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2019.07.02

飲料水にがんリスクのある硝酸塩が混入、米研究グループが警鐘

飲料水にがんリスクのある硝酸塩、米研究グループが警鐘

工業化された農業で使用されている大量の硝酸塩が飲料水に混入し、がんなどの健康上の問題を引き起こしているとする報告書を、米国の環境保護団体(Environmental Working Group;EWG)の研究グループが「Environmental Research」6月11日オンライン版に発表した。

報告書によると、飲料水からの硝酸塩の摂取に起因したがんの診断例は、年間約1万2,600例に上るという。

「工業化された農業は、硝酸塩の含まれた肥料に大きく依存している。しかし、そうした硝酸塩は飲料水に使用される地下水に流れ込んでしまう可能性がある」と指摘するのは、EWGのSydney Evans氏だ。

同氏によると、リスクの程度には地域差があるが、数多くの小さな農村で飲料水の硝酸塩の濃度が特に高く、健康上の問題が起こるリスクも高いことが明らかになった。

また、農業が盛んなアイオワ州やカリフォルニア州では、硝酸塩に関連するがんの症例数が最も多いことも分かったという。

今回の報告を受け、専門家の一人で米イェール大学イェール・グリフィン予防研究センターのDavid Katz氏は「報告書が示す危険性は明らかであり、米国全土にかかわる問題だ」と話し、早急な対策を講じる必要があると強調している。

報告書によると、硝酸塩に関連するがんの80%は大腸がんで、残る20%は卵巣、甲状腺、腎臓、膀胱のがんが占めていた。

なお、これらにかかる医療コストは年間15億ドル(約1600億円)に上るという。

また、水道水に含まれる硝酸塩は、乳児の重大な健康上の問題にも関連していた。具体的には、米国で年間に超低出生体重児の約3,000人、早産児の1,700人以上、神経管閉鎖障害児の41人が飲料水の硝酸塩に関連していると考えられた。

Katz氏は「この研究には限界点もあるが、米国の一般的な農業で使用されている硝酸塩が健康と経済の両面で国民に大きな負担を強いていることを、説得力をもって示している」と話す。

一方、Evans氏は、米国の環境保護庁(EPA)に飲料水の安全基準を見直すよう要請している。

米連邦政府は、1962年以降、硝酸塩の基準値を10mg/L以下と定めているが、今回の報告書によればその10分の1の濃度でも問題が認められた。

EPAでは飲料水の許容基準の引き下げを視野に入れた基準値の再検討が予定されていたが、トランプ政権がこの計画を中止したことも、同氏は問題視している。

なお、Evans氏は「水道水の安全性を確保するためには、硝酸塩の基準値は現行の70分の1以下まで引き下げる必要がある」と主張。

また、水から硝酸塩を除去するのは困難で、費用もかかるが、住民が費用を負担することで除去に取り組んでいる地域も一部だが存在するとしている。

さらに、同氏によれば、個人で設置した井戸の水も例外ではなく、硝酸塩を除去するシステムを導入する必要があるという。

ただし、Evans氏は「最善の方策は、大量の硝酸塩が飲料水に侵入するのを防止することだ」と強調。

その上で、「飲料水の安全性を確保できる基準へと見直しがなされ、農業関係の業界全体が基準を遵守するかどうかは政府にかかっている」と話している。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001393511930218X#!

構成/編集部

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