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日本代表の海外組を総括!移籍半年で地位を確立した昌子、安定の酒井宏樹、長友、冨安、堂安

2019.05.28

 5月24日に今季フランス・リーグアンの最終節を迎え、トルコ・シュペルリグに参戦していた香川真司(ベシクタシュ)と長友佑都(ガラタサライ)も全日程を終えるなど、欧州日本人選手の18-19シーズンの戦いがほぼ終了した。前回の記事の通り、イングランド・ドイツ・スペイン勢は全体に苦境を強いられたが、フランス・トルコ・オランダ・ベルギー勢はまずまず奮闘。もちろん選手個々の状況は異なるものの、ある程度の成果を残したと言っていいだろう。

半シーズンで酒井宏樹に匹敵するインパクトを残した昌子

 まずフランスだが、すでにパリ・サンジェルマン(PSG)がリーグ連覇を達成。日本人所属クラブでは、酒井宏樹のマルセイユが5位、川島永嗣のストラスブールが11位、昌子源のトゥールーズが16位。名門・マルセイユが来季欧州リーグ(EL)出場権を逃したのは残念だった。しかしながら、酒井宏樹はリーグ25試合出場と1~2月の2019年アジアカップ(UAE)期間以外はコンスタントに出場し、18日のトゥールーズ戦ではリーグアン初ゴールも決めるなど、フランス3シーズン目も安定感と存在感をしっかりと示した。

 その酒井宏樹に匹敵するインパクトを1月からの半シーズンで残したのが昌子。トゥールーズの1部残留請負人として新天地へ赴き、アラン・カサノヴァ監督の信頼を瞬く間に勝ち取り、若いチームを力強く支えた。「フランス語はやっぱり難しい。サッカーに必要な言葉は最低限覚えてますけど」と本人も苦笑いしていたが、日本にいた頃のように言葉での意思疎通は十分には図れない。それでも持ち前の社交性と明るさを駆使して周りとコミュニケーションを取りながら、守備陣を統率した。
 リヨンやマルセイユには大量5失点したこともあったが、昌子がいなければ残留は叶わなかったと言っても過言ではない。182㎝と高さの部分で劣る彼がフィジカルリーグと称されるフランスである程度の実績を残せたのも、日本と欧州の守りの優先順位の違いを瞬く間に頭に叩き込み、ミスを恐れずチャレンジしていったことが大きい。「源は頭で描いたことをすぐに具現化できる選手」と兵庫県サッカー協会技術委員長の父・力さんも言うように、その勇敢さが助けになったのは間違いない。来季はチーム内での重要度がより一層上がりそうだ。

 川島永嗣の方はシーズン序盤から「GK3番手」と位置付けられ、その序列を覆せずに苦しんできた。「僕が移籍してきた8月はまだチーム状態が安定していなかったけど、そこから一気に浮上し、リーグカップも勝ち進んだので、ティエリ・ロレイ監督もチームを変える必要が全くなかった」と本人も指揮官の考えをよく理解していた。それでも川島にしてみれば、ここまで出場機会に恵まれなかったのは2010年夏の欧州挑戦以降、初めてのこと。このまま出場ゼロで終わりそうな雲行きだったが、24日の最終節・ナント戦でとうとう出番が巡ってくる。かつての恩師、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる相手を零封する働きを見せ、6月の森保ジャパン参戦に弾みをつけた。2018年ロシアワールドカップ以来の日本代表で彼がどのような仕事を担うのか。来季はどこに新天地を見出すのか。それは非常に興味深い点だ。

トルコで躍動した長友と香川

 トルコ勢の長友と香川もそれぞれに存在価値を示したと言っていい。長友のガラタサライは19日のイスタンブール・バシャクシェヒルとの上位対決を制してリーグ連覇を達成。長友自身は昨年10月の肺気胸や今年2月からのひざ負傷など何度かアクシデントに見舞われ、アジアカップにも参戦したため、リーグ戦出場は19試合にとどまったものの、ファーティ・テリム監督の信頼は絶対的なものがあった。彼が左サイドに陣取った時に生まれるチームの躍動感、守備面での安定感向上は誰の目から見ても明らかで、長友がいてこそ終盤戦の快進撃と奇跡の逆転優勝が達成できたのは確かだ。

