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ついに代表参戦!久保建英と過去の「10代代表」は何が違うのか?

2019.06.04

Photo:Getty Images/Masashi Hara

 FCバルセロナのカンテラ(下部組織)に所属していた頃から「将来の日本代表を担う逸材」として注目を集めてきた久保建英(FC東京)。その彼が6月4日の18歳のバースデーを目前にして日本代表初参戦を果たした。2日から豊田市内で始まったキリンチャレンジカップ2連戦(5日=トリニダード・トバゴ、9日=エルサルバドル)の代表合宿に満を持して合流。2018年ロシアワールドカップの主力だった36歳の川島永嗣(ストラスブール)や長友佑都(ガラタサライ)、香川真司(ベシクタシュ)らと同じチームの一員として、大きな一歩を踏み出した。

「早熟の天才」たちの代表キャリアを振り返ると…

 今回の2連戦に出場すれば、98年4月1日の韓国戦に出場した市川大祐(清水普及部コーチ)の17歳322日に次ぐ歴代2位の年少記録を達成することになる。仮に得点となれば、77年6月15日の韓国戦で金田喜稔(解説者)が記録した19歳119日の最年少ゴール記録を大きく更新するという。久保はキリンチャレンジカップの後にはコパアメリカ(ブラジル)にも赴くことになっていて、チリ、ウルグアイ、エクアドルとの3試合も控えている。これだけチャンスが広がっていれば、最年少ゴール記録更新の可能性は大いにあるだろう。

「10代代表」と騒がれた選手は、過去にも何人かいた。前述の市川と98年フランスワールドカップに18歳で出場した小野伸二(札幌)はその筆頭だろう。今から21年前、岡田武史監督はフランス大会の起爆剤としてフレッシュな人材の抜擢を試みた。市川は惜しくも本大会直前にカズ(三浦知良=横浜FC)と北澤豪(日本サッカー協会理事)ともにメンバーから外れたものの、小野はジャマイカ戦で15分間出場。「彼らがいれば近未来の日本代表は安泰だ」とさえ評された。
 しかしながら、市川は過密日程が重なり、翌99年2月にオーバートレーニング症候群を発症。2002年日韓ワールドカップには出場したが、その後もケガに泣かされた。小野も同様にハードスケジュールが祟って、99年7月の2000年シドニー五輪アジア1次予選・フィリピン戦で左ひざじん帯を損傷。これを機に「プレーのひらめきが湧かなくなった」と苦悩するようになる。フェイエノールト時代の2002年にはUEFAカップ(現欧州リーグ)制覇の偉業を果たしたものの、3度出場したワールドカップでは期待されたような華々しい活躍は叶わなかった。

 その後も梅崎司(湘南)、内田篤人(鹿島)、山田直輝(浦和)といった10代代表デビューを果たしたタレントがいたが、軒並み大ケガに見舞われている。30代に突入してからも日の丸を背負っているのは香川くらい。その香川もここ数年は小さな負傷にたびたび見舞われ、継続的に活躍できていない。いわゆる「早熟の天才」が代表キャリアを長く続けることがいかに難しいか…。それを彼らが物語っている。

先人たちとは全く異質の成長過程

 久保の今後がどうなるかはまだ分からないが、少なくともここまでの成長過程は先人たちとは全く異質と言っていい。ご存知の通り、彼はバルサのカンテラに在籍していたが、当時から世界トップのメソッドの中で指導を受け、高度な技術戦術を体得。さらにフィジカル強化も重視して、帰国時も独自のトレーニングを行っていたようだ。6年前、ともに練習した長友がこう明かす。
「僕がインテルでプレーしていた時、帰国したタイミングで中西哲生さんのトレーニングに行ったんですけど、そこに久保建英も来ていた。彼は小学校5、6年だったのかな。帰るたびに何回かやっていましたね」
 海外クラブ所属選手と同じサイクルで動き、オフシーズンに体力向上に勤しむというのは普通の日本人の子供とはまるで違う。こうしたアスリートとしての意識の高さは、14歳で帰国し、FC東京のアカデミーに入ってからもずっと持ち続けていたはずだ。

 久保はその後、U-18、U-23、トップと全て飛び級でステップアップしてきたが、身体的成長と負荷に気をつけながらサッカーに取り組んできたという。周囲の大人も慎重なスタンスを取り続けていた。
 16~17歳だった2018年はプロのスピードとフィジカルに十分についていけず、試合出場機会をコンスタントに得られなかった。夏以降にレンタル移籍した横浜F・マリノスでもベンチを温めることが多かったが、成長期にムリな負担をかけて、ケガの危険性を高めるよりはよかったのかもしれない。その1年間があったから、今季のブレイクにつながったと見る関係者も少なくない。
 やはり心身ともに不安定な10代アスリートはバランスをうまく考えながら成長を促す必要がある。ここまでの久保建英はそれがうまくかみ合ったからこそ、17歳でのA代表入りが実現したと言っていい。今の時期に心身のベースをしっかり養っておけば、先々のケガやトラブルのリスクも減っていくのではないか。

 森保監督も今回の2連戦でいきなり久保をフル稼働させるようなことはしないだろう。少しずつ実戦に加えて、世界トップを知る香川や長友、岡崎慎司(レスター)らのパワー、スピードを体感させながら、レベルアップを図っていくはずだ。コパアメリカになればなおのこと強度が上がるため、出場時間は制限されることが濃厚だ。
 そうやって出番が減っても、短時間で一仕事できてしまうのが久保の強み。左足の精度の高いキックで直接FKを叩き込むことも可能だし、小気味いいドリブル突破から決定機をお膳立てすることもできる。「相手を見てポジションを取ったり、相手を見て判断をギリギリで変えるとか、少し日本人離れしたところある」と2008年北京五輪の反町康治監督(現松本山雅)も絶賛したが、その賢さと判断能力の高さを駆使すれば、世界の強豪相手でも何らかの爪痕を残せるはず。屈強な敵を翻弄する彼の姿をぜひ見てみたい。

 さしあたって今回の2連戦だが、久保がどのポジションで出るかが興味深い。右サイドなら堂安律(フローニンゲン)や伊東純也(ゲンク)違いを出さなければならないし、トップ下なら香川や南野拓実(ザルツブルク)との差別化が必要になる。規格外の17歳は年齢や実績に関わらず、チームメートに「ボールをよこせ」と要求できるだけのメンタリティを備えている。そこは大きな長所。香川や大迫勇也(ブレーメン)といった先輩たちと生かし生かされる関係を構築するためにも、度胸と大胆さを前面に押し出すこと。そこを久保には強く求めたい。

 

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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