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今後はサービスに注力?「Apple Arcade」「Apple TV+」が日本で成功する条件

2019.05.28

成功の鍵はローカライズ

房野氏:Appleは発表会イベントの前に、プレスリリースで新製品発表をしていましたが。

石野氏:そうですね。あれはあれで面白かったと思いますけどね。まぁ、サブスクリプションが儲かるというのは「Apple Music」でよく分かっていることで、決算を見るとあんなに安定して儲かる事業はなかなかない。成功すれば儲かる。逆に失敗するとお金が飛んでいくだけになっちゃうことにはなるんですけど。そういう意味だと「Apple News+」も、まぁまぁうまくできているなと思いましたし、

「Apple Card」は、ドコモがおサイフケータイを始めてみんなに解放しつつ、自分でiDを立ち上げてdカード(当時はDCMX)を作ったのと同じですね。決済プラットフォームを作りつつ、自分でやらないと儲からないので、Apple Cardも当然の結果といえるかなと。Apple ArcadeはiPhoneやiOSデバイスをゲーム機として、ニンテンドーやソニーと対抗させるには、ああいう取り組みはあってしかるべきだよなとは思っていたので、納得感はありました。

石川氏:キャリアの発表会を見るような感じがすごくした。いつドコモの吉澤社長が出てくるかと(笑) Appleは今回、相当お金を突っ込んでいるなという感じがした。Apple ArcadeはAppleがお金をゲーム会社に払って作ってもらっているし、Apple TV+も投資している感じがする。今回のメッセージとして、サービスに賭けているということはすごく伝わった。

石野氏:新規事業発表会みたいな感じ。

石川氏:そう、方向性が見えた。これだけ普及しているiPhone向けにサービスを提供することで、新たな儲けを回収していく、そういう時期に来たんだなと感じました。

石野氏:そうはいっても、グローバルではiPhoneのシェアは1割から2割なので、Apple TV+はスマートTVに解放しちゃいますし、ゲームはハードウェアの性能が大きく影響するので解放はできないとしても、Apple News+とかも、そのうち解放するんじゃないかと思う。Apple Musicはそうなっています。今後、サービスはサービスとして事業を立てていくようになっていくのかな。Apple TV+はAndroid TVも対応するし、驚いたことにそれだけじゃなく、サムスンのTizenとかLGのwebOSとかにも対応している。ここまでマルチOS対応したことがびっくりポイントだった。やればできるじゃんって(笑) 映像に関しては、対応を広げたことでサービスに対する本気度が見えた。あれが囲い込みでiOS専用だったら成功はしないだろうなという気がしたので。iPhoneやiOSの魅力付けになる面と、オープンにして、サービサーとしてお金を稼ごうという意志の2面が見えました。

 ただ、やっぱりアメリカ向けの色合いが強い。サービスってハードウェア以上に地域差が激しいので、そのまま提供するのは難しいだろうなと思ったのは正直なところ。Apple News+もそうで、日本に持ってきたら、たぶん「dマガジン」とガチでぶつかる。そもそもKADOKAWAが提供してくれるのかとか、新聞にしても、日経新聞はApple News+に入ってまとめて9.99ドルにはなりたくないだろうなと思ったりすると、ローカライズが難しいだろうなと。そもそも、まだ縦書きに対応していないので、そういうところも含めてローカライズが難しそうだなと感じます。Apple Cardも、クレジットカード習慣が日本とアメリカで違っているし、そもそもキャシュバックを受けるための「Apple Pay Cash」もアメリカ以外では始まっていない。そういうグローバル展開で苦戦しているところもある。だから、発表会も最初はアメリカ向けで済まそうとしたんじゃないかなという感じがします。

石川氏:秘密裏に動かなくてはいけない。特定の相手だけとしか話をしていないだろうけど、これだけオープンになり、日本に上陸するときには、日本で組みたい会社も当然いるだろうなとすごく感じるんです。KADOKAWAが組む可能性も十分あるだろうし、Apple Cardに関しては、どこかのクレジットカード会社が組む可能性もあるだろうし、さらに銀行とか損保とか、確定拠出年金を持っているホールディングスがAppleと組む可能性もあるだろうし。そう考えると、確かに今年はないかもしれないけれど、来年、再来年、3年後とかには、日本でもそういう動きがあるだろうなという気がする。あれだけ無理だと言われていたFeliCaに対応して、JR東日本と秘密裏に動いてApple PayでSuicaを実現したことを考えると、Appleにとって日本市場は大きい。スマホユーザーの半分がiPhoneを持っている日本で、やらない手はない。恐らくいずれかのパートナーと組んでやってくる可能性は十分ある。

石野氏:ハードウェアほどすぐには来ない感じかな。ゲームは比較的簡単なのでポンとまとまりそう。

石川氏:ゲームと、映像コンテンツは字幕を付けるだけなので。

石野氏:法林さんは「字幕を付けるだけじゃない」と言いたそう。字幕を付けるだけだと思ったら大間違いだぞと(笑) 

