
■連載/石野純也のガチレビュー
2010年の登場から約9年。ついにiPadのOSが、iOSから独立する。その間、iPadはマルチタスクやApple Pencilなど、iPhoneにはない様々な機能を取り入れてきたが、iPadOSの誕生を機に、よりその独自性を高めていくことになる。その第一弾となる初代iPadOSでは、ウィジェットの常時表示やApple Pencilの応答速度向上、手書き用ツールのAPI公開など、iPadに特化した新機能が盛り込まれた。
ベースはiPhone用に提供されるiOS 13と同じため、見た目が大きく変わって見やすい「ダークモード」に対応するほか、「地図」「写真」といったアプリもリニューアルされる。さらに、ファイルアプリが大幅に改善され、フォルダやファイルの管理がよりしやすくなるうえに、外部メモリのデータを読み込むことも可能になる。一言で表すなら、よりPCのようなデバイスに近づくためのアップデートといえるだろう。
昨年11月に発売されたiPad Proに、iPadOSのパブリックベータ版をインストールしてみた
そんなiPadOSのパブリックベータ版が、6月に公開された。パブリックベータという位置づけのため、一般のユーザーもデバイスを登録するだけで、簡単に利用できる。バグフィックスなどの検証を目的としているため、仕事などに取り入れるのは時期尚早だが、一足先にiPadOSの世界を試してみたい人には、いい機会といえるだろう。筆者も11インチのiPad Proに、このiPadOSをインストールしてみた。ここでは、その使用感をお伝えしていきたい。なお、iPadOSのスクリーンショットは、取材用の特別な許可に基づき、使用している。
アイコンがギュッと凝縮され、常時表示のウィジェットも見やすい
iPadOSをインストールしたあと、本体のロックを解除すると、まずアイコンの大きさが変わっていることに気づくはずだ。iOS 12までは、1画面に20個までしかアイコンを置けず、アイコンとアイコンの間には無駄なスペースがあった。iPhoneのように画面が小さければいいが、せっかくの大画面を生かしきれていない印象もあった。このアイコンが、iPadOSでは小さくなり、すき間を減らしたことで、合計30個まで配置できるようになった。
縦画面の場合は横6個、縦5個で、横画面の場合も6個、縦5個になるため、配置も変わらない。1画面にアイコンを多く置けるようになったことで、画面を左右に切り替える回数も減らせるため、より効率的に操作できるようになったといえるだろう。iPadの大画面を生かすためのアップデートとして、歓迎できる。こちらを見慣れてしまうと、元のアイコンが大きすぎると感じるほどだ。
1画面に置けるアイコンの数が増え、画面を効率的に利用できるようになった
ホーム画面の見やすさという点では、横にした時、「今日の表示」と呼ばれるウィジェットを常時表示できるようになったのも、大きなアップデートといえる。この場合、アイコンを表示できる面積は減ることになるが、そのぶんのスペースはアイコン同士のすき間を圧縮することで捻出されている。画面を切り替えなくてもよくなるため、設定しておけば、アプリを開く際に、最新の情報が目に留まるようになる。キーボードを使う時などに、うれしい機能といえるだろう。
横にした時は、1画面目にウィジェットを表示できる
ただし、ウィジェットを常時表示できるのは、ホーム画面の1画面目のみ。常時表示には、設定も必要になる。設定は、ウィジェットの一番に下に表示される「編集」ボタンをタップし、「ホーム画面に固定」のスイッチをオンにすればよい。2画面目以降には常時表示できないのは残念だが、1画面に置けるアプリが10個増えているうえに、Dockにもアプリを置くことは可能。頻繁に利用するアプリは、なるべく1画面目に集中させておきたい。
ウィジェットは、常時表示させることも可能だ
これだけウィジェットが実用的になると、デフォルトで内蔵されているもの以外にも、アプリで様々なカスタマイズを加えたくなってくる。筆者は、入力を支援するため、コピーしたテキストが表示されるアプリをウィジェットとして置いてみたが、ほかにも様々な工夫ができる。画面を1回スワイプする必要がなくなっただけともいえるが、そのひと手間の違いで、より実用度が増した印象だ。