
夏になるとなぜか辛い料理が食べたくなる。最近では「スパイスカレー」の人気にもみられるように、スパイスや生山椒などの生スパイスに注目が集まっているようだ。今の「第4次激辛ブーム」の特徴とともに、トレンドの激辛料理が食べられる店をホットペッパーグルメ外食総研に聞いた。
第4次激辛ブームが到来中!
ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員 有木真理さんによれば、今は第4次激辛ブームだそうだ。第1次から第4次までの流れをみていこう。
「激辛ブームは社会的なストレスと関係しています。第1次ブームからの流れは次のように変化しています」
●第1次激辛ブーム(1985年前後)
「『激辛』が1986年の流行語大賞銀賞に選ばれました。この頃は『カラムーチョ』が代表として辛いお菓子が世に出回りました。当時はバブル期で、『24時間働けますか』というキーワードが流行り、労働時間をいとわずモーレツに働く働き方を推奨するプレッシャーのあった時代です」
●第2次激辛ブーム(1993年~1999年くらい)
「バブルが崩壊し、時代の空気は不景気一色。タイ料理やインドネシア料理など、アジアの辛い料理を中心とした激辛ブームが訪れました」
●第3次激辛ブーム(2003年~2010年くらい)
「団塊ジュニアが30代となり、働き盛りの競争社会がストレスを生んだ時代です。第3次は辛さのレベルが上がりました。『蒙古タンメン中本』、『宮崎の辛麺』、『石垣のペンギン食堂のラー油』などが登場しました。ハバネロが日本で親しまれるようになってきたのもこの頃です」
●第4次激辛ブーム(2018年~)
「現在はコンプライアンスや時間当たり生産性が求められるストレス社会です。そんな中で、第4次を迎えた激辛ブームの特徴は、唐辛子だけではなく、花椒、カレー、胡椒、ゆず胡椒など、『辛みのバラエティーが増している』ことと、より強烈な刺激、つまりしびれを求める『ストロング系』という2点が特徴です」
次なるブームになるかも?「生スパイス」
この第4次激辛ブームの中、有木さんは次に注目しているのは生山椒や生胡椒といった「生スパイス」だという。
「辛みだけではなく、香りや食感を楽しめる“生スパイス”は、和食やイタリアン、フレンチなどでも活用され、今後ブームになる予感です」
●生スパイスとは?
例)生唐辛子、生胡椒、生山椒(実山椒)、木の芽(山椒の若葉)、生花山椒、生ショウガ、生ガーリック、生わさびなど。
「乾燥させたドライスパイスではなく、生のまま具材として料理に入れられるもの。特に生唐辛子や生胡椒などがこれから広まっていくと考えられます」
●生スパイスに注目が集まる背景
「第4次激辛ブームの中で生まれた『しびれ』『マー活』『スパイスカレー』のブームを経て、バラエティー豊富で奥深いスパイスへの人々のこだわりがより一層強まっています。スパイスも本格志向の時代。ただ刺激的、辛いだけではなく、香りや食感など、スパイスをありのままの形で味わう生スパイスのスタイルが出てきているのです。
生スパイスがもたらしてくれるのは、刺激と香り、また食欲増進やデトックスのイメージです」
今後は、この生スパイスに注目してメニューを選んでみるのもいいかもしれない。