ここ数年、国内メーカーからの新型車のリリースが激減している一方で、元気なのが輸入車勢。SUVをはじめとした新モデルを続々と投入している。今回は日本でも人気の2大ブランドの、ベストセラーモデルの新型車を紹介しよう。
クルマを評価する基準は、年を追うごとに変化する。動力性能が注目された時代もあるが、そこに環境性能が加わり、先進安全性能にも関心が集まっている。ここ最近はそれらの評価軸に加え、新たな要素が追加されようとしている。それが人工知能による学習機能だ。
AIを活用してクルマを特定のユーザーに適応させるというもので、例えば、対話式の音声認識機能を備えたボイスコントロール。これまでの音声入力とは異なり、自然な会話に近い言葉で話し手の指示や質問を理解し、適切な機能やサービスを起動させることができる。ユーザーの使用頻度に応じて学習をし、ユーザー好みの1台へと育っていくのだ。「エアコンをつけて」と言えば、エアコンが作動し、「暑い」と言えば設定温度を下げてくれる。
おもしろいのはメーカーによって、AIの特徴が異なる点だ。昨年12月からデリバリーを開始したメルセデス・ベンツのエントリーモデル『Aクラス』の場合「ハイ、メルセデス」と呼びかけてから、ユーザーは音声で指示を出す。
一方、BМWは、今年1月に主力モデル『3シリーズ』の新型を発表し、3月から発売した。この『3シリーズ』もAIを搭載したインテリジェントシステムを導入。だが、BМWの場合、呼びかけ方は自由に変えられるのが特徴で、例えば「OK、BМW」ではなく「○○ちゃん」と呼びかけることができる。マシンというより、より身近な存在としてマイカーを愛用できるのは楽しい。
先進装備が多々用意されているがほとんとがオプション設定
新型『Aクラス』はメルセデスの最新デザインのエクステリアやインテリアのほかに、人工知能による学習機能や先進安全運転支援システムなど『Sクラス』や『Eクラス』並みの先進装備が用意されている。しかし大半がパッケージオプションで、フルオプションに近い車両の価格は500万円を超える。一方の『3シリーズ』は最廉価の『320i SE』(452万円)の発売は夏以降なので、当面は500万円以上する『320i』と『330i』が主力となるだろう。『320i』に至っては、エンジンなどを日本向け専用にチューンしており、同社の本気ぶりがうかがえる。
クラスは異なるが、そのメカニズムや先進性では両車とも最新技術を満載したお買い得モデルであることは間違いなさそうだ。