
筆者は静岡県静岡市在住である。育ちは神奈川県相模原市だが、父母の一族は全員駿府の人間。なぜ首都圏である相模原から静岡にわざわざ舞い戻って来たのかは、自分でもよく分からない。
それはさておき、筆者は清水エスパルスのサポーターであることを義務付けられている。
静岡市民、特に旧清水市地域に住む人々にとって、エスパルスは身体の一部といえるかもしれない。そのような筆者の事情を知ってか、とある企業からこう声をかけられた。
清水エスパルスで試験導入されている我が社のプラットフォームを体験してみませんか、と。
バスの中でメニューを注文
2019年7月6日、日本平球技場では清水エスパルスVSヴィッセル神戸の試合が行われた。
エスパルスのホーム戦とは、ちょっとしたお祭りのようなものである。地元の路線バスであるしずてつジャストラインは、この日のためにわざわざ臨時便を運行する。バス停の前には、エスパルスの勝利を確信する人々の長い列。まるで獲物を待ち構える大蛇のようだ。
JR静岡駅前から日本平球技場までは、バスで約30分の道程。この間、筆者は立った状態で揺られ続ける。同時にその手はスマホをいじっていた。
『ダイニーfor清水エスパルス』という、ブラウザ上のプラットフォームでいろいろとやっていたのだ。
これはdiniiが手掛けたモバイルオーダーサービスで、あらかじめ飲食店での注文を予約できる仕組みである。最近ではサンドイッチチェーン店のサブウェイでも、試験的ではあるが導入が始まったという。
どうやら日本平球技場に設置された飲食店舗もダイニーを取り入れていて、これを使えば行列に並ぶことなく飲食物を受け取ることができるそうだ。
確かに、スポーツ会場での屋台の行列待ちは相応の苦労を要する。
人気の飲食店が主催する屋台では、今日この日しか味わえないということもあり十数分待ちの列ができる。「ここが最後尾です」という立て札を持ったスタッフがいなければ、一体どこから並んでいるのかわからないこともある。
そうした煩わしさを、ダイニーが帳消しにしてくれるという。