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2019.07.06

東京の外食産業の多様化に大きく貢献する「居抜き」ビジネス最新事情

居抜き

 ネットで売り手と買い手が直接結びつくようになったおかげで、今やシェアリング・サービスが大繁盛。シェアリング・サービスとは(本誌の読者に改めて説明するのも何ですが)、自分の持ち物をネット上のフリマで売りに出すメルカリとか、自宅の空き部屋を民泊に貸し出すAirbnbみたいに、遊んでいる物や時間を、必要とする人に買ってもらい、有効活用するビジネスのこと。そして、これらのサービスで売り手と買い手を結びつけることをマッチングと言います。

 シェアリングやマッチングは飲食界にも広がっていて、例えば以前ご紹介した、出前用の従業員を雇う余裕はないけど、雨で客が来ない日は出前で稼ぎたい飲食店と、余った時間はデリバリーのバイトで稼ぎたい人をマッチングするUber EATSとか、営業していない昼間、店を他の人に貸したいバーやスナックの経営者と、間借りでいいから自分の店を開きたい料理人をマッチングする軒先レストランとか、あるいは、本当は美味しいのに見た目が悪いので魚河岸や青果市場に出せない魚や野菜を売りたい生産者と、見た目はどうでもいいから美味しい食材を買いたい消費者をマッチングするポケットマルシェとか、数年前は考えられなかったビジネスがどんどん誕生しています。

 そんな中でも、近年、最も成長著しいのが、店舗の居抜き仲介業ではないでしょうか。ほら、最近、ニューオープンの飲食店に入ると、壁の色と照明が変わっただけで、内装はほとんど同じ、っていう店がよくありますよね。あれが、居抜きです。

 そもそも、飲食店経営者がビルのオーナーと店の賃貸借契約を結ぶ場合、店をやめるときは、内装も家具もすべて撤去し、まっさらな状態(=スケルトン)にして返すのが前提条件。物販と違って飲食店は大きな厨房設備を設えなければならないので、撤去の際、レンジ、ダクト、シンク、大型冷蔵庫を引っぺがして業者に引き取ってもらったら、坪あたり10万円、広さにもよりますが1店舗あたり100万〜200万円はすぐにかかる。一方、新たに飲食店を出す人は、内装だけで坪あたり40万〜50万円、厨房設備や什器、照明、空調などを含めると、すぐに1000万円はかかっちゃう。

 店を閉める側にとって、もしもスケルトンに戻さず、自分で揃えた設備一式を次の人に百万円で引き取ってもらえたら、差し引き200万〜300万円の得。一方、新たに出店するほうも、数百万円の節約になる。スケルトンから店を作るとなるとゼロから構想しなきゃならないけど、居抜きだと、リアルに店をイメージすることができ、こだわりたいところ以外は「まあいいか」とあきらめられるので、妄想が膨まず、設備費の節約以上に節約になるとも言います(中には、厨房設備や客席だけでなく、食器やエスプレッソマシン、生ハムスライサーまで譲ってもらえるケースがあるとか)。

 そんなわけで、リーマン・ショック以降、東京では「居抜き」で開業する飲食店が急増しています。中でも、20坪以内の小規模店舗に居抜きが多く、特に、鮨屋や割烹は内装に金がかかるので、ニューオープンのほとんどが居抜きだそうです。

 最近は、「世界のベストレストラン50」で世界1位に輝いた北イタリア・モデナの『オステリア・フランチェスカーナ』の元スーシェフで、イタリアで日本人として初めてミシュランの星を獲得した徳吉洋二が2月に神保町に出した『アルテレーゴ』が、神宮前に移転した『傳』(こちらも「世界のベストレストラン50」で17位)の居抜きだったり、元トゥール・ダルジャンのエグゼクティブ・シェフ、ドミニク・コルビが新橋に新規出店した『フレンチ割烹ドミニク・コルビ』が、『四季のバル』という和食居酒屋の居抜きだったりと、有名シェフも居抜きを厭わず、逆に和と洋を上手く組み合わせて逆利用しています。

『アルテレーゴ』『アルテレーゴ』は、世界的に有名な『オステリア・フランチェスカーナ』から独立し、2015年にミラノに出した自身の店『Ristorante TOKUYOSHI』で、日本人として初めてイタリア版ミシュランで星を獲得した徳吉洋二が、今年2月、神保町『傳』跡に居抜きで出店したイノベーティブ・レストラン。◆住所:千代田区神田神保町2-2-32 ◆電話:03・6380・9390

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