そのまま丸かじりするも良し、ご飯・サラダなどに混ぜて食べるも良し、バーベキューの具材にしても良し……そんな様々な楽しみ方ができるとうもろこしは、家庭菜園における定番野菜の一つ。その最大の魅力は、朝早くに収穫する“朝もぎ”によって、濃厚な甘さを堪能できることにあると言っても過言ではない。
“朝もぎ”が甘い理由
とうもろこしは光合成の能力が非常に優れた植物で、その能力はイネの約2倍ともいわれている。太陽が上がり日差しが降り注ぎ始めると、とうもろこしは光合成を開始。
光合成をするには自身の中に蓄えたエネルギー=糖分を使う。要するに日中のとうもろこしは糖分が減少中の状態ということ。そして夜になると昼の間の光合成で得たエネルギーを糖分に変えて蓄えるので、朝方に収穫したものが甘くなるというわけだ。
7月下旬~8月中下旬に種を播いて育てる“抑制栽培”
収穫・出荷時期を通常よりも遅らせる栽培方法を抑制栽培といい、とうもろこしをこれから栽培する場合は、7月下旬~8月中下旬に播種し、10月上旬頃から収穫できる。
気温も高くなるので、発芽・生育も順調に進む。また、夜温が下がる秋に収穫すると、糖度が高くて食味が比較的長持ちする穂が収穫できる。
ただし、春にタネを播いて育てる普通栽培とは違い、品種選びも気をつけなければいけない。いくつかのポイントをしっかり押さえて栽培すると、秋には甘くておいしいとうもろこしが収穫できる。
美味しいとうもろこしを収穫する方法とは?
■ポイント1:品種選び
抑制栽培では、種を播いてから実が熟すまでの期間が85日以上ある品種がよく、以下のような草勢が強い品種がおすすめ。
<おひさまコ-ン88>
ボリュ-ムのある穂がたくさん収穫でき、甘くてやわらかくい。クリーミーな味わいが魅力!
<『キャンベラ90EX>
甘くて粒皮が比較的厚く、焼きとうもろこしなど、加工調理に利用したい時にもぴったり!加熱するとさらに粒色がよくなる。
■ポイント2:水はたっぷり
皮をむいたら、先端に実がついていなくてがっかり……ということがとうもろこしの栽培によくある失敗だが、原因は水不足。とうもろこしは生育過程で十分な水分が必要だ。
水分が不足すると、糖度不足、先端不稔、穂の肥大不足につながる。先端までぎっしり詰まった実を収穫するには、開花したら収穫まで、しっかりと水やりを心がけよう。
■ポイント3:収穫適期を逃さない!
収穫が早すぎると糖度が十分に上がらない。逆に遅れると粒皮のしなびや糖度の低下につながる。収穫適期は開花後20~25日ごろ。
ひげ(絹糸)が茶色く変色し、先端の粒が真珠色からしっかり黄色に色づいたら収穫適期だ。試しむきをして熟期を確認し、収穫するのも良いだろう。収穫後は数時間で糖分が減り始めるので、できるだけ早く食べるようにしよう。
出典元:タキイ種苗株式会社
構成/こじへい