
日本の大手3キャリアで、唯一eSIMのサービスを提供しているのがauだ。同社は国際ローミング専用キャリアのGigSkyとタッグを組み、海外専用サービスとして「海外データeSIM powered by GigSky」を2019年4月に開始した。当初は北米専用のサービスだったが、7月には対象エリアを大幅に拡大。全96の国や地域で、サービスを利用できるようになった。
eSIMとは、端末に内蔵された書き換え可能なSIMのこと。スマホでは、iPhone XS、XS Max、XR以降のiPhoneがこれに対応。タブレットでは、2018年11月に発売されたiPad Pro以降のiPad AirやiPad miniがeSIMを利用できる。
携帯電話事業者の業界団体であるGSMAが標準化を担い、世界各国のキャリアが続々と対応を始めているサービスだ。
この海外データeSIMをiPhone XRに実装し、米ニューヨークで使ってみた。ここでは、その使い勝手や速度、料金などをレビューしていきたい。
auの海外データeSIMをニューヨークで使ってみた
アプリから簡単に設定でき、iPhoneがDSDSに
eSIMとはいえ、難しい設定は特に必要ない。App Storeから「海外データeSIM」のアプリをダウンロードし、手順に従っていくだけだ。eSIMを使ったサービスは、国内外、さまざまなキャリアが提供しているが、いずれもiPhoneで利用するにはSIMロックの解除が必要。一方で、海外データeSIMについては、auのSIMロックがかかったiPhoneでも利用できる。SIMロックの解除は、割賦で購入した場合でも、101日目から無料でできるが、それを待たず、買ってすぐに設定できるのはうれしいポイントといえるだろう。au以外のiPhoneでも、SIMロックを解除するか、SIMフリーであれば海外データeSIMを利用できる。
プランの購入や設定は、アプリで行う
海外データeSIMのアプリを起動すると、30日プランの選択肢が2つ表示される。1つが5GBで5800円のもの、もう1つが8GBで8900円のものだ。どちらかを選び、「購入」をタップすると、アカウント作成の画面が表れる。支払いには、クレジットカードが利用可能。「au Walletプリペイドカード」が登録可能な旨をわざわざ記載してあるのは、KDDIのサービスらしい。ただし、残念ながら、auユーザーでも毎月の携帯電話利用料に合算して支払うことはできない。登録の手間を考えると、ぜひ「auかんたん決済」に対応してほしいと感じた。
アプリを起動したあと、プランを選択
アカウント作成後、支払い情報を入力する。クレジットカードが必要
クレジットカードを登録し、データプランを購入すると、eSIMの“中身”であるプロファイルのダウンロードが始まる。プロファイルのダウンロードには、海外データeSIMとは別のデータ通信回線が必要になるため、ここまでの作業は日本で済ませておくようにしたい。プロファイルをダウンロードすると、iPhoneのアンテナマークが上下2つに分かれる。iPhone XS、XS Max、XRは「DSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)」に対応しており、eSIMが有効になったときだけ、この表示に切り替わる仕掛けだ。
プランを購入すると、その後の設定方法を説明する画面が現れる
ここからはアプリではなく、iPhoneの設定画面になる。まずは説明を読み、「モバイル通信プランを追加」ボタンをタップ
主回線と副回線にラベルをつけることが可能。管理しやすい名前をつけておこう
海外データeSIMはデータ通信のみのため、デフォルト回線には設定しない
DSDSのため、普段使っている回線で待受けしつつ、データ通信だけ、別の回線を使用することが可能だ。ここでは、海外データeSIMを副回線に設定した。iPhoneには複数のeSIMプロファイルをダウンロードしておくことができ、「設定」の「モバイル通信」で切り替えられる。アクティベートした海外データeSIMが有効になっていることを確認しておくようにしたい。一部のキャリアではAPNの設定が必要になるが、海外データeSIMでは自動で設定されたAPNをいじらなくても、テザリングまで利用できた。
APNの設定などはする必要なく、テザリングも利用できた