
シボレーは、コルベットブランド史上初となるミッドシップエンジンを搭載した2020年式新型「シボレー コルベット スティングレイ」を発表した。
「コルベットはいつの時代も、GMにおける革新と極限の頂点を体現してきました。フロントエンジン搭載の伝統的なモデルはパフォーマンスの頂点に達しており、新しいレイアウトを必要としていました。快適性とドライビングプレジャーという点において、歴代のどのコルベットよりも優れた走りを実現しています。私たちが全力で取り組んだ細部へのこだわりとパフォーマンスの向上は大きな感動とともに体感していただけることでしょう」と、GMのマーク・ロイス社長は述べている。
新型「コルベット スティングレイ」のエクステリアは、ミッドシップエンジンのエキゾチックなプロポーションと大胆かつ未来的なデザインが特徴。
そのシルエットは紛れもなく従来のコルベットを踏襲している。アスリートの引き締まった筋肉質ボディのような彫刻的な造形は、どのアングルからも躍動感と力強さを感じさせる。
GMグローバルデザイン担当副社長のマイク・シムコー氏は「米国のハイパフォーマンスカーのアイコン的存在である「コルベット スティングレイ」。このモデルを新たにデザインするというのは、シボレーのデザイナーが60年以上も待ち望んできた歴史的な機会であり、私たちにとっても特別な挑戦となりました。米国を代表する最高の1台が、ミッドシップエンジンを搭載したスポーツカーのクラスに参入を果たしました。コルベットは世界のベストモデルを相手に堂々と渡り合える車であると自負しています」とコメント。
スーパーカーレベルの職人技、高級素材、そして細部へのこだわりは、「コルベット スティングレイ」のすべてのコンポーネントをデザインするのに重要。
エンジンの搭載位置を刷新したことは、この車のデザインに注目すべき特徴をもたらした。
この次世代コルベットの心臓部はショーケースに飾られた宝石のように中央に配置され、大型のリアハッチウィンドウからその姿を覗かせている。
ワイヤー、チューブ、ボルト、ファスナーといった細かなパーツも、その一つひとつがデザイン要素として考慮されているが、そうしたディテールへのこだわりは、サーキットのみならずあらゆるロードを対象としたモーターサイクルのデザインとも共通するものがある。
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」は、航空機とレーシングカーのデザインをルーツとしており、キャノピー(風防)をフロント寄りに置いたデザインは、まさにF22やF35といった最新のジェット戦闘機やF1レーシングカーにインスパイアされたもの。
この「コルベット スティングレイ」にはクルマの使命を主張する印象的なフロントマスク、水平方向に流れるクラシックなプレスライン、アグレッシブなフロントフェンダー、コルベットならではのデュアルエレメントヘッドランプが含まれ、コルベットのクラシカルなデザイン要素を受け継いでいる。
コルベットの構造体は、バックボーンとなるセンタートンネルを中心に設計されている。軽量で剛性の高い構造体は、サスペンションシステムが最適に機能するための基盤を構築。
ボディのたわみが取り除かれたことで、究極の乗り心地と卓越した横方向のグリップ能力を提供することができる。
これにより高速走行や長距離走行において振動が少なく、路面に吸い付くような安定したフィールを実現した。
「私たちの使命は、コルベットとしての魅力的な特性やパフォーマンスと、ミッドシップエンジンのスーパーカーならではのドライビングエクスペリエンスを融合した、新しいタイプのスポーツカーを開発することでした」と、コルベット開発のエグゼクティブチーフエンジニア、タッジ・ジェクター氏は述べている。
「コルベット スティングレイ」は、ハイウェイでの優れた乗り心地と、サーキットでのバランスのとれたハンドリングを実現させるべく開発された。
「洗練されたサスペンションジオメトリー、最適化されたタイヤテクノロジー、そして細部にまで熟考された構造体によって、私たちは乗り心地とハンドリングの向上を達成しました。これほど快適性と俊敏性に優れていながら、完璧なまでに安定した走りを披露するコルベットは過去に例がありません」と、ジェクター氏はコメント。
新型「コルベット スティングレイ」は、コイルオーバーダンパーを採用することで、まったく新しい乗り心地とハンドリング特性を達成。
ミッドシップのエンジンレイアウトを採用したため、短くてストレート、しかも強固なステアリングシステムを構築。さらに電子制御ステアリングシステムに改良を施したことで、ドライバーの入力に即座に反応するシャシーが完成した。
また、シートポジションが新しくなったことで、車両の重心位置がドライバーの腰部に近づき、車両はドライバーを中心に回転することになった。それにより車両のハンドリングとレスポンスは一新されている。
2020年式新型「シボレー コルベット スティングレイ」の心臓部には、シボレーの次世代型6.2リッター・スモールブロックV8 LT2エンジンを搭載。
