師と楽しく会話する人々を見かけることになるが、こうなったらもう、彼らが心の底から楽しいと思っているのか怪しいところである。これだけ周囲に「美容院で話しかけられたくない」と主張する人がいるのだ。美容師が話しかけてくるせいで仕方なく会話に応対している人のほうが多いのではないだろうか。これでは、どちらがもてなされているんだかわかりゃしない。ノーと言えない日本人の国民性が、この悲しい状況を生み出している。

 私はというと、前に行っていた美容院で、極力会話が発生しないよう慎重に過ごしていたのに、その努力すべてが無に帰したことがある。「身バレ」したのだ。Webで書いた記事が拡散されすぎて、バレた。職業もなにもかも秘密にしていたのに、SNS社会のせいで台無しである。髪にオイルタイプのトリートメントをつけながら、おもむろに「○○の記事書いてましたよね? 読みましたよ」と言われたのだ。

 それ以来、なんとなくその美容院からは足が遠のいてしまった。かねてより「美容院で話し掛けられるのが嫌だ」と発信しまくっていたため、今後それを読まれる可能性を考えると気まずくて合わせる顔がなくなってしまったのだ。何しろ私はいつも、美容院で今まさにシャンプーされた直後に、「かゆいところありませんか?」という聞き方についてTwitterでブツクサ文句を言うなどしていた。たとえ本当にかゆかったとして、見ず知らずの他人に「かゆい」と主張なんてしたくないし、そのせいでかゆい気持ちを解消できないままな人が日本全国どれだけいるのだろうか、と私はシャンプーのたびに嘆いている。とはいえ、最近は、「洗い足りないところありませんか?」と聞く美容師さんもときどき見かけるので、世の中は確実によくなってきていて嬉しい。

 また、美容院ではたいていシャンプー後にタオルで耳の中を拭き、その耳の中を拭いたのと同じタオルを使って髪をわしゃわしゃ拭かれることにも困っている。私はこれが結構許せないのだ。万が一、タオルに耳垢が付着してたらどうしてくれるのか。せっかく清めた髪の毛が台無しだよ。でも、あの……耳垢が……、なんて美容師さんに言えるわけなかろう。ポイズン。

アンケートでわかった美容師たちの本音

 話を戻そう。美容院で話しかけられたくない問題である。美容院で話しかけられたくない人は多いはずなのに、このすれ違いが一向に減らないのはなぜなのか。もしかしたら、マニュアルがあって仕方なく行われているのではないだろうか。だとしたら、美容師にばかり文句を言うわけにもいくまい。

 いっそ、美容師に真正面から聞いてみることにした。実際に通っている美容院でこんなこと聞けるわけもないので、美容師経験のある知人を辿ってアンケートをまいた。すると、「実は話したくない」と思っているひとみしり美容師がいることがわかった。アンケートを取った中ではざっと3割ほど。逆に言えば、7割の美容師は「人と話すの大好き!」と思っているわけだから、ひとみしりは少数派なわけだけど……。考えてみればそれは当然のことで、そもそも会話をしたくない人は、美容師という仕事を選ばないのだろう。私だって、たとえ自分に類まれなる髪切りの才能があったとしても、美容師には絶対になりたくない。

 マニュアルについては、ある店とない店があるらしい。ひとみしりの美容師が、マニュアルがある店に勤めてしまったらこのように地獄絵図である。

「私は2店舗経験しましたが、最初にアシスタントとして勤めた東京のサロンではマニュアルがありました。お客さんに話しかける行為は“8番”という暗号になっており、先輩から耳元で『8番お願いします』と囁かれたら強制的に話し始めなければいけませんでした」

 ちなみにこの人、次に勤めた店ではマニュアルはなかったものの……、

「2店舗目の店にはマニュアルはありませんでした。ですが、中途採用で入ってきたスタッフの1人は、前の店で話すことを徹底的に指導されていたのか、何かと『話をしなさい』と注意してきてウザかったです」

 とのことだ。少数ながらも、ひとみしりの美容師は確かに存在する。「客に話しかけたくない美容師」と「話しかけられたくない客」、互いの思いは同じはずなのに、お互いにとって嫌なこと(話しかける・話しかけられる)をわざわざしなければならないとは、なんという不幸なことだろう。美容師たちの声をもとに、さらに考察を深めていきたいが、長くなったので次回へ続く。

文/朝井麻由美
あさい・まゆみ
ライター・編集者・コラムニスト。東京都出身、国際基督教大学卒業。コラムニスト・泉麻人のひとり娘。
トレンドからサブカルチャー、女子カルチャーに強く、体当たり取材を得意とする。
『DIME』『SPA!』『ダ・ヴィンチ』『サイゾー』など、雑誌やWebで執筆。
『二軒目どうする?』(テレビ東京系)準レギュラー出演中。
著書に『ソロ活女子のススメ』、『「ぼっち」の歩き方』、『ひとりっ子の頭ん中』など。
https://twitter.com/moyomoyomoyo
https://www.facebook.com/moyomoyomoyo.asai

イラスト/曽根 愛

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