
■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議
スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は新型『iPhone』が発売されたら、駆け込み購入は起きるか? 議論します。
端末割引の原資はどこから出ているのか
房野氏:もうすぐ新しいiPhoneが発表されると予想されますが、家電量販店などで現行iPhoneの割引販売がまた活発になっているそうですね。
iPhone XS/XS Max
房野氏
石野氏:iPhoneは駆け込みで買い時ですよ。値引きもしていますね。
石野氏
法林氏:auとソフトバンクは“4年縛り”で加入させまくっている。
法林氏
石川氏:10月以降になると上限2万円の割引になるので、今、4年割賦のアップグレードプログラムで猛烈に売りまくっている。
石川氏
石野氏:週末じゃなくても一括0円に近い。
法林氏:家電量販店でね。
石野氏:iPhone XRが2万円程度になるレベルの値引きがされている。XR専売かみたいな感じで、大きな看板を出しているお店もある。
iPhone XR
石川氏:10月を超えても既往契約はそのまま適用されるので、“4年縛り”で買った人は、またずっと縛られる。
石野氏:最低2年は縛られる。
石川氏:だから今、駆け込みでやっている。
法林氏:違約金が9500円のうちにユーザーを囲い込んでおく作戦。キャリアは、家電量販店がポイントを稼ぐためにやっているという言い方をしているけれど、裏でお金の動きがどうなっているかはわからない。キャリアがお金を出しているかもしれないけれど、どういう形でやっているかはわからない。
房野氏:最終的に販売奨励金を出すのはキャリアですよね。
法林氏:“夏のセール応援費用”みたいな形で出しているかもしれないし、どういう形かはわからない。これも憶測ですよ。
石野氏:形はわからないですけど、出所はなんだかんだ言っても……。
房野氏:Appleとかメーカーも出しているんですか?
法林氏:Appleは相当まずい状況。
房野氏:そうなんですか?
法林氏:そりゃそうですよ。だって値引きできないわけですから、10月以降、今と同じ価格で新しい商品を出しても売れるはずがない。単純な割賦販売しかできないわけですよ。だから値段を下げていく方向にするしかないんだけど……。
房野氏:古い端末の価格は下げられるんですよね?
法林氏:生産終了を宣言しないとダメ。iPhone 7/7 PlusもiPhone 8/8 Plusも生産終了は宣言されていないんだよね。
iPhone 7/7 Plus
iPhone 8/8 Plus
石川氏:世界のどこかで製造している。
石野氏:一般的に、Appleも含めメーカーが代理店経由で値引きの原資としてお金を多少入れることはある。
法林氏:「キャリアさんで端末を売って数を取りたいので、ウチがこれくらいの台数と販促費の予算を用意します。キャリアさんは出していただかなくて結構です」といってメーカーさんがお金を出している可能性はある。
石野氏:メーカーの言い分としてはブランド力を落とさないため。ウチは値引きなんてしませんよと言いつつ、キャリアを使って裏で値引きさせることができるので、メーカーは安売りをしないというイメージを付けられつつ、同時に値段は落とせるというメリットがある。まぁ、一般論ですよ、一般論。
石川氏:こういったメーカー主導の販売奨励は、携帯電話に限らず、家電全般の販売にいえることなんですが……。
法林氏:そう。テレビだろうが洗濯機だろうがやっている。
石川氏:最近はキャンペーン的にPayPayポイントをあげますとか、各社のポイントをあげますというものをメーカーとキャリアでやっていたりするので、メーカーにとってだいぶキツくなっているのは事実としてあると思います。