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「女に経営のことがわかるのかと言われたこともありました」一部上場企業の女性社長が語るマネージメントのヒント

2019.08.14

創業以来初めての女性社長が誕生した「あずきバー」で知られる井村屋グループ。前編では、中島社長が営業所長になるまでを聞いた。後編では、女性管理職として男性部下のマネージメントに困った時、どのように活路を見出したのかといったことを聞いた。

前編はこちら

始業までに新聞4紙を読み終えるようになったきっかけ

その後、中島さんは順当に福井営業所長から、北陸支店長になった。

「あるときに、井村屋の株も持って頂いているある県の商工会議所のお偉いさんと名刺交換で支店長の名刺を出したのね。そしたら、まだまだ女性の食品業界の支店長なんてほとんどいなかったので、経営が分かるのか、支店長だったら、経済のことも知らないといけないやろとおっしゃった方がいて。一応、勉強しているつもりなんですけどと言ったら、今日の株価はいくらやった? 日経平均はいくらやった? 日本は今どれだけ借金があるのか? と質問されたんですよね。新聞なんて、ずっと継続して読まなきゃ世の中の動きなんか分からんやろ、とバーンと言われてね。『女からものが買えるか!』と。そんな時代ですよ。びっくりしました。井村屋に対してすごく期待をされている方だったんですけれど、私は、それに応えられなかった。それから、今のような、始業までに新聞4紙を読み終えるスタイルになりましたね」。

北陸支店でも成果を出した中島さんは、子どもも大きくなっていたこともあり、単身赴任で関東支店長になった。当時、関東支店は全社の4割くらいの売上をもっていた。

「営業は全国で100人以上いたんですけど、女性は私1人だったんです。全部、男性だったんですよ」と中島社長は言う。その孤独感はいかなるものかと思う。

「お客さんのところへ行くと、商売にならないんですよ。お客さんに単身赴任か、旦那さんはどうしているんやとか身の上話をいろいろと聞かれて、商談時間が終わっちゃうんですよ。営業は嫌がるのね。あまり営業の人たちからは好かれていないなと思いました。お客様のところに一緒に行くと言っても、結構ですと言われるし。売上も少し下がってきたので悩みました。

あるときに、小規模なチェーン店が肉まんの取り扱いを止めた。売り上げが減って「これは弱ったな」と考えた中島社長は、上野動物園の出店に、同社のパンダまんを売ると会議で提案をした。すると、中島社長より年上の課長が「女性の支店長は面白いアイディアを出しますね」と言ってくれた。

「中華まん」シリーズにはほかに、あんまん、ピザまんがある。

小さい支店から来た所長に億の売り上げは分からない。女性支店長は要らない

ところが、そういってくれたのに、1カ月経っても、2カ月経っても、営業は商談に行かない。どうしてかなと思った中島社長が若い営業パーソンに聞いたところ、こう言った。

「だから、小さいところからきた支店長は嫌なんですよ。北陸支店だったら、1店、2店くらい新しい販売先を獲得すれば、効果は大きいでしょうが、僕らは1人何億も予算を持っていて、1店、2店開拓していても、全然予算達成につながらないんですよ。だから、小さいところから来た支店長は嫌なんですよ」と言われて、大きなショックを受けた。

悩んだ末、部下に女性の支店長をどう評価するかというアンケートを取った。選択肢の1番はいないほうが良い、2番はいなくてもよい、3番は普通、4番はちょっと役に立つ、5番は新しいアイディアが出るとか、新しい視点があると中島社長自らが作った。

「なんとですよ。1、2のいないほうが良い、そういう人が3割です。あとは、3をつけた人、全て3以下と白紙だったんです。1とつけた人の何名かは回答に自分の名前を書いてきたんですよ。これはショックでした。やっぱり、名前を書くということは、いないほうがいいと僕は思っている、何か文句があったら聞きに来てくれよということでしょ」。

1週間、悩んだ中島社長は、もうだめだと思って辞表を書いて、浅田専務(現:井村屋グループ代表取締役会長)の所に持っていった。

「部下の信頼もないし、売上も少しずつ下がっています。私は会社の期待に添えるかと思って転勤してきたんですけど、やっぱり無理です。退社させてください」と辞表を出したら、浅田専務は見もしなかった。そのまま返して、「何を言っているんだ。お客さんに評価を聞かずに、若い社員に評価を聞いて、それで自信がないとはどういうことや。甘えるのもいい加減にせい。そういう評価を聞きたいんだったらお客さんから聞け。得意先をまわりもせんとそんなことを考えている余裕があったら1件でも多く得意先をまわってこい。はい、終わり!」と。

「今、思うと、すごい優しさだったと思います。でも、私、まだそのときはそれが分からなくて。厳しいなと思いましたよ」。5階に専務がいて、3階まで裏階段を降りてくる間、涙が止まらなかった。でも、よく考えたら、家族を置いて単身赴任できて、そして自分の目的は、やっぱり井村屋の商品を世の中に広げて役に立つことだと中島社長は思った。

「本当の優しさって、やっぱり、そうなんだなと思って。本当の仕事の厳しさもそこなんだと思って納得しました」。

黒ごま、抹茶、わらびもち、8月末まで限定のメロンなど種類豊富な「やわもち」シリーズは「あずきバー」に次ぐアイス事業の柱。

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