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なぜユニクロやMUJIはヨーロッパの消費者の心をつかむのが上手いのか?日本企業が自信を取り戻すヒント

2019.09.09

ベルリンでは日本で身近なことがウケている

 武邑氏は、このほかにも生活に密着した分野において、日本のサービスが人気であるという。

「いまベルリンでいちばんウケているレストランは『あら井』だと思います。ここは、日本人が提供する中華料理のレストランで、とても非常に美味しいと評判です。また、食関連で、いま話題なのは京都・嵐山の『アラビカコーヒー』です。昨年、ヨーロッパ旗艦店がベルリン出来て、連日満席。ドイツでは『アラビカコーヒー』は、サードウェーブと位置づけられていて、ヨーロッパのコーヒー文化を変えようとしています。

 このほか日本人が経営する美容室の『ホシクープ』が、とてつもない人気です。女性はもちろんですが、男性にも人気です。男のコなどは、バリカンで雑に仕上げられることが多いのですが、『ホシクープ』は、ちゃんとハサミで調髪してくれる。そうした技術が非常に評価されています」

 こうした事例を挙げながら、いま私たちが普段の暮らしで体験している小売りやサービス分野において、抜群に支持されるものがゴロゴロと転がっている、と武邑氏と話す。そして、こうしたポテンシャルを活かしきれてないことを、熱を込めながら語る。

「ヨーロッパは、文化的に豊かで、成熟した市民社会です。これからわれわれが向かっていく方向を考えるうえでは、すごく重要な場所であることをベルリンに在住していて感じています。日本の技術と、ヨーロッパの文化的な価値観が合流したときに、世界戦略型の商品やサービスが次々と作れるはず。少し勇気を出して、島の生態系を飛び抜け、世界を見に行ったら、もっとチャンスがあるのに、と思うんです」

 日本はバブル期まで勢いで経済的な発展を遂げ、その後の平成の30年間は、“失われた◯◯年”を経験した。GDPにおいては中国にも抜かれ、経済大国としてのアイデンティティを失い、一人あたりのGDPでは、韓国からも猛追されている。こうした状況はフランス、イタリア、スペイン、ドイツなどが19世紀から20世紀に大国の地位を追われた状況とも類似する。もちろん、その後の世界戦争のような愚を繰り返してはならないが、経済力や軍事力で大国の地位を追われたヨーロッパの大国が、文化の力によってアイデンティティを確立し、独自のポジションを見つけていった歴史には、学ぶことがあるはず。

 武邑氏の目に映る日本ブランドの活躍は、そうしたことを示唆してくれているように思えてならない。

武邑光裕
1954年生まれ。メディア美学者。武邑塾塾長。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学、東京大学大学院、札幌市立大学で教授職を歴任。80年代よりメディア論を講じ、インターネットの黎明期から現代のソーシャルメディアからAIにいたるまで、デジタル社会環境を研究する。著書に『ベルリン・都市・未来』(太田出版、2018)、『記憶のゆくたてーデジタル・アーカイブの文化経済』(東京大学出版会、2003)、『さよなら、インターネット──GDPRはネットとデータをどう変えるのか』(ダイヤモンド社、2018)など。現在ベルリン在住。

取材・文/橋本 保 撮影/干川 修

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