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【開発秘話】シリーズ累計出荷台数1000万台を突破した京セラのタフネススマホ「TORQUE G04」

2019.08.28

■連載/ヒット商品開発秘話

 日本でも根強い支持がある高耐久フィーチャーフォン(携帯電話)やスマートフォン(以下、高耐久端末)。釣り、登山、サーフィンなどアウトドアレジャーを楽しむ個人だけでなく、建設業や運輸業、警察など法人でも利用されている。

 高耐久端末で高い評価を受けているのが京セラだ。2008年4月に三洋電機から事業承継されたことをきっかけに手がけることになり、これまでに米国を中心に全25タイプを発売(事業承継後も継続販売した三洋電機ブランドのモデルも含む)。2019年8月30日には、26タイプ目の『TORQUE G04』(以下、G04)が日本で、auから発売となる。『G04』を除く25タイプのグローバルでの累計出荷台数は、1000万台を超えている。

日本で発売される『TORQUE G04』

使用環境が厳しい米国のニーズに応え開発

 高耐久端末のニーズが強いのは米国。三洋電機は米国のキャリア(電気通信事業者)、スプリント向けの端末を手がけており、市場のニーズに応える形で耐久性の高い端末を開発・提供していた。

 事業承継により三洋電機から京セラに移り、海外向け高耐久端末の商品企画を担当していた本多弘明氏(通信機器事業本部通信技術部 通信戦略課責任者)は次のように話す。

「米国は灼熱の砂漠地帯もあれば極寒の寒冷地もあるので、携帯端末の環境試験が厳しいところです。そのため三洋電機では、社内試験をやや厳しめに行なっておりました。耐久性が高いことを示す米軍のミルスペック準拠ではありませんが、キャリアやエンドユーザーからは好評でした」

 ミルスペック準拠を初めて謳ったのが、2007年4月に米国とカナダで発売した『SCP-7050』。三洋電機が開発・販売し、京セラへの事業承継後も三洋電機のブランドで継続販売された。開発、ブランドともに京セラに一本化されたのは、2011年10月に米国で発売された『DuraMax』からだ。

 ミルスペックに準拠することにしたのは、スプリントからの勧め。テストを受けてもミルスペックに適合しているかどうかは判定されないため、商品化の判断に悩んだという。本多氏は次のように話す。

「テスト機関でテストを受けると、結果に関するレポートが返ってくるだけで、合否は判定されません。結果を受けて合格/不合格を判断するのはベンダーに任されます。そのため社内では、品質保証の面で製品化していいのかどうかでかなり悩んだそうです」

 準拠するミルスペックの項目は、ユーザーのハードな使い方に対応するべく、ニューモデル投入に伴い追加される傾向にある。近年のモデルではミルスペックに加え京セラ独自の試験も追加し、耐久性・堅牢性を飛躍的に高めている。

 グローバルでの累計出荷台数1000万台の内訳は、海外880万台、日本120万台。海外の880万台のうちの800万台強は米国である。米国、カナダ、日本のほかには、中南米、欧州、韓国でも発売されているが、まだ歴史が浅いこと、現地の市場動向や実情が詳しく把握できていないことから、本格的な普及はこれからだ。

歴代の高耐久端末たち

耐久性以外の多彩なニーズにも応える

 耐久性のほかには、どのような性能・機能のニーズが高いのだろうか? 本多氏の後に海外向け高耐久端末の商品企画を担当している新居(にい)秀明氏(通信技術部通信企画部商品企画課)は、真っ先にスピーカーを挙げる。その理由は、トランシーバーとして使えるPTT(Push To Talk)機能が重要視されているためである。

 2011年10月に米国で発売した『Dura Max』から本格的に、米クアルコム社のPTTサービス『Qchat』への対応を本格化した。ところが、『Dura Max』は「音が小さい」とクレームがつく。「つくり変えてほしい」という要望が高かったことから、2012年6月に大型スピーカーを搭載した『Dura XT/同PRO』を米国で発売する。

「クレームの理由について聞いたところ、ゴミ収集作業中だと収集車の作業音がうるさくて聞こえない、ということでした。スピーカーが大きく出っ張ってしまったので気になりましたが、米国では『これがいいんだ』と好評。米国向けの端末では音が大切なことを、この一件で強く実感しました」(新居氏)

『Dura Max』(左)と『Dura XT』(右)のスピーカーの違い。『Dura XT』の大きさは圧倒的で、周囲が騒がしくても音声がしっかり聞き取れそうだ。

 こだわったのはスピーカーだけではない。まずは押しやすさ。フィーチャーフォンのキーパッドはラバー製で、押しやすい形状にこだわった。驚いたことに、「初期のモデルと最新のモデルで、ほとんど変わっていない」(本多氏)という。

2011年1月に米国で発売された『Taho』(左)とフィーチャーフォンの最新モデルで2017年9月に米国で発売された『DuraXV LTE』(右)のキーバッド。形状、サイズともにほぼ差がない

 押しやすさへのこだわりは、スマートフォンにも受け継がれた。「建設現場の作業者など、ユーザーには仕事中必ずグローブを着けている人もいるので、スマートフォンでは最初からグローブタッチができるようにしましたし、濡れた手でもタッチできるようにしています」と新居氏は話す。

 画面の見やすさや傷つきにくさにも、こだわったところだ。画面の見やすさは、暗いところでも見やすいように明るくしたほか、「偏光サングラスを掛けていると見づらい」という声を受けて改良したこともあった。傷への対応については日本よりも神経を使っている。傷が目立ちにくいツヤ消し塗装にしたり、画面には傷ができにくいサファイアガラスを使っている。

 特殊なところでは、北米向け端末は防爆仕様になっている。2014年7月に発売されたスマートフォン『Brigadier』以降の端末はすべて防爆仕様だ。「防爆仕様は米国からの要望です。用途を拡大するために化学工場でも使えるようにしたいということでした」と新居氏は話す。

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