
「シェアする美術」を翔泳社から発行したばかりの、森ビル森アーツセンター森美術館マーケティンググループ広報・プロモーション担当シニアエキスパートの洞田貫晋一朗さん。そのSNSマーケティング力が高く評価されている森美術館のSNSの中の人だ。同美術館のSNSマーケティング戦略について聞いた。
最も拡散力があるのはTwitterだが、Instagramが伸びている!
森美術館は、Twitter、Instagram、Facebookを運用している。最もフォロワー数が多いのはTwitterで17万8800人がフォローしている。次いでInstagramの13万2925人、Facebookの12万2507人となっている(いずれも2019年7月8日現在)。
全てではないが投稿は日本語と英語のバイリンガルで行っており、約40%が外国人来館者だそうだ。中でも欧米の外国人来館者が多いという。来館者全体では年齢別で20~40代が大半を占めており、男女比は半々。現代アートに関心が高い層だけでなく、ファッション、音楽などの流行に敏感で情報を積極的に取っている層が多い。現在はInstagramの勢いが強く、ちょうど今年の5月にFacebookのフォロワー数を超えたが、これは同美術館の主要顧客層がFacebookよりもInstagramをよく利用していることが考えられる。とはいえ、Facebookはユーザーの属性分析に長けており、広告をピンポイントで流したい場合などは有効だ。
SNSの投稿のタイミングは、主に仕事や学校帰りの電車の中、帰宅して落ち着いた時間であろう19:00以降を心掛けている。また、土日も配信を行っているが、木曜日・金曜日を中心に平日の夜間に見られる傾向が高いという。
Twitterはリツイートも期待できるので、広く周知させたい情報を中心に配信している。ほとんどが画像付きのキャッチーな情報発信だ。ただテキストはあまり読まれない傾向にあるという。FacebookとInstagramは投稿後、数時間以内にいいね!やコメントが多くつかないとアクティブな情報だと判断されず配信が狭まれてしまうという特徴があるため、SNSの使い分けをしている。
同美術館は画像を変え、手を変え品を変えた配信も行っているが、展覧会の開催案内の基本情報を繰り返し配信している。その方がリツイートされやすい傾向があるという。「美術館に行こうかな、どうしようかな」と迷っている人に「面白そう」「行ってみよう」と思わせるために基本情報の投稿は欠かせない。同じ情報でも確実に届けることが大切だ。