商品として魅力的か ★★★★★ 5.0(★5つが満点)
「X7」の運転支援機能も大幅にアップデイトされていた。アメリカの高速道路なので、直線路主体の空いた道を淡々と走り続けることになる。その際に強い味方となってくれるのがACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)などの運転支援システムだ。
ACCは設定した車間距離と最高速度を維持しながら前車に追従しながら走ることができる。筆者は、自分のクルマでも試乗車でもACCを必ずONにして走るようにしているが、アメリカで高速道路を長距離を走るような場合にこそ絶対に必要なものと考えている。実際に「X7」でも可能な限り、ACCを用いた。車間距離や速度を調整することをある程度クルマに任せることができるので、その分の自分の脳のキャパシティが空くので、確実に疲労が少なかった。
同じように、LKASも長距離走行を安全かつ快適になるようサポートしてくれた。BMWのLKASは新世代に更新されたようで、新型3シリーズからもそれは感じられた。白線を越えようとすると、かなり強い力で戻される。右コーナーと左コーナーとでもアシストの強弱や作動時間も異なっている。実にキメ細かい制御となった。
繰り返すようだが、ACCもLKASも運転をサポートしてくれ、疲労を軽減し、事故を未然に防いでくれる。今回のような長距離ドライブでこそ、その効能が最大限に生かされる。フロントガラス越しに広がるアメリカ南西部の広大な絶景を堪能しながら走ることができた。
ただ、ひとつ心残りだったのは、オフロードを走れなかったことだ。「X7」はほぼ同時期にモデルチェンジした「X5」とともに、車高を5段階に変えられる初めてのBMWのSUVとなったので、4輪駆動システム「xDrive」と併せたその実力のほどを試してみたかった。
ブンダー博士にそれを伝えると、「それは残念だった。きっと満足してくれたと思う」と自信のほどを伺わさせていた。
いずれにしても、大型ボディと3列シートに注目が集まるであろう「X7」だったが、このクルマの本質は「X4」や先代「X5」、そして「X6」のようなオンロード志向の強いSUVではなく、オンオフを問わないオールラウンダーであることがわかった。
最新の運転支援デバイスを備え、乗り心地と静粛性に秀でた快適性の高い高級SUVである。Xシリーズの幅を大きく広げるものに仕上がっていた。
■関連情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/x-series/x7/2018/bmw-x7-landingpage.html
文/金子浩久(モータージャーナリスト)