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「女に経営のことがわかるのかと言われたこともありました」一部上場企業の女性社長が語るマネージメントのヒント

2019.08.14

それから、営業と車に同乗して得意先へ

部下への接し方も変わった。

「まず、正直にやろうと思ったんです」と中島社長は言う。それを言われた次の日、営業担当が出かけようとしたときに、車のドアをコンコンと叩いて「鍵を開けて」と言った。すると営業は窓だけ開けて、「なんですか?」と言う。

「今日はあなたと一緒に乗っていく予定しているんやわ」と言ったら、「結構です。そんなことしなくても。僕は今日商談ですから」と部下は答えた。「商談の邪魔にならんようにするから」と言って、鍵をあけて乗った。群馬や埼玉に向かった。その間、営業パーソンと、ずっと一緒だった。その結果、だんだん打ち解けてきた。

「対面で30分や1時間面談したって、なかなか本音は聞けません。ですが、1日中同じ車に乗っているわけですから。家族の話もするようになったし。商談で困っていることがあるという話も聞けた。営業担当といっしょに訪問した会社で、先方は社長さんと営業本部長さんが出てきた。そこで、『私と一緒に商談に来るの、営業が嫌がるんですよ、悪いけど営業は御社の営業本部長さんと商談させてやってください。社長は私にぜひいろいろ教えてください』と言って分離しました。そうしたら、営業もきちんと商談できますし。私は私で社長さんの考え方とか経営理念とか聞くことができて、非常に勉強になり良かったですね。

営業は営業で、悩みがあるわけですよね。個人の悩み、家族の悩み、自分自身の営業スタイルやキャリア形成であるとかいろいろなことが聞けるようになって、すごくよかったです」

これを営業担当全員と行った。その結果、全営業の信頼を得ることに成功した。同行して聞いた話は毎日ノートに書き留め、さらにコミュニケーションを深めた。社員との会話を書き留める仕事は社長になった現在も行っている。また、1日1行日誌を20歳の事故から続けており、「今では一行を書かないと眠れない」と笑った。

女性だから得したこともあった。

「部長・支店長の人数はたくさんいたんです。グループ全体会議といって、各工場長も出てくる会議が月1回あるんです。ずっと女性は1人だったので、叱責も一番先でしたが、生活者・消費者目線の意見は必ず聞いていただけるし、重宝してもらえる。だから、自分も本やニュースなどの世間一般的なことに書いてあるようなことは言わずに、自分が肌身で感じていることを言わなきゃいけないと思う。そうすると、現場をよく知らなきゃいけないですよね。そうすると、お客さんのことに深く入るようになるし。良い循環で自分は良かったなと思います」

学習する組織を目指す。子どもも親の後ろ姿を見て育つ

その後、営業本部長に就任、取締役、社長に就任と順調にキャリアを重ねた。

今後、井村屋グループをどうしていきたいか問うと、「私が目指しているのは、人間的魅力を持った社員が集まっている学習する組織です。一生学ぶ時代じゃないですか。よく社員にも言っているのは、お父さん、お母さんが一生懸命働く、そして自己成長を果たしている。勉強したり本を読んだり新聞を読んだりして、自己成長をしようとしている。その姿を見ていたら、子どもも絶対後ろ姿を見て、お父さん、お母さん、真面目にしっかり生きているな、僕らもそうしなきゃと思う。それが、ずっと、DNAとなって代々受け継がれていくと思うんですよね。

だから、自分たちが社会に貢献をしよう、そのために勉強をしよう、会社でしっかり働こう、家族を大事にしようと。そういう心が、やっぱり必要です。それは必ずや、会社だけじゃなくて子どもにも家風として伝わっていくということを話しているんです。その親の姿を見て、子どもたちは、生き方を学ぶんだと思うんですよ。だから、勉強してほしいなというのはあります」と答えた。

実際、中島社長の後ろ姿を見て育った子供たちは「お母さんはほったらかしだった」と言いつつ、立派に独り立ちしている。洗濯物の取り込みすらしてくれなかったが、一生働くことに理解を示してくれた夫は、昨年旅立った。

座右の銘は1人の100歩より100人の1歩。能面彫りと料理と掃除がストレス解消法だという。

女性営業職のロールモデルがいなかった井村屋グループで、キャリアを築いてきた中島社長。これからの日本に不可欠な女性の活躍を先導してきた中島社長が率いる井村屋グループは、彼女の背中を見て育った社員たちと共に今後もっと女性が活躍できる会社として成長していくだろう。さらに中島社長の社長就任は、女性だけでなく、アルバイトや非正規で働く人にも「アルバイト出身でも上場企業の社長になれるんだ」と元気と勇気を与えたはずだ。

【中島 伸子(なかじまのぶこ)社長Profile】
1952年生まれ、新潟県新井市(現:妙高市)出身。1978年に井村屋製菓㈱(現:井村屋グループ㈱)に正社員として入社。1998年に北陸支店長、その後、東京へ単身赴任して、関東支店長、取締役マーケティンググループ長を歴任。2011年に本社のある津市へ単身赴任して、井村屋グループ㈱の常務取締役、専務取締役、代表取締役副会長を経て、19年4月より井村屋グループ㈱代表取締役社長(COO)に就任。

取材・文/稲垣有紀


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