
人材育成研修やキャリアコンサルティングを手掛けるヒキダシ。そんなヒキダシが、毎週木曜日午後2時~6時に東京・麻布十番で「スナックひきだし」を開いている。ヒキダシのチーフヒキダシオフィサーでスナックのママを務める木下紫乃さんに、ビジネスパーソンに多い悩みを聞いた!
40~50代のミドルシニア世代を応援したい!
――なぜ、スナックだったんですか?
もともと40代~50代のミドルシニア世代のキャリア再構築を支援したかったのです。ところがワークショップや研修をやっても、その世代が来てくれない。その世代が来やすい場はスナックだと閃いたのです。
もともと月2回、18:00~21:00に開いていたのですが、人が溢れたのと、月2回だといつやっているか分からない、もっと開催してよという声が寄せられ、2017年の8月から昼スナックを毎週始めることにしました。
――Facebookで告知しているのはなぜですか?
スナックは、半分が常連、半分が常連の知り合いというバランスが大事です。知らない人ばかりだと人と人を繋ぎにくいと考えたからです。
――スナックにおけるママの役割とは?
本当のスナックはお酒がメインでママとお話もしたいというものです。
昼スナックでは、来店客の半分しかお酒を飲みません。ママと話したい、行ったら面白い人がいるのではないかという来店動機が大半です。
会社員の来店客が多いのですが、ある程度の年齢になると「大丈夫?」とか優しい言葉をかけられることも少なくなります。そんな中で、「何か元気ないじゃん。大丈夫?」などと声掛けするのが役割です。
――客層を教えてください。
生後2ヵ月の赤ちゃんを連れたママから80歳の方まで来店されます。先日は20代の方がいらっしゃいましたが、平日の昼間に融通が利きやすく、スナックになじみがあり、悩みが多い40~50代が中心です。
自分の社内の最終ポジションも見えてきた。このままでいいのか?
――どういう悩みを抱えて来店する方が多いのですか?
会社に勤めて20~30年経ち、自分の会社における最終ポジションが見えてきて、このままで良いんだろうかと考えている方ですね。会社を続けるのか転職するのか最後の選択ができると考える世代が多い。
転職を決めたら転職エージェントに相談できますが、今のままで良いんだろうかと考えている人の相談先が無いのです。
社内で相談できれば良いのですが、社内の方だとどこに話が漏れるか分かりません。信頼できる人がいないのです。
スナックなら、半分無責任ですが、他のお客も掛け合い漫才みたいにやんやその人のために言ってあげることができます。深刻過ぎず、自分のことを考えてもらう場所になっています。
色々な人の意見を聞きたいと思っている人も多いのです。
――解決できることは多いですか?
「明日からこうします」と解決した場合もありますが、話すことで自分の悩みが整理できます。スナックでは適当な言葉の中にも真実があります。次のアクションをどう起こすかその人次第です。
ある婚活に悩んでいる30代後半の男性が来店したのですが、おとなしくニコニコと座っているだけでした。すると周りが色々なことを言い始めて、絵本の読み聞かせのイベントをやっているお客様が「婚活パーティに行って、気になる人を誘って絵本の読み聞かせをしたら?」と提案したのです。その30代後半の男性はそれをデート中に実行に移し、女性はグッときたみたいで彼女になってくれたそうです。
50代の仕事に悩んでいる人には「エージェントに登録したら?」とアドバイスしました。そうすることでどんな企業から引き合いが来るか来ないか分かります。同じ会社にずっと勤めていると自分の市場価値が分からないからです。
また、上司と上手くいかなくて会社を辞めたいと言っていた40代後半の女性には、どうせ辞める気なら部署移動を上司の上司に打診したらとアドバイスしました。
スナックには視野が狭くなっているのを広げる力があると思います。