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多摩動物公園がゲンジボタルの繁殖研究を続ける理由

2019.05.26

街灯が苦手なホタル、だから動物園

「厳しいから覚悟して」と、前任者に言われたゲンジボタルは飼育難度が高い。人工飼育で幼虫から成虫になるのは全体の10〜20%です。年に複数回繁殖させることができるヘイケボタルは、昆虫生態園で長く展示がでます。一方、ゲンジボタルは6月しか羽化しませんから、昆虫園の展示コーナーに成虫を出すことは6月に限られる。

ホタル舎とは別に、園内の湧き水のあるところで繁殖するゲンジボタルは、6月に一般募集したお客さんと今年は2回、観察会を行います。参加人数は1回で40名ほどです。苦労して飼育しているわりに展示は小規模ですが、僕は動物園がゲンジボタルに取り組む意味は、大きいと考えています。

清流の小川が減ったこともさることながら、住環境の変化こそゲンジボタル激減の大きな原因です。ゲンジボタルは明るさに弱い。街灯が増えれば、オスとメスとの発光がお互いに見えなくなり繁殖ができなくなる。街灯を消すことが、ゲンジホタルとの共存には必要ですが、今日、防犯の面からもホタルのために街灯を消すのは実行しづらい。地域でゲンジボタルを復活させるのは難しい状況です。

多摩動物公園のホタルが生息する湧き水の周辺は、幼虫が上陸しサナギ、羽化、成虫となり繁殖する4月〜6月は、院内の照明の光を落としてもらいます。真っ暗でないとゲンジボタルの繁殖には適さない。都市近郊でそんな環境を整えられるのは動物園だけでしょう。その意味でも、ゲンジボタルの繁殖を動物園が担う意味があります。

今後の目標は、室内施設の水槽で人工飼育する60匹の幼虫を全部、上陸させてサナギにさせたい。なぜ、4分の3以上の幼虫が、成虫になれずに死んでしまうのか。在任中に一つでもその解決方法を見つけ出し、後任者に引き継ぎたい。

ゲンジボタルの飼育を担当して2年目、今年も成虫が光る時期が近づいています。今年はどのくらい淡い光が、動物園の夜空に見られるでしょうか。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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