数年後、電気自動車の時代が本格的に到来しそうな気運が高まってきた。各社が開発にしのぎを削る中、先行する欧米の2社から注目の新型車が登場した。どこまで進化したのか? 本当に実用的といえるのか?乗ってみてわかった最新EVの実力を解説したい。
今、世界中の自動車メーカーが懸命に開発しているEV(電気自動車)。国産勢は日産が他社をリードしているが、トヨタも今秋の東京モーターショーにはEV攻勢をかけてくることが予想される。海外勢もメルセデス、VW、ボルボが専用のブランドを立ち上げており、7月にはメルセデスが「EQ」シリーズを発表。当然、日本市場にも新型車を投入するはずだ。
海外勢の中でEVを先行させてきたのはジャガーとテスラ。この2社の最新モデルが登場したので、早速、比較試乗した。
テスラとジャガー、全く異なる開発背景と戦略
テスラはクルマ業界と無縁だった実業家のイーロン・マスクが立ち上げたEV専門の自動車メーカーだ。2010年に日本市場に2シーターのスポーツカーを投入。当時は乗り心地やハンドリングもまだまだというレベルで、単に直線が速いだけのクルマだった。
その後1000万円クラスの高級セダンとSUVを発売、たちまちEV業界の頂点に立った。EVが高級車として通用するとは誰もが思ってもみなかった時代に、イーロン・マスクは逆に好機ととらえ成功した。そのテスラが第4弾として発表したのが『モデル3』。
米国ではコンパクトカーだが、日本ではミドルクラスの4ドアセダン。車両価格も500万円台〜と、これまでのテスラ車の約半分に設定した。今回試乗したのは日本市場向けの先行モデルだったが、これまでのモデルと比べて、ハンドリングや制御などが大きく進化したことがはっきりわかった。
レースで培ったノウハウを市販車に注入するジャガー
一方、ジャガーは言わずと知れた英国の高級スポーツカーブランド。同社もいち早くEVに注目し、新型車『I-PACE』の発売前から、EVのフォーミュラカーレース「フォーミュラE」に参戦。しかも前座レースに同社のEVワンメイクレースも作るほど力を入れている。
「フォーミュラE」は世界各地で全13戦開催されており、最近では欧州メーカーが次々と参戦しているが、ジャガーはここで得たノウハウをEVの開発に生かしてきた。今年、日本に上陸した新型車『I-PACE』はEVの性能だけでなく、ハンドリングから品質までどこを取っても、業界のベンチマークとなるクルマに仕上がっている。