 香川の方は1月末にトルコ行きを決断。2月3日のアンタルヤスポル戦で3分間2ゴールの衝撃的なデビューを飾り、前途洋洋かと思われた。が、セノール・ギュネシ監督は「香川はずっと試合に出ていなかったので試合勘の不足や体力的な問題を抱えていた」と指摘し、なかなか先発起用に踏み切らなかった。たまにスタメンで使われても攻撃の統率役になり切れない部分もあって苦悩した。
「すでにシーズン頭から積み上げてきたチームに入り込むのは難しさがある」と本人も語ったが、レンタル移籍の切り札としての難しさや大変さを再認識したことは大きな意味があった。リーグ14試合出場(うち先発4)という短い出番の中で4ゴールという数字を残したのも前向きに考えていい。来季の身の振り方は全く未定で、トルコに残るのか、ドイツに戻るのか、他の国に行くのかも決まっていないが、復活の布石を打ったのは確か。まずは6月のキリンチャレンジカップ2連戦でいいパフォーマンスを見せて、来季こそフルシーズン活躍できる環境に赴いてほしい。

ベルギー、オランダからのステップアップに期待

 その他、ベルギー・オランダ勢では、やはり森保ジャパンの主力の座を勝ち取っている冨安健洋(シントトロイデン)と堂安律(フローニンゲン)の20歳コンビの働きが光った。冨安はアジアカップ期間中を除くリーグ37試合に出場。マーク・ブレイズ監督が「真っ先にスタメンリストに名前を書くのが冨安」と言うほど絶対的な信頼を得た。シントトロイデンがプレーオフ1(上位6チームで構成される優勝決定戦)参戦寸前まで行けたのも、188㎝の大型DFの気の利いたパフォーマンスがあったからこそだ。3月末から始まったプレーオフ2(下位リーグ)では残念ながらトップになれず、来季EL予備戦挑戦権を得ることができなかったが、冨安自身が大きな飛躍を遂げたのは間違いない。来季は東京五輪との兼ね合いもあって新天地に赴くか否か考えどころだが、本人は「上のレベルに行きたい」と意欲を示しているだけに、今後の身の振り方が楽しみだ。

 堂安にしてもオランダ2年目ながら、シーズンフル稼働。得点こそ5点と前年の9点を下回ったが、出場試合数は増加し、終盤にはELプレーオフにも参戦。一時の停滞感を打ち破った印象だ。冨安にも言えることだが、今季は毎月のように日本代表との掛け持ちを強いられながら、これだけコンスタントにプレーしたことは前向きに評価していいはず。本人も2つのチームで主力として戦う自信を深めたはずだ。となれば、来季以降はより大きな舞台に身を投じたいはず。彼には複数クラブが興味関心を示していると言われるだけに、オフシーズンの動向が興味深い。

 それ以外に特筆すべき選手と言えるのが、オーストリア5シーズン目を戦い終えた南野拓実(ザルツブルク)と冬の移籍でリーグ制覇の一員となった伊東純也(ゲンク)。日本代表屈指のイケメンとして知られる2人はそれぞれに飛躍を遂げ、日本代表でも確固たる地位を築きつつある。それは森保監督にとっても心強い部分だろう。南野は来季こそよりレベルの高い環境に身を投じてほしいし、伊東もシーズン通してのフル稼働が求められるところ。6月のキリンチャレンジカップ2連戦とコパ・アメリカ(ブラジル)には17歳の久保建英(FC東京)、20歳の安部裕葵(鹿島)ら若手も招集されているだけに、ウカウカしてはいられない。「もう若手ではない」という自覚を持って、さらなるステップアップを貪欲に狙うべきだ。

 今季全体を総括すると、長谷部誠(フランクフルト)、長友、酒井宏樹といったロシア組がまだまだ欧州組をリードしている印象だ。冨安や堂安らが台頭しつつあるものの、かつて香川がマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したくらいのレベルに到達する者が出てきて、ようやく「新世代への完全移行」が叶う。そういう意味でも、来季は20歳前後の若手のブレイクにより一層期待したい。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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