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2019.06.05

Googleが取引停止、新端末の発売延期の裏には何があった?ファーウェイショックの真相

【短期集中連載】ファーウェイショックの本質1
Googleが取引停止、新端末の発売延期の裏には何があった?  

 ここ数年、クローズアップされてきた米国と中国の貿易摩擦。昨年あたりからはお互いに追加関税を課すなど、貿易戦争の様を呈してきているが、その影響は私たちが普段、利用するスマートフォンにも拡がろうとしている。なかでもこの1カ月、急速に状況が変わってきたのがファーウェイ製品だ。テレビや新聞などでも報じられ、ニュースなどでもさまざまな情報が飛び交っているが、実際のところ、何が問題でこれからどうなるのだろうか。モバイル業界を長年取材してきたジャーナリスト、法林岳之氏がこの問題の本質を解説する。

 エンティティリストに記載されたファーウェイ

 今年5月、NTTドコモやau、ソフトバンクは、夏商戦へ向けた新製品を発表した。今年は完全分離プランへの移行や販売方式の見直しなどもあり、端末そのものよりも料金プランや販売施策への注目が高かったが、各社の発表後、モバイル業界には思わぬ問題が起きてしまった。

 5月15日、米商務省産業安全局は「エンティティリスト」に中国のファーウェイと同社の日本法人を含む関連企業の約70社を記載したことを明らかにした。このエンティティリストは「禁輸措置対象リスト」とも呼ばれ、米国と商取引などを行なうのに好ましくない米国外の相手(企業、団体、個人)のリストとされている。このリストは米国の国家安全保障や外交政策の利益に反することなどを理由に作成されているもので、このリストに掲載された相手と何らかの取引をする際、米商務省に申請をして、許可を得なければならなくなる。しかし、実際に許可が下りることはほぼなく、実質的にほとんどの取引を制限するリストという意味合いになる。

 しかもエンティティリストが厳しいのは、米国製品の輸出などに限定されるものではなく、米国の技術を利用した外国製品なども対象になるうえ、米国製品を他国経由で対象者に輸出することも制裁の対象になるため、リストに記載された企業や団体、個人は、商取引だけでなく、さまざまな経済活動を制限される。

 米国がこうした措置を執った背景には、大きく分けて、2つの要素があると言われている。ひとつは米国と中国の間でくり広げられてきた経済摩擦や貿易戦争に対する圧力、もうひとつは通信設備や端末を利用した盗聴などのリスクから考えられる安全保障上の理由になる。米中の経済摩擦はお互いに追加関税を課すなど、加熱するばかりだが、米国としてはエンティティリストに記載することで、今後の交渉を有利に進めたいという思惑が見え隠れする。もうひとつの安全保障上の理由については、昨年来、日本を含む同盟国に対し、基地局などの通信設備にファーウェイ製のものを採用しないように働きかけたが、エンティティリストに記載することで、この方針をより明確にしたものと言えそうだ。そして、通信に関連することについては、当然のことながら、今後、本格化する5Gネットワークを中心としたIT分野において、ファーウェイをはじめとする中国勢にリードされたくないという考えもある。

Googleが取引停止を発表

 米商務省のエンティティリストへの記載を受け、世界各国ではファーウェイを対象にした取引や活動が停止したことが伝えられている。

 まず、最初に伝えられたのは、Androidプラットフォームを提供するGoogleがファーウェイとの取引を停止したことが挙げられる。

 ファーウェイのスマートフォンやタブレットは、Androidプラットフォームを採用しているが、Googleとの取引が停止されたことで、今後、同プラットフォームを採用した製品を開発、製造、販売することができなくなる。

 ただし、Googleは5月20日に「既存製品については、Google Play(Googleが提供するアプリなどのコンテンツ配信サービス)を含め、継続して利用できる」と発表している。こうした発表をした背景には、Googleとして、米国の法律や規制は遵守しなければならないが、既存のユーザーに影響が及ぶことは避けたいという意図がうかがえる。

 実は、昨年4月、米商務省は同じく中国のZTEがイランなどに米国製品を違法に輸出したとして、米国企業との取引を禁じる制裁を科したことがある。このとき、ZTEはスマートフォンのチップセット(CPU)を米クアルコムから調達できなくなるなど、開発や製造ができなくなるばかりか、営業活動も事実上、禁止されてしまった。これに加え、既存ユーザーがアップデートサーバーに接続できなくなり、日本国内でもZTE製品のソフトウェア更新が停止する事態に陥ってしまった。こうした事態をくり返すことは、GoogleとしてもAndroidプラットフォームとエコシステムの信頼性に関わるうえ、一般ユーザーへの影響も大きくなる可能性があるため、混乱を避けるために発表したようだ。ファーウェイは2018年だけでも全世界に2億台のスマートフォンを出荷しており、これらがすべて利用できなくなったり、アップデートできなくなれば、市場に大混乱を巻き起こすことになる。

 ちなみに、Googleがファーウェイと取引を停止したことに対し、今後、ファーウェイが独自OS、もしくはGoogleとのライセンス契約に触れない仕様のスマートフォンを開発するのではないかというニュースも伝えられている。ただし、元々、AndroidはオープンソースのOSとして公開されているため、この部分については規制の影響を受けない。影響があるとすれば、「Gmail」や「Googleマップ」、「Google翻訳」といったGoogleのサービスを利用するためのアプリになるが、中国国内ではGoogleが提供するサービスが利用できないため、実はファーウェイはすでにGoogleサービス対応アプリを搭載しないAndroidスマートフォンを中国国内向けに販売している。ただ、こうした仕様のモデルは日本をはじめ、グローバル市場で販売しても支持される可能性は低く、あまり現実的な選択肢とは言えない。同時に、アプリを開発する側も複数のアプリ配信プラットフォームに対応する必要があるため、あまり歓迎されないだろう。

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