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スマホアプリで子どもの中耳炎を発見できる、米ワシントン大学研究

2019.06.02

スマホアプリで子どもの中耳炎を発見できる?

子どもが中耳炎に罹患しているかどうかを、スマートフォン(スマホ)のアプリを用いて高い精度で判定できたとする研究結果を、米ワシントン大学コンピュータサイエンス・エンジニアリング学科のJustin Chan氏らが「Science Translational Medicine」5月15日号に発表した。

中耳炎は、細菌やウイルスなどが耳管を通って鼓膜の奥に感染し、炎症が生じて膿がたまっている状態を指す。主な症状は痛みや難聴などだが、症状が全くない場合もあるため診断が難しいとされる。

このアプリは、スマホに内蔵されているマイクとスピーカーに加え、小さな紙片を使用し、鼓膜の奥の中耳に「浸出液」という液体がたまっているかどうかを調べるというもの。

スマホから小型の紙製の筒を通して耳に聞き取れる程度のかすかな音が発せられ、その反応によって鼓膜の奥にたまった浸出液の有無を判定できるという。

このアプリを使って中耳炎を検出する仕組みについて、Chan氏は「ワイングラスを叩くのと同じようなものだ」と説明する。

ワイングラスを軽く叩いたときには、グラスの中の液体の量によって音が変化するが、これと同じ仕組みだという。

また、「機械学習で音を学ばせることで、鼓膜の奥にたまった浸出液の有無を判定できる」と同氏は付け加えている。

Chan氏らは今回、米シアトル小児病院の生後18カ月から17歳までの53人の小児患者にアプリを使用し、音の変化を検出できるよう学習させた。

このうち約半数は慢性の滲出性中耳炎に対する鼓膜のチューブの留置術を予定し、残る約半数は扁桃摘出術などの耳以外の外科手術を予定していた。

共同研究者の一人で、同大学外科レジデントのSharat Raju氏は「今回の研究で特に注目すべき点は、中耳炎のゴールドスタンダードとされている診断法を用いたことだ。

鼓膜にチューブを留置する際には、鼓膜を切開して奥にたまった浸出液を取り除くのが一般的だが、これが浸出液の有無を判定する最善の方法だ」と説明している。

研究では、このアプリによって85%の感度で鼓膜の奥にたまった浸出液の有無を判定できることが示された。

これは空気圧を変化させて鼓膜の変化を調べるティンパノメトリや気密耳鏡検査といった従来法に匹敵する結果だったという。

共同研究者で同大学コンピュータサイエンス・エンジニアリング学科のShyam Gollakota氏は「スマホのような生活に広く浸透しているデバイスを用いて、中耳炎を高精度に発見できるようになれば、子どもたちの親だけでなく、医療資源が乏しい地域の医療者にも役立つだろう」と期待を示す。

また、同氏によれば、「アプリ以外に必要なのは小さな紙片のみであること」がこのスマホアプリを用いた診断ツールの主な利点であるという。

なお、研究グループは今後、一般に向けたアプリの商品化を計画しているという。

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://stm.sciencemag.org/content/11/492/eaav1102

構成/編集部

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