
■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
海外旅行の空き時間でツーリング
電車の旅ではなかなか行けない地方の小さな街を訪れたり、気に入った景色があれば気軽に駐車できたりする。自転車よりも楽で、クルマよりも自然や地域の人々に近く、発見が多い。これがオートバイ旅のおもしろさのひとつだ。
「海外で」となると少々ハードルが高く感じてしまうが、現地のレンタルバイクショップやツアー会社を利用すれば思いのほか手軽に実現する。
5月末、スウェーデンを訪問する際、現地ツアー会社に連絡を取って2日間のツーリングを体験してきた。
連絡をとったのは、スウェーデン南部・アルベスタ近くを本拠地とする「MagicMotor Experience」。スウェーデン南部やノルウェーを巡るツアーを開催しており、料金表示が明確なのが選択した理由だ。
料金はいずれもレンタルバイク(XT660R)と燃料、保険、食事(アルコールは別)、宿泊、サポートカー、ガイド料込み。今回はひとり利用のカスタムツアーのため割高だったが、あらかじめ日程が指定されているグループツアーなら4日間で1590ユーロ。物価の高い北欧では納得の価格だ。
日本では400CC以上のオートバイを運転するには大型二輪免許の取得が必要だが、街中での取り回しを考えると「どうせ買うことはないから」と大型二輪免許を取得しない人は多い。しかし、海外では普通二輪免許があれば、国外運転免許証を取得することで、雄大な景色の中、大排気量のオートバイを運転できる。
サポートカーには工具のほかに、予備のバイクが1台積まれていた。また、自分の荷物を預けておけるので、いちいち背負ったりキャリアに取り付けなくていい。不断乗り慣れていないレンタル車両なので、身軽に行動できるのはありがたい。
MagicMotor Experienceでは、あらかじめコースがはいったGPSナビが搭載されているので、万一、はぐれても安心。また、サポートカーともGPSナビを通して連絡を取っているそうで、ランチや休憩時にスムーズに合流できる。
舗装路ではない田舎道や山道でのツーリングを希望していたので、8割が未舗装路だ。道幅の広いフラットダートなので走りやすい。MagicMotor Experienceによると、オフロード初心者でも、オンロードでのオートバイの走行経験が長い人ならまず問題なく運転できるとのこと。実際、オフロード未経験者も利用しているそうだ。
スウェーデンではどの森もきれいに手入れされており、森の中が明るい。
今回案内されたルートでは、日本の林道にありがちな雨水によってできる縦にのびる溝はなく、非常に走りやすい。事前にメールで「泥とガレ場が苦手で、あまり運転はうまくない」と伝えていたこともあり、困ったのは倒木超えがあった1か所のみ。腕自慢でいろいろなところにチャレンジしたいなら、事前に相談するといいだろう。
湖が点在する美しい森が舞台。どこか北海道に似た雰囲気で心地よく走れる。
朝食・夕食はホテルのレストラン。昼食は景色のいい湖畔でピクニックで、評判のカフェのサンドイッチやデリが並ぶ。スウェーデンらしく、コーヒーとクッキーのフィーカも体験できる。ガイドツアーでは、こうした現地の習慣に触れられることが楽しい。