
昨今、大手企業の脱終身雇用宣言をはじめ「終身雇用の崩壊」が叫ばれている。そこでワークポートは、実際に働いている人たちはどのように考えているのか意識調査を実施した。
同調査により、定年まで働くことを想定していなかった人は約70%ということが判明。はじめから後のキャリアを見据えての入社であったり、キャリアアップの手段として転職を考えていたりする意見が大多数という結果だった。今回は、調査の詳細をさらに深堀りしてみたい。
定年まで働くことを想定していなかった人が約70%
対象者に、現在の会社(直近まで働いていた会社)に入社したとき定年まで働くことを想定していたか質問したところ、68.6%の人が「いいえ」と回答し「はい」と回答した人は31.4%となった。
一方で、「定年まで会社が存続できるとは思えないから」(20代・男性・接客販売)や「ずっと居たいと思うような会社ではないから」(30代・男性・アシスタント)、「転職が普通な時代。やりたいことを見つけるために転職を前提に入社した」(20代・女性・DTPオペレーター)など、“とりあえず入社した”というような意見も散見され、全体的に転職に対するハードルが下がってきていることも今回の結果の一因となっていると考えられる。
半数以上が終身雇用制度は「必要ない」
終身雇用制度は必要だと思うか質問したところ、54.3%が「いいえ」、45.7%が「はい」と回答した。必要ないとする人の意見では「能力よりも年功序列での評価になりやすく、そのデメリットが大きすぎる」(30代・男性・エンジニア)、「企業成長のためには新陳代謝は必要」(30代・男性・営業)、「副業や転職、キャリアの方向性を自分で自由に変えられる仕組みの方が現代的」(30代・男性・接客販売)など、能力に見合った評価に対する懸念や、働き方の多様化が進む社会においては人材の流動が更なる成長につながるとする意見が目立つ。
また、必要とする人の意見では「年金ももらえるかわからない時代だからこそ、終身雇用は必要」(40代・男性・コールセンター)、「ライフプランを立てる上で収入の安定は必要だから」(30代・女性・管理)といった長期的な収入の安定を求める声が目立った。ほかにも、転職弱者やキャリア弱者のための終身雇用はあった方がいいという意見も挙がっている。
年功賃金制を支持するかという質問については、71.9%が「いいえ」、28.1%が「はい」と回答しました。支持しない人の意見では「年齢が上でも実力がない人がいるため」(20代・男性・システムエンジニア)、「能力があるのに賃金が低いと働く意欲が下がるため」(30代・女性・医療福祉)といった、仕事へのモチベーションを保つためにも年齢ではなく実力で評価されるべきという意見が多くみられた。
支持する人の意見では「年齢に応じて必要なお金も増えるから」(30代・男性・機械系エンジニア)、「頑張って働いてきた証だと思うから」(20代・女性・接客販売)といった、ライフスタイルの変化に伴う出費の増加を考慮した意見や、同じ会社で長期間働いたことを評価するべきといった意見が目立つ。
約70%がよりよい職場・働き方を求め転職も
対象者に、「できれば転職せずにひとつの会社で長く働き続けたい」と「必要に応じて何度か転職してもよい」のどちらが自身の働き方の価値観に近いか聞いたところ、後者と回答した人が68.4%となった。70%近くの人が、働き方のひとつの選択肢として「転職」を前向きに捉えていることがわかる。
今回の調査では、終身雇用制度や年功賃金制の必要性について「年齢や勤続年数にこだわらず公平公正に実力を評価してほしい」という意見が多く挙げられた。
その一方で、年齢や勤続年数を評価する制度による長期的な収入の安定をメリットとする声も挙がっている。長期的な収入の安定を求める一方、制度にあまえて実力以上の報酬をもらう人がいる実態に不満がある様子がわかる。
採用難の時代、優秀な人材の定着率を上げていくためにも、企業には年齢と実力のバランスを正当に評価し、報酬に反映する力が求められているのではないだろうか。
調査内容 :終身雇用について
調査対象者:当社を利用する求職者
有効回答 :405人
調査期間 :2019年5月29日~6月5日
構成/ino
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