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開発のキーマンが語る!オールジャパンで挑むリニア中央新幹線の期待と課題

2019.08.20

夢の高速鉄道の開業に向け、各地で工事が進んでいる。そんなリニアの開発に関わる技術者、そして実験に携わる責任者に、リニア開発のこれまでと、これからについて聞いた。

超電導磁石の温度を安定させることが一番の課題でした(寺井さん)

寺井元昭さん東海旅客鉃鉃道 常務執行役員
中央新幹線推進本部 リニア開発本部長
寺井元昭さん
1981年、国鉄に入社。東海道新幹線の浜松工場で車両のメンテナンスに携わる。国鉄の分割・民営化でJR東海へ。1988年鉄道総研へ出向し、宮崎の実験線でリニアに関わって以来、リニア一筋。

  寺井さんは、いつからリニアに関わっているのですか?

「1988年からです。JR東海から鉄道総研に出向というかたちで、宮崎にあった実験線で技術開発に携わることになりました。当時は1987年にJRの前身である国鉄が造った『MLU002』という車両の走行テストを行なっていました。この車両は、時速420kmで走るように設計されていたのですが、350kmを超えると超電導磁石の部分の温度が上がってしまい、速度を上げることができなかった。その原因がわかるまで苦労しました」

  なぜ、温度が上がってしまったのでしょうか?

「調査の結果、車両が振動することで摩擦熱が発生し、その熱で超電導磁石の部分の温度が上がることがわかりました。その後はずっと、摩擦熱を出さないための試行錯誤を重ね、安定した超電導磁石の開発に取り組みました。リニア開発の歴史を振り返っても、この超電導磁石の発熱問題を解決できたのが、一番のターニングポイントだったと思います」

  その後、97年に山梨の実験線ができました。

「当初は、社内でも『超電導は大丈夫か?』という声がありました。ですがあの時、徹底的に原因を洗い出し、解決できたので、山梨実験線では超電導磁石のトラブルはなく、2000年に国土交通省の実用技術評価委員会より『実用化の目処がたった』との評価がありました。この時はやはりうれしかったですね。現在まで超電導のトラブルはありません」

  開業へ向けての課題は?

「目下の課題は〝耳ツン〟問題です。リニアは南アルプス区間で標高差800〜900mの区間を通ります。わずか40分の間に、時速500kmでアップダウンを繰り返すので、個人差はありますが、気圧差によって耳がツンとなるのをどう軽減するかが課題です。車内の快適性は開業までにさらに改善していきたいと思います」

  利用者にとっては、運転士がいないというのが不安です。

「実は、リニアは車両自体には動力装置がないんです。簡単に言えば、超電導磁石の付いた浮かぶ箱。列車が走るレールの両脇に取り付けられた推進コイルと呼ばれる部分に電気を流すことで、初めて動くことができる。つまり、レールが車両を動かしているイメージです。そのため車両に運転士は不要で、すべて地上からコントロールします。だから、無人運転というわけです。宮崎の実験線時代から、リニアは外部の指令室で操作していました。山梨の実験線になってからも無人で、事故なく試験運転を続けています」

  最後に開業へ向けてひと言。

「リニア中央新幹線は、当社だけでなく、各メーカーの技術が結集した日本独自の技術で造られています。開業へ向け、さらにブラッシュアップを続けます」

回転モーターを直線上に引き伸ばしたものがリニアモーター。これを応用したのが超電導リニアで、車体の側面に超電導磁石がついており、地上側にはコイル(電磁石)が設置されている。

超電導磁石車両側面に超電導磁石を装備。列車自体には動力装置がなく、従来の新幹線に比べ6割程度の重さ。

取材・文/渡辺雅史 撮影/ANZ

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