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2019.06.07

抗菌薬の長期使用で高齢女性の心血管疾患リスク増加、米テュレーン大学肥満研究センター

抗菌薬の長期使用で高齢女性の心血管疾患リスク増

抗菌薬は多くの人の命を救うことができるが、高齢女性が長期間使用すると心疾患や脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが、米テュレーン大学肥満研究センターのLu Qi氏らの研究で明らかになった。

研究の詳細は「European Heart Journal」4月24日オンライン版に掲載された。

今回の研究は、看護師健康調査(NHS)に参加した女性看護師3万6,429人を平均7.6年間追跡したもの。追跡期間中に1,056人の女性が心疾患や脳卒中による心血管疾患を発症した。

その結果、抗菌薬を2カ月以上の長期にわたり使用した60歳以上の女性では、使用歴がない同年代の女性と比べて心血管疾患リスクが32%高いことが分かった。

同様に、40~59歳の女性でも、抗菌薬を長期間使用すると使用歴がない場合に比べて心血管疾患リスクが28%高かった。

高齢女性における1,000人当たりの心血管疾患の発症率は、抗菌薬の使用歴がない女性では3件だったのに対し、同薬を長期間使用した女性では6件に上っていた。

一方、20~39歳の若年女性では、抗菌薬を長期にわたり使用しても心血管疾患リスクの上昇は認められなかった。

ただ、今回の研究は観察研究であるため、抗菌薬の使用と心疾患や脳卒中の発症との関連を示したにすぎない。

Qi氏は「抗菌薬の使用期間が長かった女性は、他の健康上の問題を抱えていた可能性があることや、他の要因が結果に影響を与えた可能性も考えられる」と指摘している。

なお、Qi氏らが行った解析では、年齢や人種、性、生活習慣、抗菌薬を使用した理由、過体重や肥満、併存疾患や服薬状況などで調整されていた。

また、今回の対象女性が抗菌薬を使用した理由としては、呼吸器感染症や尿路感染症、歯科治療が最も多かった。

抗菌薬の使用と心血管疾患リスクを関連づける要因について、Qi氏は「抗菌薬を使用すると腸内細菌叢が変化して、善玉菌が減り、ウイルスや細菌、悪玉菌が増えることが知られている。

これまでの研究で、腸内細菌の組成がこのように変化すると、炎症の亢進や血管の狭窄、さらには脳卒中や心疾患の発症につながることが示されている」と説明している。

論文の筆頭著者で同大学のYoriko Heianza氏は「高齢女性では、より多くの抗菌薬を必要とする傾向があり、場合によっては長期に服用することもある。

このような抗菌薬の累積使用が、高齢女性において心血管疾患の発症につながった可能性が考えられる」と述べている。

また、Qi氏は「今回の研究の重要なメッセージは、抗菌薬の使用は必要な場合に限り、その使用は短期間とすることが望ましいということだ」と強調している。

この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のEugenia Gianos氏は「感染症の治療に抗菌薬の服用を必要とした患者では、もともと重症の感染症や炎症の亢進があり、それらが全身に作用して心血管疾患を引き起こした可能性も大きい」と指摘している。

しかし、Qi氏らが指摘する抗菌薬の使用と腸内細菌叢や心血管系との関連も重要な要因だと付け加えている。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz231/5477431

構成/編集部

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