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「コストが上がっても値上げはしない」ネスレ・高岡浩三CEOが語ったプラスチックごみ問題への取り組み

2019.08.30

 国際的に問題になっている海洋プラスチック。環境破壊を防止するべく、世界レベルで真剣に考え対策を講じることが望まれている。

 そんな中、ネスレ日本は主力商品『キットカット』の大袋5タイプの外袋を、9月下旬出荷分から紙製に変更することにした。対象となる大袋5タイプは、『キットカット ミニ』(14枚入り/12枚入り)『同 オトナの甘さ』(13枚入り)『同 オトナの甘さ 抹茶』(13枚入り)『同 オトナの甘さ 濃い抹茶』(12枚入り)の5種で、年間で約380トンのプラスチック削減を見込む。どのような思いから大英断ともいえる取り組みを決断したのだろうか?

9月下旬出荷分『キットカット』(大袋タイプ)の紙製新パッケージ

日本も無関心ではいられないプラスチックごみ問題

 グローバル企業のネスレは、グループのビジョンとして「プラスチックを含むすべての包装材料を、埋立処分あるいはごみとして廃棄させないこと」を掲げており、2018年4月に「2025年までに包装材料を100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にする」というコミットメントを発表している。今回の決定は、廃棄物のない未来を目指すための取り組みを一歩進める形になる。

「グローバルのトップ企業がこれから100年、200年と永続して企業活動を続けていくためには、単に売上と利益を伸ばせばいいという時代ではなくなってきた。利益ある成長に関わるすべてのステークホルダー、株主、従業員とその家族、取引先、原料生産者の生活を守り、消費者にとっての問題の解決をもメーカーが担っていくという社会的責任が求められてる」

 記者発表の冒頭、代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏はこのように話す。ネスレというグローバル企業は世界中の様々な課題に向き合い、企業活動の戦略として社会問題の解決に取り組んでいくことを明確にした。

ネスレ日本 高岡浩三CEO

 世界各地で起こっている社会問題の解決を企業戦略に打ち出しているネスレが注目したのが、ごみ問題、とりわけプラスチックによる海洋汚染問題であった。一見すると先進国には関係ないと思われがちで、高岡CEOも以前は「海洋汚染は日本の問題ではないし、いくら日本が頑張ってもしょうがない、と思っていた」とのことだ。しかし、日本も無関心でいられないことがわかったことから、ネスレ日本でもプラスチックごみの問題に取り組むことになった。

 日本も無関心ではいられないと判断した背景は2つある。

 まず1つが、日本でのプラスチックごみの処理の現状。2017年のデータになるが、廃プラスチックの総排出量903万トンの処理で最も多かったのはサーマルリサイクルで、全体の58%。焼却時に発生する熱を何か別のエネルギーに転換することが最も主流になっている。マテリアルリサイクル(プラスチック原料、プラスチック製品への利用)23%、ケミカルリサイクル(化学原料などへの利用)4%と合わせると、80%以上がリサイクルに回っているが、実はサーマルリサイクルは、世界的なプラスチックリサイクルの定義に含まれるものではない。

 結果だけ見ると、日本はプラスチックのリサイクル先進国に見えるが、世界的な基準から見ると、そうではないことになる。

 もう1つは、今回対象とする『キットカット』の売れ行きだ。『キットカット』が世界で一番売れているのは日本。中でも一番の売れ筋が、スーパーなどで売っている大袋タイプである。購入者の15%が海外からの旅行者で、おみやげとして購入されている。

 大袋タイプは外袋だけでなく、中身もひとつひとつ包装されている。包材の原料はプラスチックである。高岡CEOによれば、ネスレ日本では数年前から『キットカット』の包材について議論してきたが、品質保持が問題になり、これまで包材の代替が進まなかった。

 しかし、日本で『キットカット』を購入した外国人、その『キットカット』を見た外国人が、品質に影響のないところの包材にまでプラスチックを使っているのを見たら「資源のムダ使い」と思いかねない。『キットカット』が世界で一番売れている国、日本が先頭を切って大袋の包材を紙製に変えるということは、インパクトが大きいことであり、そのことを決断したネスレ日本には、環境問題の解決にイニシアチブをとることについて「責任と義務がある」(高岡CEO)があるということだ。

 だからネスレは、思い切って包装材をプラスチックから紙に変更したわけだが、グローバルに商品を展開するブランドで紙のパッケージを採用するのはネスレ日本が初だという。

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