
アクセンチュアの最新調査によると、グローバルにおける2018年のフィンテックベンチャー企業への投資額は、前年比2倍以上の553億ドルに達している。
これは主に、成熟したスタートアップ企業への投資が拡大するなか、中国における投資が急増したこと、ならびに複数の市場でも堅調な成長が見られたことに起因する。
日本における投資額についても、過去最高となる前年比5倍以上の5億4200万ドル、投資案件数は3倍に成長した。
日本における投資額は、過去最高となる前年比5倍以上
この驚異的な成長の主要因は、中国における投資額が前年比約9倍の255億ドルに達したことであり、これはグローバルにおける2017年のフィンテック投資総額の267億ドルに迫る勢いだ。
2018年のフィンテック投資総額のうち46%を中国が占めており、さらに中国におけるフィンテック投資額の半分以上は、「Ant Financial」が5月に実施したシリーズCにおいて140億ドルもの資金を調達した。なお、Ant Financialは、世界最大のマネー・マーケット・ファンドやモバイル決済サービス「Alipay」などを運営している。
アクセンチュアは、このAnt Financialの資金調達を「ウェルス&アセットマネジメント」に分類しており、同社の140億ドルの資金調達はこのカテゴリーの投資総額の大部分を占めている。これにより、ウェルス&アセットマネジメントを手掛けるスタートアップ企業に対する投資は、グローバルにおける投資総額の30%を占め、事業領域別では最大規模となった。
次いで、決済を手掛けるスタートアップ企業に対する投資が23%、融資が19%となっている。
日本を含め、世界の他の国々でも投資は好調であり、日本、中国、オーストラリア、ブラジルでは過去最高額を記録した。具体的には、日本では前年比5倍以上の5億4200万ドル、オーストラリアでは2倍以上の7億5700万ドル、カナダでは53%増の9億6100ドル、ブラジルは38%増の5億8,700万ドルだった。
フィンテックの投資案件数も大幅に増加し、全世界で前年比約19%増となる3,251件に達した。中国の投資案件数は2倍以上増加して348件となり、1,100件以上の投資が行われた米国と比べ、中国の活気あるフィンテックエコシステムにはまだ成長の余地が大いにあることが浮き彫りになった。英国でも投資案件数が25%増加し、シンガポールは16%増、日本は3倍近くまで投資案件数が伸長した。
調査方法
調査は、グローバルでベンチャー企業の財務データ収集・分析業務を行う調査会社「CB Insights」が提供するフィンテック投資データに基づいてアクセンチュアが分析を加えたものだ。
調査対象には、ベンチャーキャピタルおよび未上場企業、株式会社および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンドなどにおける国際的な投資活動が含まれている。
また対象となるデータは2010年から2018年までのもので、エクイティおよび非エクイティの融資が含まれる。さらにレポートでは、フィンテック企業を、銀行業務やコーポレートファイナンス、キャピタルマーケット、財務データ分析、保険、決済や個人向けの財務管理などに関して様々なテクノロジーを提供する企業と定義している。
構成/ino
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