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ファーウェイ問題の本質はどこに?冷静に考えたい「安全保障上のリスク」と対処法

2019.06.07

中国製スマホのリスクの一方でアメリカも…

 また、ファーウェイ製スマートフォンに限らず、中国製スマートフォンにリスクがあるという指摘については、中国が「国家情報法」において、「いかなる組織及び個人も国家の情報活動に協力する義務を有する」と定めており、端末メーカーなどが自社サービスで知り得た情報を政府に提供するのではないかと危惧されていることが背景にある。この点については、国の法律や制度の問題なので、簡単に「問題ない」とは言えず、中国も何らかの方針や説明が求められるだろうが、その一方で、米国や他の国と地域は潔白かというと、こちらも大きな疑念が残る。米国の国家安全保障局(NSA)及び中央情報局(CIA)の元局員だったエドワード・スノーデン氏により、米国全世界のインターネットを傍受していることを暴露し、その話題は映画化もされた。手法は違うものの、他の国と地域も何らかの形で、情報収集をしている可能性が十分に考えられる。もちろん、中国のように、国の方針として、インターネットそのものを検閲する『金盾』のようなしくみがある環境とは同じように扱えないが、現実問題として、iPhoneを含め、世界のスマートフォンのほとんどは中国の工場で生産されており、中国製が危険ということであれば、これらもすべて同様の扱いをしなければならなくなる。

 さらに、ファーウェイを「中国企業」として、ひとまとめに捉えてしまうことを疑問視する指摘もある。同じ中国の通信機器メーカーとしては、ファーウェイと並んで、前述のZTEが知られている。実は、この2大企業は出自や成り立ちに違いがあり、中国国内での印象も大きく違うのだという。ZTEは元々、国有系企業であるのに対し、ファーウェイは創業者が軍人出身であるものの、民営企業であり、社風などもどちらかと言えば、欧米に近いそうだ。中国国内でファーウェイのシェアが拡大してきた背景には、こうした出自や社風、ブランドイメージの違いがあり、比較的自由なイメージのあるファーウェイの方が若い世代に人気を得てきたのだという。ところが、中国以外では「どちらも中国企業で、政府に情報を抜き取られている」と解釈されてしまうあたりに、今回の問題の一因があるようにも見える。

 そして、今回はファーウェイが規制の対象に挙げられたが、同じことは他の企業に降りかかることも考えられる。スマートフォンではOPPOが日本市場へ積極的に攻勢をかけているが、同社も中国の企業であり、中国製品全体がターゲットになってしまうと、同社も影響を受ける可能性がある。スマートフォンだけでなく、パソコンも対象になれば、さらにその影響は拡大する。ファーウェイ以外の端末メーカーにとって、今回の騒動は対岸の火事で済ませられない問題でもあるわけだ。

これまでとは次元の違う問題

 米商務省のエンティティリストへの記載に端を発した『ファーウェイショック』は、まだ解決の糸口が見えない状況にある。モバイル業界やIT業界では、これまでも特許や知財による企業同士の争い、独禁法に絡む政府と企業の紛争などがくり広げられてきたが、今回のファーウェイに対する規制は、明らかに政治レベルの話であり、業界として、どう取り組んでいくのか、どのように対処していくのかなど、解決するための方向性がなかなか見えにくい。しかもその影響は各企業の活動だけでなく、スマートフォンを利用する消費者にも降りかかる状況にあり、ひいては日本企業の業績などにも影響を与えることになりそうだ。

 今後、解決へのきっかけとして期待されているのは、今月末に大阪で開催が予定されているG20サミットの場で、米中の話し合いが持たれることにある。どのような解決策が導き出されるのかはわからないが、ユーザーとしては不確かな情報には惑わされず、落ち着いて各社の動向を見守っていく必要がありそうだ。

取材・文/法林岳之
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

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