
東急コミュニティー技術研修センターNOTIA
建物の老朽化が進む中、ビル管理担当者の育成がより一層求められている。
ある総合不動産管理会社で、ビル管理を担当する技術員に対して研修を行うための施設がこのたびリニューアル。その施設では、スケルトンのエレベーターや放水体験ができるなど、研修に役立つさまざまな設備がある。その体験レポートとともに、いま、ビル管理担当者に求められることを紹介する。
建物の老朽化でビル管理者に求められること
建物の老朽化が進んでいるといわれる中、良質な社会的ストック形成のためにも、ビル管理担当者はさらに知識やスキルを高めていく必要があるという。
総合不動産管理会社の東急コミュニティーの担当者に、これからのビル管理担当者に求められるのはどんなスキルなのか聞いてみた。
「ビルには色々な設備がありますが、それぞれ耐久年数があります。耐久年数というのは、例えばメーカーが決めた基準がありますが、日常の使い方や日々のメンテナンス次第で、より長く使えるようになります。もしくは更新や修繕のタイミングをうまく見極めるなど、そういった『診断力』を研修の中でいかにつけるかが重要になってきています。早めに手を打って長く使えるようにするなど、設備も建物も延命ができるようになる診断士のような人材を育てる必要があると考えています。ちょうど人間の健康診断みたいな感じですね」
メンテナンスの頻度や法律に関する知識が役立つ!
企業には、ビル管理を担う社員も存在するだろう。そこで、一般ビジネスパーソンが知っておくと良いビル知識についても教えてもらった。
●メンテナンスの必要性やタイミング
「ビルは、メンテナンスをするのとしないのとではまったく違います。例えばビル内の音や臭いなどを感知するセンサー技術を、今後開発していくことになると思いますが、こうした音や臭いもタイミングよくキャッチしてメンテナンスを施すことで、長く使えるようになります。その施すタイミングを見誤ると、コスト増になることがあります。当社では、そういったことをきちんと見極められる目を育てるということが大切だと思っています」
●何に基づいてメンテナンスがされているのか
「メンテナンスは、法律に基づいてやらなくてはいけないものもあるので、それが本当に法律に基づいているか、何に基づいてやっているのか、ということはある程度、ビルの管理担当者であれば知っておくべきだと思います」
●メンテナンスや清掃の見極め
「清掃も含めて、どれだけのものが本当に必要かという判断も大切です。例えば週何回、清掃をすると決まっている場合でも、実際、ビルを使っている人の動線が多い場所はもうちょっとやったほうがいいこともありますし、場所によってはやらなくていい箇所もあります。季節によっては、ここに埃がたまりやすいなどがあれば、そこを重点的にやりましょうなど、その辺りの臨機応変な管理も必要になります。我々としても現場目線の先でこういったご提案に結び付けていきたい、と思っています」