ベッドサイドのスマホ充電器で感電事故、米症例報告
ベッドにスマートフォン(スマホ)を持ち込むのは、睡眠の妨げになる以外にも、身体に害になる危険性をはらんでいるようだ。
米ミシガン大学C.S. Mott小児病院のCarissa Bunke氏らは、ベッドサイドで使用するスマホ用の充電器に関連した感電ややけど(熱傷)の症例について、「Annals of Emergency Medicine」7月17日オンライン版で報告した。
近年、スマホ用充電器と身につけたネックレスなどの貴金属が接触し、就寝中に感電ややけどを負う事故が増えているという。
Bunke氏らのチームは、19歳の米国女性の事例を報告。女性は、就寝中に首に痛みと大やけどを負い、救急外来に搬送された。女性は、ベッドでiPhone用のUSB充電ケーブルを下じきにして寝てしまったのだという。
女性は、純正品ではない安価な充電器を使用していた。事故当時、充電ケーブルはスマホにはつながれていなかったが、プラグはコンセントに挿したままの状態だった。
ケーブルの先端が、女性が身につけていた金属製のネックレスに接触したことが原因で感電し、激しい痛みとともに首の周りにほぼ円形の重度のやけどを負ってしまったという。
Bunke氏によれば、スマホ用の充電器による感電ややけどの症例のほとんどは軽症で、皮膚の表面をわずかに損傷するにとどまる。
しかし、表皮の下の真皮にまで達するⅡ度熱傷で、皮膚移植などの処置を必要とする場合もあるという。なお、今回の事例では、患者は痛み止めのモルヒネと感染予防のための抗菌薬を処方され、その日のうちに退院できた。
Bunke氏は、充電器による感電リスクには、「ベッド周りの充電器の置き場所だけでなく、その種類も重要だ」と強調する。
今回の事例で使用された非純正の充電器は安全性に問題があることが多く、純正品と同じような安全性や品質が確保されていないことも明らかになってきているという。
一方で、純正品であっても充電器に問題が生じる可能性もあるようだ。Bunke氏らが報告した若い男性の事例では、男性は純正のiPhoneの充電器を使用していたが、装着していた金属製のチェーンがケーブルの先端に接触した後、感電したショックでベッドから投げ出されたという。
携帯電話用の充電器では、出力側の電圧はそれほど高くないとされる。しかし、Bunke氏らのチームによれば、電圧はそれほど重要ではなく、「弱電圧のデバイスでも、電流が強ければ電気ショックをもたらす可能性がある」と指摘する。
この問題の解決策として、同氏は「ベッドにスマホを持ち込まないこと。そして、スマホを充電しない時は、充電器をコンセントから抜くこと」としている。
専門家の一人で、米国救急医学会のスポークスパーソンを務めるLeigh Vinocur氏は、「私自身も、目覚まし時計にするためiPhoneをベッドサイドに置き、外出時には充電器をコンセントに挿したままにしていた。さらに、非純正の充電ケーブルを使っていた」と話す。
しかし、今回の研究結果を受けて、「この問題にもっと注意を払わなければならない」と思い直し、純正の充電器を探し、電源ケーブルに問題がないかを確認するようにしているほか、ベッドにはスマホを持ち込まず、外出時にはプラグをコンセントから抜くように心掛けているとしている。
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S019606441930438X
構成/DIME編集部