結婚を機に退職することを「寿退社」といいますが、厚生労働省「21世紀成年者横断調査」によると結婚後も仕事を継続する女性は多く、その理由について「生計を維持するため」と回答した方が多く見られました。
最近では共働きの家庭も多いですが、結婚後に退職・転職するメリット/デメリットは何なのでしょうか。結婚後に仕事を辞めようか考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
仕事を辞めたいから結婚したい! 専業主婦になりたいという考え方はアリ?
仕事に疲れてしまった時は「結婚して仕事を辞めたい」と考えを巡らせてしまうものです。実際に「結婚をして仕事を辞めて専業主婦になる」という考えはアリなのでしょうか?
現在は共働きが当たり前の時代になりつつあるため、男性も妻が働くことを前提に考えている人が非常に多いです。
そういった考え方の男性は、女性が結婚を機に仕事を辞めることを負担に感じてしまうかもしれません。また、大手企業であってもリストラが多いこの世の中、男性が安定して妻を養い続けられるという保証もありません。
一方、少数派ですが「専業主婦になってほしい」という男性もいます。
妻が専業主婦になることに賛成する場合「男性が稼ぐなら、女性は家事育児全般をこなす」と考えている方が多いです。そのため、家事をしっかりこなす覚悟が必要でしょう。
結婚して仕事を辞めたい! 結婚後に仕事を辞めるメリット/デメリット
結婚後に仕事を辞めると、どのようなメリットやデメリットがあるのかを考えましょう。
メリットとしては「家事や相手をサポートできる」「扶養に入れる」「妊娠・出産・育児に専念できる」など、仕事をしながらでは負担になることが楽になるという点や、扶養によって税金が優遇される場合もあります。
デメリットは、「自由に使えるお金が減る」「世帯全体のお金が減る」「会社などの社会のつながりがなくなる」「キャリアが途絶える」など、キャリアや金銭的な問題が多く発生します。また働きたいと思っても、ブランクがあると再就職が難しい場合もあります。
金銭的に余裕がないと、パートナーと衝突してしまう可能性もあります。仕事を辞めても経済的に問題はないか、しっかりと夫婦で話し合いましょう。
「結婚後は仕事を辞めたい」と男性が言ってきたら?
結婚後に旦那さんが「仕事を辞めたい」と言ってきた時は、まずどのような理由で仕事を辞めたいのか聞いてあげましょう。
「仕事内容がうまくいかない」「人間関係が悪い」「仕事の量が多すぎて、疲れている」「ほかにやりたい仕事がある」など、様々な理由が考えられます。
こういった時は、転職もひとつの方法でしょう。まずは休息を取って、冷静に話し合うことをおすすめします。
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結婚後は仕事辞めたい……看護師など夫婦の生活リズムが合わない場合
看護師など定時で帰ることが難しい職種の場合、「体力的に辛い」「夫婦の生活リズムが合わない」「経済的に心配で仕事が辞めるに辞められない」といった意見が挙げられます。
夫婦間の生活リズムのずれは、結婚生活にも影響を及ぼす可能性があります。旦那さんと相談して、どのように生活をしていきたいか考えましょう。
遠距離恋愛の末に結婚! 仕事は辞めるべき?
遠距離恋愛で結婚が決まった場合、夫婦のいずれかが引っ越すパターンが多いと思います。しかし、引っ越した先に自分に合う仕事があるかはわかりません。結婚や引っ越しには費用もかかるので、ギリギリまで働くのがおすすめです。
退職を会社に言うタイミングは、一般的には1~3か月前と言われていますが、結婚式と退職日が決まっている場合は、早い段階で話しておくとスムーズに引き継ぎができます。
なお結婚による引っ越しで退職した場合、「特定理由離職者」となるため、失業給付金の申請から1週間で給付金をもらうことができます(専業主婦になる場合は対象外です)。
【参考】特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(厚生労働省)
仕事を変えるなら結婚前?後? 転職するベストタイミングとは
結婚を機に転職して、出産や育児に専念したいと考える方もいますが、男性と女性とでは転職すると良いケースと悪いケースがあります。
男性の場合は積み上げたキャリアと年収が変動することもありますので、注意しましょう。女性は出産や育児次第で、転職にベストなタイミングが異なります。
結婚を機に転職! 男性が結婚後に仕事を変えるのは危険?
男性が結婚を機に転職する場合、年収が落ちてしまうケースがあります。
それは、転職先は仕事に集中できる人材を求めることが多いため、仕事に専念できないと判断されてしまうと採用されにくくなってしまうからです。
転職活動時は、キャリアアップが転職理由であることや、仕事に意欲的であることをアピールしましょう。
女性は「結婚前」の転職がおすすめ! 出産も考慮して仕事を変えるタイミングを考える
女性の場合は、いつ出産したいかによって転職にベストなタイミングが異なります。
働きながら出産・育児に励みたい場合、「結婚前」に転職しておくと、仕事が落ち着いた時に出産に臨むことができます。
ただし、出産を当分考えていない場合は「結婚後」に転職するのがベストです。長年勤めている会社であれば、休暇も取りやすく、結婚の準備も進めやすいからです。結婚生活が落ち着いてから転職を考えても遅くはないでしょう。
結婚で仕事辞めるけど……不安になる理由とは
結婚に伴ってこれまで勤めてきた職場に通勤するのが難しくなり、仕事を辞めざるを得ない場合もあります。キャリアを手放すのが怖かったり、新天地で就職できるのか不安になったりますよね。
まずは自分にとって「大切なもの」は何かを考えましょう。あなたにとって大切なことは「結婚」でしょうか、または「仕事」でしょうか。
「結婚」を大切にしたいのであれば、旦那さんとの生活を大切にしましょう。「仕事」の場合は、結婚後の人生のことを夫婦でしっかり話し合って、あなたに合う仕事を見つけていきましょう。
仕事を辞められない時は「結婚」や「子育て」を理由にすると良い
本当は仕事を辞めたいのに、辞められないとお困りの方もいらっしゃいますよね。
どうしても辞められない場合には、結婚を理由にして辞めることができます。「寿退社」「子育てのための退社」は家庭の事情としてポピュラーで、理解されやすい傾向にあります。
「結婚」は仕事を辞める正当な理由になる?
前述したように結婚は退職理由として理解されやすいです。
ただし、女性が結婚後も働けるように育児休業などの制度を取り入れる会社も増えています。中には、結婚を機にフルタイム勤務からパート勤務に移行にする方もいるようです。
嘘も方便!? 結婚は仕事を辞める理由にできる
実際は結婚しないのに結婚を退職理由にする方もいます。どうしても辞めたい時に使われるようです。
しかし、嘘の理由が友人や知人に広まる可能性もあります。あなたの信用問題にも関わるため、本当に結婚しないのであれば理由として使わないようにしましょう。
取材・文/シオミココロ