
夜風が涼しいのも今のうちだけ。夏が本格化すれば、夜になっても暑さの衰えない日が続く。この蒸し暑い夏の夜における弊害は、単に寝苦しいだけではない。睡眠の質を下げて、翌日の熱中症のリスクを高める可能性があるのだ。
そんな調査結果が今回、日本気象協会と西川株式会社の調査によって明らかになった。また、専門家が提案する寝苦しい夜に快適な睡眠を得る方法も紹介していく。
睡眠と熱中症の関係性とは?
西川の快眠コンサルティングサービス”ねむりの相談所”が保有する睡眠データと、対応する日の熱中症救急搬送者数(消防庁)および気象データ(気象庁)を組み合わせて統計解析が行われた。
すると、熱中症救急搬送者数に影響を与えうる要素として、日中のWBGT(アメリカで開発された暑熱環境での熱ストレスを評価する指標)と、前夜の夜間平均気温のほかに、中途覚醒時間、睡眠効率などの前夜の睡眠が関係しうることが明らかになった。
■熱中症救急搬送者数と夜間睡眠の関係
熱中症救急搬送者数の多い日の前夜と、各睡眠の要素はどのような傾向を示すのかを検討するべく、中途覚醒時間は10分ごとに、睡眠効率は5%ごとに区分して翌日の熱中症救急搬送者数の平均値が求められた。すると、熱中症救急搬送者数が多かった日の前夜は、中途覚醒時間は長く、睡眠効率は低くなる傾向が明らかに。
■夜間の平均気温と夜間睡眠の関係
各睡眠の要素と夜間平均気温との関係を検討するために、上記と同様に中途覚醒時間と睡眠効率が区分され、夜間の平均温度の平均値が求められた。
すると、中途覚醒時間について、2時間以上のグループにおける夜間平均気温の平均値は約24℃、10分未満のグループの平均値は約22℃と約2℃の差があり、夜間の平均気温が上がるにつれて中途覚醒時間が長くなる傾向が明らかに。
また、睡眠効率について、65%未満のグループの夜間平均気温の平均値は24.5℃、95%以上のグループでは21.5℃と3℃の差があり、夜間の平均気温が上がるにつれて睡眠効率は悪くなる傾向があった。熱帯夜とは、夜間の最低気温が25℃を下回らない日を指している。しかし熱帯夜にならない日においても、睡眠にとっては、過酷な状況である可能性が分かった。