
近年、社会的に独立した「フリーランス」が増加傾向にあるが、会社員に比べてフリーランスは生活健康に関するセーフティネットが十分にないため、現状は個人での健康増進につながる工夫が欠かせない。
今回、働き方に関係なく生じる健康に関する問題への対処には、社会的支援も必要であることが、Warisの「フリーランスのメンタルヘルスに関する調査」をによって判明した。
会社員より良好なフリーランスのメンタルヘルス
まず、フリーランスと会社員でメンタルヘルスはどちらが良好かを比較。結果、フリーランスの方が会社員よりメンタルヘルスが良好で、メンタルヘルスが良好なフリーランスは69.5%に対して、会社員は56.9%だった。
メンタルヘルスの状態を細分化した「疲労感」「ミス増加」といったストレス反応項目で比較してみても、フリーランスは会社員と比べて疲労感、ミス増加といったストレス反応が出ている人は少なく、メンタルヘルスが良好という結果に。
疲労感があると回答した人は、会社員71.3%に対してフリーランスは52.7%。ミスが増加していると回答した人は、会社員は40.6%に対してフリーランスは25.9%だった。
時間単価や仕事満足度が高いフリーランスほどメンタルヘルスも良好
仕事の成果を示すものとして他者評価である「時間単価」、また自己評価である「フリーランスになったことへの満足度」について、メンタルヘルスとの関係を調べた。
時間単価は高い方が低い方に比べてメンタルヘルスが良好で、細かく分けてみると「疲労感」「ミス増加」は良好だった。疲労感があると回答した人は、3,000円未満が58.7%に対して3,000円以上は46.8%。ミスが増加していると回答した人は、3,000円未満が32.6%に対して3,000円以上は19.4%。
また、フリーランスとして働くことに満足かどうかを5段階に分けて回答してもらったところ、満足度が4以上の方が3以下に比べてメンタルヘルスが良好だった。
細かく分けてみても、「疲労感」「ミス増加」ともに良好。疲労感があると回答した人は、不満が66.1%に対して満足は44.3%、ミスが増加していると回答した人は、不満が33.0%に対して満足は18.9%だった。
「フリーランスのメンタルヘルスに関する調査」を受けての提言
フリーランスが健康的に働くためには、個人での生活習慣の管理や明確な仕事スタイルは欠かせないものだが、働き方に関係なく誰にでも起きる生活健康上の問題への対処には社会的な支援も必要だ。
多くのフリーランスが加入している自治体の国民健康保険の健康診断により予防医療の観点を盛り込むであるとか、フリーランスに限らず会社員も含めて健康増進活動を促すために、人間ドックの受診料やスポーツクラブなどの運動施設の利用料を予防医療の観点から所得控除の対象とするといった案についても、前向きに議論していく必要があるのではないだろうか。
※同調査はインターネット上で2019年1月30日~2月20日に実施。有効回答数370名。男性32%、女性68%と女性が多く、年収は時間単価3000円以上が50%、年収500万円以上が44%を占め、比較的高単価なフリーランスが中心となった。
構成/ino
こちらの記事も読まれています