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落語英語に学ぶスピーチのブレイクスルーポイントは「観察」だった!?

2019.06.13

第4回「相手を動かす」異文化コミュニケーション術【全6回】

先日、ニューヨークで、桂三輝(かつらサンシャイン)さんの英語落語公演を観る機会がありました。

筆者は特に落語好きと言うわけではなく、テレビでは見たことはありますが、寄席に行くのは、実は初めて。

ニューヨークに住んでいると、色んな日本のモノ・コトがやってきて、日本にいたらわざわざ体験しないようなことも、やってみようかな?行ってみようかな?と思える良さがあります。

今回の落語もまさにそれ。生・落語、折角だから行ってみよう!と思ったわけですが、これが、実に多くの学びがあったのです。

実はサンシャインさんはカナダ人。外国人で落語家になったのは、明治・大正期に活躍した、初代快楽亭ブラックに続いて、二人目とのこと。現在ではほかにも数名外国人落語家がいるようですが、サンシャインさんが落語家デビューをした当時は、およそ100年ぶりの外国人落語家誕生、そして上方落語会でははじめての外国人だったそうです。

サンシャインさんは、かの有名な桂文枝師匠に弟子入りし、現在は日本語での落語はもちろん、英語での落語を世界各国に広めていらっしゃり、ニューヨーク以外に、ロンドンでも公演をされているのですが、75分間の公演、笑い続けました。外国人だからこその視点で、日本語や日本文化を面白おかしく、独特な軽妙な語り口でテンポ良く話していくさまは、海外在住24年の私のツボにはまりまくりです。

でも、噺家を生業としているプロとしてのサンシャインさんの技の極みは、そこ、ではなかったのです。

世界に通ずるストーリー

日本の古典ストーリーを、日本の伝統技術で、英語で、一人芝居のように何役も演じ分けながら語り、文化も価値観も笑いのツボも違う人たち全員を、同じポイントで同じタイミングで笑わせる。

これ、並大抵の努力では実現できないアートフォームです。

毎日毎日何年もかけて学び続け積み重ねた修行の賜物に他なりません。

何をどんな風に修行したらこの境地に行き着けるのか、英語でアメリカでプロスピーカーを生業とする筆者には興味津々です。

サンシャインさんの落語は上方落語(大阪)ですが、日本語だと、大阪弁であるだけで面白い、と言うことがあると思います。

ところが、英語でやる際、同じような感覚で、アメリカ南部なまりやスコットランドなまりで話したり、スラングを沢山入れて話そうとすると、お客はこれが日本の話かアメリカ南部の話かスコットランドの話か混乱してしまい、言葉のイメージが邪魔をして、お客様が本来の世界観に入り込めません。

ですからサンシャインさんが英語落語をする時は、教科書的な英語を使うそうです。ちょっとかたい英語なので、口語としては少し不自然だけれども、これが何のバイアスもかかっていない、無国籍な英語。つまり、言葉の特徴を全部消して、ゼロにして、絵にたとえると真っ白なキャンバスにストーリーを乗せて、それを言葉ではなく雰囲気だけで本来の色に染めていく……のだそうです。

おそらくひとつのストーリーを、「ネタ」から「小噺」として完成させるには、1年、もしかしてそれ以上の時間をかけて練り直して精度を高めていくのではないかと推察します。

繊細な変化と間が笑いを生み出す

更に、デリバリーの技術の素晴らしさ。

落語は、小道具は扇子と手ぬぐいの2つだけを使い、さらに、ずっと座ったまま、つまり上半身しか使えない状況で進んでいきます。

プロフェッショナルスピーカーから見ると、その場を動かず、上半身しか使えない状態でスピーチをするなんて、考えられない制約です。

しかしこんな制約の中だからこそ、デリバリーの技術はそれはそれは繊細で精緻です。ちょっとした顔の動きや表情、登場人物の声や姿勢の演じ分け、声のトーン、緩急、ボリューム、間合い……すべてが計算しつくされています。そしてそのひとつひとつは決してオーバーではなく、繊細な違いなのです。

私の師匠、Craig Valentineは、「スピーカーとしてのデリバリー技術は、”Subtlety & Silence”に集約される」、と言っています。

つまり、繊細な変化と、間の取り方で、デリバリーのインパクトがグン!と上がる、ということです。

サンシャインさんの落語に、まさに、Subtlety & Silenceの真骨頂を見ました。

別の表現をするならば、「ミニマリズムの芸術」ともいえるかもしれません。

日本の古典的な噺を、日本の伝統芸能技術で、英語で、一人芝居のように何役も演じ分けながら語り、文化も価値観も笑いのツボも違う人たち全員を、同じポイントで同じタイミングで確実に笑わせる、という技術の鍵は、まさに「ミニマリズムの芸術」に凝縮されます。

そこで桂三輝(サンシャイン)さんに、異文化の観客に「伝わる」コツをインタビューし、「ミニマリズムの芸術」を紐解いてみました。

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