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まずはパパが実践!家庭でできる「STEM教育」の始め方

2019.05.26

「STEM教育」で大事なこと

野村准教授は、STEM教育を通して得て欲しいこととして、大きく次の3点があると話す。

1.科学的、数理的に対象を捉えようとすることが大事

「情報社会、科学技術社会が進展してきた中で、日本で一般的な文系、理系という分け方は、もはやナンセンスとなっています。大量の情報の中から必要な情報を取捨選択できるためには統計の知識が不可欠ですし、何が正しい情報かを精査できるためには噂や流行に流されず、科学的に検討できる力が必要です。これからの時代は、誰もが、もう少し数をきちんと数えて計算した結果に基づいて行動できることが必要ですし、もう少し科学的に物事の正誤や真偽を確かめて行動できることが必要です。

だからこそSTEM教育は、Science(科学)やMathematics(数学)を要素として強調しているのです。でも科学や数学だけを勉強すればよいということではなく、日常生活や社会の問題に対してこれらを組み合わせて解決を考えようとすることが大事だということです」

2.「何を知っているか」ではなく「何ができるか」が大事

「これまでの教育は、生きるために必要な知識やこれまでに築き上げた文化を次の世代に伝えるために、一定量の知識を伝え、覚えさせることが主な目的でした。しかし情報社会が進展し、科学技術が発展してきた20世紀後半以降、急速に新しい情報が大量に生み出されるようになり、また社会がどんどん複雑になる中で、そのすべてを正確に伝えること自体が困難になってきました。21世紀になり、もはや“物知り博士”は機械には勝てなくなってしまい、学校で12年間勉強したことだけでは一生食べていくことはできない時代となりました。

この新しい時代を生きていくためには、ただ知識を知っているだけでなく、それを使って“行動できる”、“何かモノや価値を生み出せる”ことがより大事になってきます。

『芸は身を助ける』と言いますが、ちょっとしたこと、例えば綺麗に字が書ける、カッターでまっすぐ切れる、半田付けができるといった、“実際にできること”を持っていることが大事です。特にロボットなどの機械自体、陶器や料理のような物理的なモノを作り出すことや、『これおいしいよね』『これカッコいい』といった新しい価値を生み出すことはできません。できることやこだわりを一つでも増やしていきましょう」

3.答えは一つではない!何が答えかを決めるのは一人一人である

「ものごとを捉える見方や考え方は多様です。例えば一時期、Twitterでも話題になりましたが、目の前のコップを指差して、『コップに入ったお茶』と表現する以外にも、数学的な見方では『200mlのコップに半分入っているお茶』、国語的な見方では『透明のガラスのコップに入った半透明の緑色のお茶』、社会科的な見方では『中国産のガラスのコップに入った静岡産のお茶』、科学的/理科的な見方では『ケイ素を含む透明で硬い材料でできたコップに入っているカテキン、テアニンを含む水溶液』というように、いろいろな表現ができることがわかりますし、それによって『コップに入ったお茶』がよりわかってきます。そして、1でご説明したように、STEM教育では、特に科学的な見方・考え方と数理的(数学的)な見方・考え方が大事だということを忘れてはいけません。

STEM教育は、このように物事を多面的に捉えるためのさまざまな視点を持つこと、そしてそれらを組み合わせることによって、問題の解決策を多様に編み出し、よりよく解決できるようになることを目指します。

そして、一つのことに対して多様な見方ができるということは、ある問題に対する答えも一つではないということになりますが、ではどれが答えとしてふさわしいのか、それを決めるのは問題を解決しようとする一人一人が考えるべきものです。他人に言われた答えを鵜呑みにするのではなく、2でもご説明したように、一人一人が自分の感性(=個性)を信じ、研ぎ澄まして『こうしたほうがいい』『ここが大事だよ』とこだわりを持ってふさわしい答えを考え、発信できるようになることが大事です。

さまざまな価値観がありますが、それらを分けへだてなく知り、そして自分の価値観を育むことが感性を育むことに他ならず、それによって、一人一人が自信を持って自分の答えを導き出すことができる、つまり主体的に問題解決できる人になることができると考えます」

我が子へのSTEM教育は、まさに親自身が“STEMな生き方”を実践すること。これが第一歩であり、実は子どもを育て、一緒に楽しみながら生きていくための方法であることがわかった。STEMな生き方、ぜひ始めてみよう。

【取材協力】
野村泰朗(のむらたいろう)さん
埼玉大学 教育学部 准教授
埼玉大学 STEM教育研究センター 代表
1999年1月、東京工業大学大学院社会理工学研究科修了、博士(学術)取得。同年4月より埼玉大学教育学部にて研究と教育に従事、現在同学部准教授および埼玉大学 STEM教育研究センター代表を務める。教育工学の分野において、授業設計論、教材開発論、情報教育について研究するとともに、教育支援ロボットの開発やロボットを用いた教育活動についても研究している。
http://www.stem-edulab.org/

取材・文/石原亜香利

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