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スポーツジャーナリスト中西哲生氏が語る、テクノロジーの進化が加速する時代に見直したい〝正しい生き方〟

2019.08.14

「well being」を日本語にすると、幸福や安寧、身体的・精神的・社会的に良好な状態などと訳される。GAFAやBATHなどのメガテック企業が台頭し、テクノロジーが進化すれば、社会が良くなるといった楽観論が見直されるなかで、注目されるトレンドワードである。それを自然体に語れる中西哲生氏の話に耳を傾けてみた。

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全員が芸能人状態の中では正しく生きることが当たり前に

 スマホやSNSの普及で、人々の行動や交流が、世界規模で可視化されるようになった。そして、その影響は、私たちの日常的な生活の領域にも及びつつある。

 スポーツジャーナリストの中西哲生氏は、そうした状況を「全員が芸能人状態」と呼んでいる。

「僕は昔、嫌なヤツだったと思うし、自分本位だったと思うんですけど、サッカー選手を引退してからの仕事を通じて意識が変わりました。例えば、信号無視とかできないんですよ、誰が、どこで見ているかわからないから。正しく生きよう、と思うようになったんです。もちろん、失敗することもありますがちゃんとする。

 そうしたら、めちゃめちゃ気持ちが良かったんです。

 読者の方は『僕は一般人だから関係ない』って思うかもしれませんが、今後は変なことをしていたら誰でも撮られて投稿されるという自覚を持った方がいい。その意味では、全員が芸能人状態です。ならば、変なことをするのをやめれば良い。僕はそんな風に考えています」

 欧米では、超越者の存在を意識して、人は罪を悔い改めるという文化があるほか、日本でも「お天道さまに恥じない行為」など、世俗の世界とは別の視点を意識し、自らの行動を諌める感覚を備えていた。が、デジタル社会になり、人間関係は希薄なり、自分勝手な行動すると眉を顰める大人たちは少なくない。中西氏の話を聞くと、そうしたテクノロジーが、かえって倫理的な行動を促すというパラドックスを起こしているように思える。

「僕は今日、地球にやさしいことを出来ているかな、と考えることがあるんです。これは(野球日本代表の監督の)稲葉さんが日本ハムを引退したときに教えてくれた話がきっかけです。稲葉さんは『中西くん、ゴミは一個100万円なんだよ』と言ってくれました。要は、ゴミを拾うことで、それを他人事として見るか、自分事として考えるかの分かれ道になる。ゴミって、世の中にいっぱい落ちているけれど、みんな見ぬふりをする。でも、それを拾うと、当事者意識が持てる。これ(ロスアンジェルス・エンジェルスの)大谷くんも同じことをしていたそうです。僕はそういうことを聞くと、アップデートしたいので、僕はゴミを拾うと100万円ではなくて、ゴミを拾って、それをゴミ箱に入れたら100万円と決めて実行しています」

社会課題をテクノロジーで解決していく前に立ち止まって考えるべき事

 いま身体的・精神的・社会的に良好な状態を表現する「well being」がトレンドワードになっている。中西氏が話す、「ゴミを拾って、ゴミ箱に入れると100万円(に匹敵する価値がある)」という話も「well being」の実践的帰結のひとつといえるだろう。

「僕は古いものにしがみつくのではなく、新しいものを受け入れる感覚が好きなので、抵抗がないんです。ただ、地球のためにとかいうと、宗教的な感じもしますよね。そういうのが肩肘張らずに出来るようになるといいな、と思います。

 日本は、地震、大雨、火山の噴火など、災害の多い国だからこそ、自分が住んでいる地球のことなどに敏感でありたいんです。そして、そういうことに敏感であるがゆえに、日本という国は、他の国とは違った価値を生み出せる可能性があるとも思う。

 いまテクノロジーが進化して、ブロックチェーンなどを利用すると、地球にやさしいことをしたかといったことまでトークン化することができると聞いています。そのように積み重ねた人の行ないに価値が生まれるようになることで、さまざまな社会問題の解決の一歩となればいいですね」

 ブロックチェーン、暗号資産、情報銀行、スコアリングなど、ビックデータや個人データなど活用し、社会課題をテクノロジーで解決していく動きがトレンドになっている。しかし、それらを、誰が、どのように、使うのか?どういう社会を目指すのか?といったことは、テクノロジーの話ほどは饒舌に語られない。

 中西氏のように「well being」を自然に語られるような存在が増えることは、テクノロジーの進化を楽観的に礼賛するあまり、人を疎外させてしまう逆説を防ぐためにも、大切ではなかろうか。

●中西哲生
1969年生まれ。同志社大学卒業後、出身地の名古屋グランパスエイトに入団し、複数のクラブチームでプレーして引退。サッカー解説者やスポーツジャーナリストとして、テレビや雑誌などで活動する傍らで、長友佑都、永里優季、久保建英らのパーソナルコーチを務める。2007年から2015年まで公益財団法人日本サッカー協会特任理事を務め、現在は日本サッカー協会参与。出雲観光大使などサッカー以外の活動にも積極的に取り組む。

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取材・文/編集部 撮影/干川 修

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