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死の組突破の原動力となった齊藤、菅原が東京五輪代表昇格か!?U-20日本代表の現在地

2019.05.31

 2019年U-20ワールドカップ(ポーランド)でエクアドル、メキシコ、イタリアという強豪揃いの「死の組」に入りながら、1勝2分の勝ち点5でイタリアに次ぐ2位通過を果たしたU-20日本代表。大会直前に久保建英(FC東京)、安部裕葵(鹿島)、橋岡大樹(浦和)といった主力の招集が叶わなくなった時には暗雲も立ち込めた。それでも影山雅永監督の巧みなチームマネージメントとキャプテン・齊藤未月を中心とした選手たちの奮闘が光り、ベスト16という第一目標は何とかクリアした。

圧巻だった齊藤未月のパフォーマンス

 3試合の選手個々のパフォーマンスを振り返ると、やはり圧巻だったのは齊藤だ。166cmという小柄なボランチは無尽蔵な運動量と走力を生かして中盤をコントロールし、危ない場面をいち早く察知して相手の攻撃の芽を摘み続けた。湘南ベルマーレでは今季プロ4年目で、チョウ・キジェ監督からも中心的MFの1人と位置付けられているが、その経験値と安定感を遺憾なく発揮している。

「僕の走力は湘南仕込み」と胸を張るほどのタフさと逞しさには、影山監督も絶大な信頼を寄せている。だからこそ、昨年10月のアジア最終予選に当たる2018年AFC・U-19選手権(インドネシア)で安部が背負っていたエースナンバー10を与えたのだろう。

「ここまで来たら50%くらいの確率で優勝できる可能性があると思っている。決勝トーナメントは何が起きるか分からないから」と言い切ってしまう強気のメンタルも頼もしい。幼稚園から小学校まで湘南インターナショナルスクールに通っていたこともあり、巧みに英語を操る20歳のダイナモは国際舞台にめっぽう強い。そこは2020年東京五輪代表を指揮する森保一監督にとっても心強い点。東京世代のボランチは際立った選手がいないだけに、彼が昇格する可能性はかなり高そうだ。

「U-20新イケメントリオ」の一員である右サイドバック・菅原由勢(名古屋)のパフォーマンスも一見に値する。ここまで3試合フル出場しているのは齊藤、若原智哉(京都)、小林友希(神戸)と菅原の4人だけ。それだけ重要度が高い選手なのは確かだ。

「疲労? 全然余裕っす。延長でも行けました」と本人は29日のイタリア戦後に笑い飛ばしていたが、今季はJリーグルヴァンカップしか出ていない選手がここまで強度の高いプレーを続けられるのは潜在能力の高い証拠。実際、菅原が体を張って相手のビッグチャンスを阻止したシーンは数知れない。攻撃面でも26日のメキシコ戦では精度の高いクロスから田川亨介(FC東京)のヘディング弾をお膳立てする一歩手前まで行ったが、残念ながらオフサイドの判定。弓矢を引くアシストパフォーマンスも実らなかったものの、「ボールを蹴る感触はいいので、ポジティブにやれている」と笑顔をのぞかせた。

 こういったウイットに富んだ行動パターンはやはり内田篤人(鹿島)に通じる。本人は「内田選手の映像は何度も見ましたけど、自分は自分」と繰り返しているが、東京五輪世代に傑出した右サイドバックがいないこともあって、彼が昇格する確率は高そうだ。それを確実にするためにも、決勝トーナメントでの活躍、名古屋に戻ってからの定位置獲得が必須テーマとなってくる。

五輪、A代表昇格の絶好のチャンス

 アタッカー陣を見ると、メキシコ戦で2ゴールを挙げた宮代大聖(川崎)、同じ試合で1得点1アシストの実績を残した田川が輝きを放っていた。宮代は23日のエクアドル戦ではベンチスタートとなったが、後半頭からピッチに立つや否や、巧みなボールコントロールやシュート力を生かして一気に流れを変え、山田康太(横浜)の値千金の同点弾をアシスト。これで勢いに乗り、メキシコ戦で爆発する形となった。田川にしても、エクアドル戦の入りは芳しくなく、まさかのオウンゴール献上という不運に見舞われたが、後半から相手DFの背後を突く動きを増やしたところ状況は一変。続くメキシコ戦でも打点の高いヘディングシュートで日本の勝利を引き寄せている。

 ところが、重要な2枚のストライカーが今、アクシデントに見舞われている。宮代はイタリア戦前日の練習を欠席し、当日はウォーミングアップもしなかった。影山監督は「プレーはできる状態」と話したが、状態が万全でないことは確かだ。一方の田川はイタリア戦前半、猛烈なスピードでDFをかわしてGKと1対1になる決定機を迎えた直後に右太もも裏を負傷。今大会中の復帰はかなり難しそうだ。短期間で急成長した2人が揃って使えないのは痛い、少なくとも宮代だけはピッチに戻ってきてもらう必要がある。

 新イケメントリオの一角を占める斉藤光毅(横浜FC)もイタリア戦で左肩負傷という厳しい状況に陥っている。前線の戦力が手薄になった今、決勝トーナメントでの爆発が期待されるのは、中村敬斗(G大阪)と西川潤(桐光学園高)しかいない。中村は久保や安部の招集見送りによって「ラストピース」として招集されながら、武器のドリブル突破やタテの推進力を最大限発揮しているし、西川もチーム最年少フィールドプレーヤーの17歳とは思えないほどの落ち着いた仕事ぶりを見せている。

「ベスト16に進めたことを前向きに捉えて、いつも通り気負わずてることが大事」と中村が淡々と言う一方、西川は「イタリア相手でも仕掛けやボールを前に運ぶところは通用した。守備面でも体を入れたりするところでは戦えた、次はもっと精度を上げたい」と力強くコメントしていた。左サイドアタッカーのポジションで3試合連続スタメン出場し、大きなインパクトを残した山田もそうだが、勢いある攻撃陣がガムシャラに前へ前へと突き進んでこそ、道は開ける。まずはメンタル・フィジカルの両面で相手を上回るところから意識してもらいたい。

 4日のラウンド16の相手はポルトガルか韓国になりそうだが、どちらにしてもこの関門を突破しない限り、先には進めない。キャプテンの齊藤は「優勝したい」と公言しているだけに、どんなアクシデントが起きても粘り強く戦い、PKでもいいから勝ち切るしかない。東京五輪代表昇格が有力視されるのは、今のところ齊藤と菅原くらいだが、上のステージに勝ち進めば進むほど、他の面々にもチャンスが広がってくる。それをつかみ取るのは一体誰なのか。森保監督を唸らせるようなパフォーマンスを見せ、A代表入りした久保や大迫敬介(広島)に続く人間が続々と出てくるのが理想的なシナリオである。U-20代表の選手たちにはこの好機を逃してほしくない。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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