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宮迫博之さんと田村亮さんの謝罪会見を振り返る、謝罪を成功に導く3つの要素

2019.07.27

話題が絶えない吉本興業と芸人の謝罪会見。ビジネスパーソンが会見をすることはまれだと思いますが、謝罪の仕方については学ぶべきことがあると思います。正しい謝罪を通じてピンチをチャンスに変えることはできます。私自身も585件の謝罪訪問を通じて63億円の追加発注をいただきました。今回は、宮迫博之さんと田村亮さんの謝罪会見を振り返り、どうすれば謝罪を成功に導けるのか、まとめたいと思います。

宮迫さんと亮さんは、以下5つの瑕疵を認め、謝罪しました。

(1)当初、自分の勝手な思い込みでお金をもらっていないと解釈したこと
(2)もらっていないと口裏合わせをしたことたこと
(3)特殊詐欺集団が被害者から奪ったお金を受け取っていたこと
(4)吉本興業や先輩芸人たちに嘘をついたこと
(5)これらの原因で、詐欺被害者や世間を不快にして、関係者に迷惑をかけたこと

このお詫びの気持ち、そして謝罪をしたいという気持ちは多くの人に伝わったと思います。なぜ、ふたりの誠意が伝わり、応援したいという気持ちになる人が増えたのでしょうか。その成功のポイントは3つだと思います。

1. 相手に伝わることを目指す

宮迫さんと亮さんの会見と、その後に行なわれた岡本社長の会見の大きな違いは、前者が「(聞き手に)伝わること」を目的にして、後者が「伝えること」を目的にしていたことではないでしょうか。「伝わる」は聞き手が主役で、「伝える」は話し手が主役。相手が知りたいことに配慮してコンパクトでクリアに伝えると、結果的に「伝わる」のです。一方、会見をすることや、会見で説明することが目的になってしまうと、相手の質問をしっかり理解しようとせず自分たちの主張のみが中心になって、結果として相手に伝わらないことがあります。

宮迫さんと亮さんは、個人としての謝罪会見でしたが、お詫びをしたいという気持ちが強く、その反省が多くの人に伝わるように、報道陣や世間の人は何が知りたいのかを把握し、その回答を準備してきたことがわかりました。

2.謙虚でかつ真摯であること

記者との受け答えで謙虚さを感じることができました。相手が話している時には割り込まず、最後まで頷きながら聞いた上で受け答えしていました。腕時計はせず、時間を気にする素ぶりも見せませんでした。

記者から本論から逸れる無茶な質問が入った際にも「今回はそういう場ではないので、お答えできません。申し訳ございません。」と返答していました。また、「吉本興業は何を守りたくて説明する機会を与えなかったのか?」という記者の質問に対しては、「こういった場所で想像だけで何かを述べるというのは、大きな語弊を招くかもしれないので、それはすみません」と返していました。

お詫びを伝えたいというブレない気持ちから、記者を不快にさせずに、誤解を招く返答をしなかったことに好感を持つ視聴者は多かったと思います。相手を不快にさせる言葉は避け、できないことはできないと答える勇気は、謝罪訪問を成功させる鉄則でもあります。

3.5W1Hを意識して経緯を説明する

事実経緯、そしてそこに含まれる真相を「5W1H」(When、Where、Who、What、Why、How)でまとめて話すと、相手はわかりやすくなります。宮迫さんは最初の質問でこの部分をクリアにしてしっかり説明したことで、その後の質疑応答をスムーズに進めることができました。発言していた宮迫さんの隣で、亮さんがノートを見て発言内容と事実を確認するなど、役割分担もしっかり準備できていたと思います。

5W1Hの説明では特にWho(誰が)の説明を無意識に省いてしまうことがあるので注意が必要です。本人はわかっていても、聞き手は(誰が)がわからない場合もありますから、丁寧に5W1Hで説明してください。5W1Hで説明する際の順番は、以下が正解です。宮迫さんは、ほぼこのとおりに話していましたので、頭に入りやすかったです。

(1)When … いつ(時間)/ Where … どこで(場所)

最初に「時間」と「場所」を伝えることで、発生した個別事象がクリアになります。

(2)Who … 誰が(主体)/ What … 何を(行動)

「誰が」「何を」を伝えることにより、結果が明らかになります。今回のように登場人物が多い場合でも丁寧に説明したほうがいいです。例えば「吉本の社員から」というよりは「吉本のマネージャーから」と説明したほうが具体的でイメージがつきやすく、次の発言が頭に入りやすくなります。

(3)Why … なぜ(理由)How … どのように(方法)

ここが最も重要なパートです。なぜ反社から金銭を授受してしまったのか、なぜ嘘をついてしまったのか、そしてその後どのように対応をしたのかをクリアに説明していました。

企業に所属するビジネスパーソンが謝罪訪問する場合、さらに再発防止策を伝えないといけません。事前準備で掘り下げた根本原因と再発防止策を、具体的に説明してください。

根本原因と再発防止策を伝えると顧客からの発言が入りますので、用意した想定問答で対応してください。この再発防止策では、いつまでに(When)、誰が(Who)、何を(What)するかを宣言し、その進捗を伝えるために1~2週間以内に再訪することを約束しましょう。この次回の訪問の約束をすることで、顧客の信頼はぐっと上がります。

今回の謝罪はあくまでもレアなケース

謝罪会見前日に、宮迫さんが吉本興業を契約解除になり「記者会見をせずに逃げた」ともメディアで報じられていました。その時点で疑問や怒りは、会見をした宮迫さんと亮さんに向けられていました。そういう意味で、会見前の期待値は低かったわけです。ただ、ふたを開けると内部の調整を赤裸々にすることで、吉本興業の幹部が謝罪会見を阻止していたことがわかり、一気に風向きが変わりました。

ただ、この謝罪のケースはまれで、ビジネスパーソンの謝罪訪問では安易に真似すべきではありません。例えば、顧客への謝罪訪問の際に会社内部の批判をすることは他責と捉えられ、顧客からは責任転嫁しているように捉えられます。あくまでも反社から金銭を授受し、嘘をついていたことは許されるべきものではありません。謝罪会見ができなかった原因は所属事務所のせいかもしれませんが、そことは離れて詫びないといけません。宮迫さんは契約解除後でフリーの立場でしたから、元所属先の改善すべき点を指摘するのはアリだと思いますが、一般的な謝罪は組織に所属した状態で組織の代表として行なうものです。ですから、顧客先で社内の批判はNGです。また、再発防止策がないと相手企業から信頼を回復するのは難しいため、しっかり準備して「伝わる」ことを目指すべきです。

マスコミ、視聴者、関係者がどういった情報を望んでいるかを想像し、それに配慮して自分たちの思いを伝えれば、相手に「伝わる」のです。謝罪のようなピンチの時こそ「伝わる」コミュニケーション術が必要になります。

文/越川 慎司
株式会社クロスリバー代表。株式会社キャスター執行役員。週休3日でクライアント企業16万人の働き方をスイッチ中。新著「謝罪の極意 頭を下げて売上を上げるビジネスメソッド」絶賛発売中。

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