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大きな手術は脳の老化を招く、米ウィスコンシン大学研究

2019.08.25

大きな手術は脳の老化を招く?

手術を受ける前には、出血や感染症のリスクについて説明を受けるものだ。しかし、大きな手術の後には、思考力や記憶力といった認知機能が低下するリスクもあることが、米ウィスコンシン大学マディソン校麻酔科学のRobert Sanders氏らの研究で示唆された。

手術を受けた人において、術後わずかだが長期にわたる認知機能の低下が認められ、そのリスクはほぼ2倍に上ることが示されたという。詳細は、「BMJ」8月7日オンライン版に発表された。

Sanders氏らは今回の研究で、英国の公務員7,500人超のデータを調べた。対象者は1985~1988年に研究に登録され(登録当時の年齢は35~55歳)、1997~2016年に最大で5回の認知機能(記憶力、判断力、言語流暢性など)検査を受けていた。

平均12.9年の追跡期間中、4,525件の手術が実施され、4,306件の入院があり、151例の脳卒中が認められた。Sanders氏らが加齢に伴い予測される脳機能の低下を考慮してデータを解析した結果、2日以上の入院を伴う大きな手術では、認知機能のわずかな低下(平均で5カ月未満の老化の進行に相当)と関連することが分かった。

また、2日以上の入院は1.4年、脳卒中は13年も脳の老化が早まることに関連していた。

このほか、認知機能の低下がみられた人の割合は、入院しなかった人ではわずか2.5%にとどまっていたのに対し、手術を受けた人では5.5%、入院した人では12.7%であった。

なお、Sanders氏によると、研究の対象者が受けていた手術の種類はさまざまであったが、ほとんどの手術で同程度の認知機能の低下が認められたという。ただし、緊急手術はそれ以外の手術と比べて認知機能の低下度が高かった。

こうした結果についてSanders氏は、「大きな手術により認知機能低下のリスクがほぼ2倍に上昇する結果が出たとはいえ、全体的には認知機能の低下がみられた患者数は少なかった」として、動揺する必要がないことを強調している。

また、今回の研究では、手術を受けた人よりも病院に入院して薬物治療を受けた人の方が認知機能の低下度が大きいことが示されたことも指摘している。

ただ、この研究は手術と認知機能の低下に因果関係があることを証明するものではないため、手術がどのようにして認知機能に影響を与えるかは不明だという。

可能性としては、炎症や脳卒中、軽度の脳卒中、周術期に使用される薬剤などの関与が考えられるという。

一方、この論文の付随論評を執筆した英ケンブリッジ大学のCarol Brayne氏は、術後の認知機能の低下には複数の要因が関与している可能性があると指摘する。

同氏は「手術を受ける人の特徴や、手術が必要となった理由のほか、麻酔薬や手術自体のプロセス、術後のさまざまな問題が関与していると考えられる。また、これらが相互に影響しあっている可能性もある」と話す。

Sanders氏とBrayne氏の両氏は、手術とその後の認知機能低下との関連は術前に考慮すべき問題ではあるが、手術の有益性が認知機能低下リスクを上回る場合がほとんどであるとの見方を示している。

また、この問題に対する理解を深めるためにさらなる研究が必要であるとし、最終的にはそれが手術の安全性を高めることにつながりうるとの見解を述べている。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.bmj.com/content/366/bmj.l4466

構成/DIME編集部

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