法林氏:今回の発表、ハードウェアはともかくとしてサービスに関して、Apple News+はいうまでもなくdマガジンの焼き直しだし、Apple Cardに関しては、さっきも出たけれどドコモがDCMXを作った話もそうだし、キャリアだろうがAmazonだろうが、自前のカードを作りたいのはみんな思うこと。それはまぁ、作るでしょう。そして、Appleはお金がかけられるから、金属カードを作りましょうってことだけど、金属のカードは日本だと差し込んで飲み込むタイプのリーダー/ライターだと、うまくいかない、動かないという説がある。金属カードは怖くて挿せないと、とあるクレジットカードの専門家が話してた。

 Apple Arcadeに関しては、これは単純に「PS Plus(PlayStation Plus)」と同じ。プレイステーションがこれからやろうとしていることと合致する。ニンテンドーも同じようなことをする可能性が高い。家庭用ゲーム機に対してiPhoneとして挑んでいきたいということは分かるけど、じゃあ例えば、Apple TVで実はいろんなゲームが動くんだけど、どれくらい動いているかというと、申し訳ないけれどDOS/V時代の英語メニューのままのゲームが大半で、日本語ゲームはすごく少ないんですよ。他に日本で作ったゲーム山ほどある状況で、お客さんが動いてくれるかというと、それは無理。

石野君が言ったローカライズは大事で、それが今のAppleに根本的に欠けている。アプリしかり、コンテンツしかり。本も全然できていない。お金の落とし方が日本では足りない。2バイト圏だと日本、中国は巨大市場なんだけど、そこに対してAppleはお金を投じていないので、意味がないんですね。好きな人が使うだろうけれど、これが主流になっていくとは思えないし、今の規模では無理です。Appleの日本法人が今の5倍とか10倍とかにならないとできない。

 映像に関しては、日本だと「dTV」とか「Amazon プライム・ビデオ」が結構強いけれど、それってコンテンツだけで強いのではなく、販売ルートの違いが大きい。僕が「Netflix」はエラいと思うのは、ちゃんと日本発のコンテンツを出していこうという姿勢を示していること。そこにお金を出している。例えば日本でテレビドラマを作ると1話ごとに監督が違うんですよ。ところがNetflixのシリーズのドラマって、全部1人の監督にゆだねているんです。「これだけお金を使ってください。俳優は別に有名な人じゃなくてもいいです。このストーリーに合う人を探してください」といって、クリエイターとして何をすべきかを含めて提示している。そういうことをAppleができるか。できないと思う、ローカライズができない会社だから。

 ちなみに、Appleの発表会でメインで話をしたスピルバーグは、アカデミー賞からNetflixを閉め出せと言ったんですよ。「映画館で上映しない作品はアカデミー賞の対象作品ではない」と言った。そういう人が先頭に立ってApple TV+の発表に出てきて、みんなでいろんなコンテンツを作りましょうと、どの顔を下げて言っているのかと。あり得ないと思うんですよ。この分野の専門家もいるけれど、今、アメリカはNetflixが一人勝ちの状態で、まずNetflixで公開されて、良かったらから、じゃあ映画館に展開する、みたいな話もあるくらい存在感を増している状況。そんなNetflixを排除しようと言っている人がApple TV+の先頭に立って映像を撮るということに、へーって思いました。

石野氏:Netflix閉めだし発言は、Apple TV+が決まっていたから、あえて言ったのかなと。だから、スピルバーグひどい人だなと(笑)

法林氏:良くないと思う。

房野氏:Netflixのように、Appleがキャリアと一緒にサービスを売っていくということは考えられますか?

石野氏:Apple MusicはKDDIとやっているし。

石川氏:たぶん、そこが強みになると思うし、キャリアからすると、これからdTVも売れないし「ビデオパス」も売れないしということになる。

法林氏:誰が手を組むかですよね。KDDIはどうなんだろうな……Netflixとの結びつきが、それなりに相互に良い関係を保っていると聞いているので、もしかしたらApple TV+はソフトバンクという可能性もあるかな。

石野氏:ドコモはやらないでしょうしね。

法林氏:ドコモはdマガジンをやっているから、Apple News+には結構カチンと来ているかもしれない。

石野氏:映像もそうでよね。「ひかりTV」をやっているNTTぷららを子会社化するわけですから。だから、ドコモとはガチでかち合うなと。

法林氏:日本はコンテンツサービスがあるし、ヨーロッパも結構あるし、スポーツとかも含めるといろんなものがある。そういう状況から、コンテンツがない国でしか商売ができないと考えると、結構限定的。そういう国は、著作権がしっかり管理されているかというと……という話。

房野氏:そういう国は、iPhoneもそれほど出回っていないでしょうね。

法林氏:そうなんです、安い端末が多い国が多くなる。だから、僕はこの作戦は失敗するだろうと思う。

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