このセグメントで唯一の自然吸気型V8エンジンとなる。最高出力と最大トルクは、パフォーマンスエキゾースト装着時でそれぞれ495hp(369kW)と470lb-ft(637Nm)。エントリーレベルのコルベットとしては過去最大のパワーとトルクを発生する。
「ドライバーの後方に搭載されるLT2エンジンは、私たちがコルベットに求めるもの、エモーショナルなドライビングエクスペリエンスを期待どおりに提供してくれます。LT2は優れたローエンドトルクとハイエンドパワーを発生し、どんな回転域でも刺激的なペダルレスポンスを実現するよう設計されています」と、GMのスモールブロックエンジン担当グローバルチーフエンジニアのジョーダン・リー氏は述べている。
パワートレーンを低い位置に搭載することで低重心化を図り、ハンドリングを向上。最も大きくアップデートされたのは、潤滑およびベンチレーションシステム。ベースグレードモデルに、エンジン取り付け型のドライサンプオイルシステムと3基のスカベンジポンプを今回初めて採用し、サーキット走行時のための潤滑性能を高めている。
これにより本格的なサーキット走行中に、エンジン内のオイル容量を維持し、パフォーマンスの低下を防ぐ。
次世代LT2エンジンに組み合わされるのが、シボレー初の8速デュアルクラッチトランスミッションで、これによりきわめて素早いシフトと優れたパワー伝達を達成している。
このトランスミッションはTREMEC社と共同で専用開発したもので、マニュアルのダイレクトな操作感とオートマチックならではの極上の快適性を併せ持っている。
ダブルパドル式のクラッチ解除機構が備わっており、ドライバーが両方のパドルをホールドするとクラッチの接続を解除することができるため、よりマニュアルに近い操作が可能になる。
パドルシフターにより、ドライバーは特定のギアを選択することができる。「パフォーマンスシフトのアルゴリズムはドライバーの意思を可能な限り反映するよう設定されており、モードに関係なくドライバーがアグレッシブな運転を楽しんでいるときは、スロットルレスポンスに敏感な低いギアを保持します」と、ジェクター氏は述べている。
スモールブロックの新型V8エンジンは、専用のDCTの利点でもある素早いシフトチェンジを生かせるよう、トルクカーブが最適化されている。
エンジニアは、DCTの1速ギア比をきわめて低く設定することで、トラクションを高めて素早い発進加速を可能にし、2速から6速まではクロスレシオ設定として、サーキット走行においてエンジンのパワーピークを維持しやすいようにしている。
7速と8速は高めのギア比に設定して、ゆったりとした長距離走行を可能にしつつ負荷を軽減し、燃費の向上を図った。
このDCTには新しい電子制御トランスミッションレンジセレクターが組み合わされている。
この電気式シフターには、シフトレバーとトランスミッションの間に機械的なインターフェースが存在しない。
コルベットの電気式シフターには、リバースとドライブ用のプル式トグルスイッチと、パーキング、ニュートラル、ロー/マニュアル用のプッシュボタンスイッチが備わっており、標準のシフターよりも魅力的かつコンパクトなデザインに仕上げられている。
ドライバーモードの選択肢が4から6に拡大し、ドライバーは自分の好みに合わせて新型「コルベット スティングレイ」の感触を微調整することができる。 Weather、Tour、Sport、Trackの各モードは継続し、次の2つの新しいモードが加わる。
・マイモードを選択すると、キーをオフにしても、次に乗るときには自分の好みに合わせて調整したドライビングスタイルの設定を維持
・Zモードは、Z06、ZR1、Z51といったコルベットのパフォーマンスパッケージにちなんで名前が付けられ、ステアリングホイールの「Z」ボタンで作動。これはマイモードの設定をさらに一歩進めるシングルユースモードで、ドライバーはエンジンとトランスミッションの調整を行なうことも可能
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」は、GMの新世代の車載デジタルプラットフォームを採用。
この最新設計の電子アーキテクチャーは、GMの次世代テクノロジーの導入を可能にし、配線を最小限に留めるとともに、異なる車両システム間のより高速な信号伝送および高解像度の画面表示を可能にした。
このプラットフォームは、オーバー・ジ・エアー(OTA)方式のアップデートと強化されたサイバーセキュリティ対策を通じて、車両の継続的な改善を可能にする。
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」は、ケンタッキー州にあるGMのボウリンググリーン工場で2019年下旬からプロダクションが開始。追加の価格設定およびパッケージング情報は、発売開始近くに発表予定。
また、コルベットでは初めて右ハンドル車が生産されることが決定、日本市場に導入される予定だ。
関連情報:https://www.chevroletjapan.com/
構成/DIME編集部
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