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コラムニスト・えのきどいちろうさんが振り返る「平成」時代

2019.06.03

 雑誌「DIME」が創刊された1986年はまだ「昭和」だ。もちろん「平成」は影も形もない。唯一、あったのはバブル景気へ向かう予兆のような気分だろう。ビジネスパーソン向けのトレンド情報誌が創刊される気分とはそういうものだ。

 データウォッチングはまさにその気分を数字でとらえられないかとスタートした企画だ。創刊してまもなくバブルが本格化し、株や土地の値段が高騰するようになる。驚いたことに日本の土地価格がアメリカの土地総額のざっくり2倍に膨れ上がる。平たく言うと日本の土地の値段でアメリカの国土が2回買える(!)のだった。こちらは列島の真ん中に山脈が連なるわずかな平地だけの合算だ。先方は広大な農地が取れて、石油だって出る。異常なトリックだった。マネーがダブついて不動産投資が過熱したせいだ。

 1989年、ついに「平成」がスタートする。バブルの中で「1億総中流」のアゲアゲムードは揺ぎなかった。誰もが「右肩上がり」や「終身雇用」を信じていられた最後の時代だ。

 90年代、景気が後退期に入り、バブルが崩壊すると社会構造がきしみ始める。企業は競争力強化のために正規雇用を手控える一方、有期雇用や派遣社員など、非正規雇用を拡大していく。

 バブルで始まった「平成」は不況一色のトーンになる。業績縮小期の雇用調整弁として、非正規労働者は「整理解雇」の不安におびえるようになる。特に90年代後半、アジア通貨危機後、その傾向は顕著になった。

 一方、90年代後半から2000年代初頭には日本にインターネットが普及。ネット社会の到来は新たな経済成長のチャンスを生み出すかと多くの人が期待した。しかし、そこで成り上がれたのはひと握りだけだった。むしろ2000年代、ほとんどの日本人は「勝ち組」のビジネスモデルを支える顧客になり、その中に取り込まれていく。

 その流れはたぶん「平成」を覆ってしまった。僕はもう「ポイントを集め、クーポンを利用する生活」から逃れられない。「不寛容」をたびたび指摘されるネットの言説を見ると、自分と同じ境遇の人が大勢いるなぁと感じる。

えのきどいちろうさんえのきどいちろうさん
コラムニスト。1959年生まれ。小誌創刊時から90年代まで本連載に寄稿。当時の連載をまとめた『ニッポン非公認記録』(小社)など著書多数。

取材・文/編集部

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