人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

南インドの小さな出版社タラブックスの「優しいまなざし」が世界を変える!

2019.07.13

創立25周年を迎える「タラブックス」は、インド南東部のチェンナイにある出版社だ。児童文学、芸術、民話、社会課題などをテーマにして、ビジュアルにこだわった本を出版してきた。原画や製作の様子などを紹介する「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」展が2017年より日本全国を巡回している。描かれた生き物への愛情や些細な日常の出来事への気配りが伝わってくるやさしい作品が並び、心が和む。展覧会後も絵本やアートブックを通じて楽しめるので、インドをぐっと近くに感じられる。2019年夏、日本美術で知られる京都の細見美術館での開催にあたり来日した、タラブックスの共同創業者ギータ・ウォルフさんにお話を伺った。

タラブックスの本は、子ども向けの絵本など日本語でも出版されている。(写真:松岡宏大)

『蚕のすむ木』をメインにした展覧会のポスター(細見美術館の展覧会は2019年8月18日まで)。「繊維の街でもある京都と関連する絹を紡ぐ蚕を、日本美術専門の同美術館とインドのタラブックスを結ぶモチーフに選んだ」(細見美術館主任学芸員の伊藤京子さん談)

美しいだけではない、ストーリーが宿る本

「インドにはどうして外国からの絵本が多いのだろう」と疑問を持ち、インドの子供達のために物語の本を作る出版社をインドのチェンナイに立ち上げた、ギータ・ウォルフさん。インドから持ってきてくれた本を一冊ずつ説明してくれた。その中で2006年に初版が出た『夜の木』は、タラブックスが世界中に知られるきっかけとなったという。

シルクスクリーンで一つずつ丁寧に作られた『夜の木』を手にするウォルフさん。彼女の笑みが終始たえず、こちらも思わず微笑み返しでの取材だった。

『夜の木』は、インド中央部に住むゴンド族が代々伝わる民話を自分たちで絵にして語り継いでいた民話だ。「昼間は動物たちが憩う場所や食べ物を与えたり、空気を作ったり、木は忙しい。夜になってようやく木は呼吸をしてその木に精神が宿る」と信じられてきた。その美しい物語を彼女は見つけ、ゴンド族アーティストによる精緻な絵を手作業でシルクスクリーンに印刷し、絵本を作った。色も形も多様性に富む異なる種類の木を表紙に、毎回数千部の限定版としてこれまで世界中からのリクエストで増刷を繰り返してきた。会場では様々な『夜の木』の原画が壁一面に展示され、目を閉じると夜の闇でささやく木の息づかいが聞こえてきそうだった。

『夜の木』(原題はThe Night Life of Trees)の2006年版(画像:細見美術館)

増刷を重ねてきた歴代の『夜の木』が並ぶ

カラフルな壁を背景に『夜の木』原画や動物たちのモチーフが展示されている

 本の製作過程については、彼女は次のように説明してくれた。「何か具体的なものを探してそれを本にしているのではない。出会った物語やアーティストにインスピレーションを得るところから始まる。アーティスト自身、デザイナーはもちろん印刷職人が意見交換しながら、チームで製作する。本のクレジットには、アーティストだけでなく印刷を担当した職人の名前も一人ひとり明記している」。

 また、彼女が出会ってきたアーティストの中には「農業が本職だが、絵が上手なので時間がある時に絵を描いて販売している、あるいは家政婦で絵が好きなので描いている人々がいる」という。「アーティストとも何度もやりとりしてお互いに妥協がない質の高い本を作り、その本が増刷されて売れる度に彼らの収入が増えるしくみにした」など、共に働く人々をとても大切にしている。

『筆にみちびかれて』は、家政婦からアーティストに転身したデヴィの自伝的絵本。ミティラーというインドの絵画様式を踏襲している。

『母なる神の布』は、神聖な宗教儀式で伝わる布にブロックプリント(木版の捺染)した絵本

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年9月14日(土) 発売

DIME最新号の特別付録は「デジタルスプーンスケール」!さらに激変するスマホの大特集に最新iPhone情報も!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。